宅配便を装った30〜40歳代の男が、2日連続で元厚生事務次官宅を襲撃、元次官夫婦と元次官の妻の3人が死傷する痛ましい事件が発生した。どういう理由があるにせよ、このような行為で目的を達成した事例は今までにない。オーム真理教に絡んだ警察庁長官銃撃事件、国会で政治と金の問題を追及した石井さんの事件、戦争責任での伊藤長崎市長の事件など何の問題解決にもなっていない。
事件を伝えるテレビニュース(11月19日、NHK「ニュース7」より)
すでに退職しているものの元厚生事務次官が標的になったこと、在職中に年金局長・課長の要職にあったことから、今の年金問題がからんでいると判断され、第3の事件防止のため幹部の身辺警備が強化されたという。
しかし、犯人はまだ年金を受ける年齢ではない。自分にかかわる問題(あるいは将来への不安)で激情し反抗に及んだのだろうか。あるいは今の厚生労働省・社会保険庁の不祥事に罰を加えようと考えた誰かが犯人をそそのかし、犯行に及んだとも考えられる。
1日も早く犯人を挙げ、その目的が明確になって欲しい。やり方、結果が違法なことであっても、問題の本質から目をそらせてはいけない。一部には「政治テロではないか」と言われている問題だ。
厚生労働省。国民の生活に密接な政策を抱えるだけに国民の不満も大きい。
襲われる対象になった2人の元次官は、国民が恨む年金の改悪をやったのではなく、今の年金制度の基礎ともなる大改正をやった当事者である。今問題になっている年金に係わる役人の不正行為は、その後の社会保険庁長官などの責任である。というが、そんな内実を国民が知ったのは、この事件後のことである。
数々の国家公務員の国民に対する背信行為、国民の利益とはかけ離れた目に余る省利省益行為には全国民が頭に来ている。この積もる不満に霞ヶ関はどう対応してきたか。追及されると、小(この程度の不正なら公にしても良かろう)を差し出し、大(霞ヶ関の根本的な利益で国民に知れ渡ってはまずい不正)を隠す。
国民が納得する謝罪がないし、行為者の調査が曖昧で仲間を匿う行為が目立ち、罰は異常に軽い。身分が保障されているためによっぽどでないと解雇できない。公務員改革、行政改革でも国会の意思を無視して自分たちの身分を極端に守ろうとするために、改革案も最終的には骨抜きになる。
しかも悪いことに、よく研究している一部の議員を除き国会議員は改革と言っても内容が分かっていない。そのため、党がOKすると皆OKになる。政治に対する不信も国会議員が加担していることになる。
財務省。霞ヶ関の省利省益の総本山。公務員制度改革でも一番抵抗しているらしい。
どうするか。わき起こる政治不信に対しては、国会がキチンと対応する事だ。
関係者を呼んでの公聴会もいいだろう。米国では上院の公聴会に長年FRB議長だった人物が呼ばれて追及され、今回発生した金融危機の責任の一端を認めさせられた事は記憶に新しい。何かがあると公聴会がもたれ、政策が再検討されている。日本でも証人喚問や公聴会をやっているが、今一歩すっきりしない。
政治不信、行政不信に対して国民の納得のいく見直し・改善システムの構築が急務である。今回の元次官襲撃事件をタダの犯罪捜査で終わらせてはならない。
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