10月30日、麻生首相は生活者支援、中小企業対策など、満を持して(?)の27兆円にも上る新総合経済対策を発表、31日には日銀がなけなしの金利から0.2%利下げし、政策金利を0.3%にした。この利下げは総裁の賛成票を入れて5:4で決まったので、どちらでも良かったのではと言う見方もできる。
麻生首相の新総合経済対策発表を伝える新聞紙面(朝日新聞10月31日付)
しかし、日経平均株価は452.78円安の8,576.98円、為替は97円と値上がりしたが、それほど投資家の反応が良かったとは言いにくい。すでに市場は織り込み済みで動いていたのだ。インパクトが少なかった分、効果も薄い。
おまけに十分なムダ撲滅計画もないままに、3年後の「景気回復時に消費税増税をお願いする」という。麻生さん、あなたの推進する景気対策で3年後に一体どんな日本経済を描いているのか。
米国の金融システムは破壊されようとしている、EUは独自のシステムを構築しようとしている。外需に頼らない内需主導の経済への移行も要求されている。従来とは違った経済システムが求められている中、麻生さんはどんな日本経済の姿を描いているのか。
米国は民主党のオバマさんが新大統領になると、公共事業と公的資金の注入、不良債権の買い取りなど「小さな政府」から「大きな政府」へと舵取りを変えるのではないか。麻生さんも小泉改革での「小さな政府」、市場主義から「大きな政府」へ方向転換しているのか?
超低金利のなかから政策金利を0.2%下げた日銀(矢本真人写す)
それにしても、新総合経済政策は不明朗な部分が多すぎる。定額減税はGDPの0.1だと言うが、前回の「地域振興券」の場合は32%が消費に廻っただけだったという。それでも推進しようとしているのはどうしてか。
総選挙では自民党は公明党の助けを借りない限り議席の確保は難しいという。公明党にごり押しされ総裁まで変えさせられる醜態を目の当たりにしても、公明党のいうことを聞かなければならないのか。
そして各政策の実行スケジュールはどう考えているのか。付け焼き刃的に官僚に出させた政策を並べ上げたきらいもある。「財源は?」と言っても本当のことが分かっているのは財務省の官僚だけか。一説には「埋蔵金」が50兆円もあると言うが、本当の国の会計を提示して欲しいものである。
今回提案された諸政策は、景気対策? 選挙対策? 先に総選挙を控えては、選挙対策と見られても仕方ないが、どちらの対策にも効果がなかった場合はどうなるのか。何の目的も達することなく、将来の借金として国民の負担として残ることになりはしないだろうか。
「政局より政策」と声を張り上げても、この程度の効果の薄い(こう見る方が多いのだが…)政策では、麻生さんの言う「スピード」ではなく遅々として進まない方が結果としてムダ遣い防止になり、国民に信を問うた方が良かったということになりはしないか。私も早くから「この難局、任期一杯居座ったら」と言ったことがあるが…。
東京の大田区を回ってみたが、公明党がすでに選挙モードで動いていることはよく分かる。圧倒的にポスターが多い。組織が大きいからいったん選挙運動に突入すると、ブレーキがかからず、一度止めての再稼働もうまく動かないと言う。支持母体の有権者ってそんなに信用できないのか。それとも自民党の指示を訴えてもすぐ裏切られるのか。
どちらにせよ、今回国民に示された政策は、国会でしっかり議論して欲しいし、野党には独自の政策を提案してほしい。私たち生活者の将来にかかっているのだから。