福井県が全県データをまとめてくれていた
今年度(昨年4月)から始まった「ふるさと納税」は、出身地や応援したい自治体に寄付をすると、自分の住民税から翌年一定額が控除される制度だ。2008年度中に各自治体はどのくらいの寄付を集めたか? ふるさと納税のランキングはないのだろうか? と探してみた。
ふるさと納税はすべての自治体が対象なので、都道府県と市区町村合わせると、47プラス1,772で1,819。膨大なデータが必要で、開始から1年未満の今はまだ集計できそうもない。せめて47都道府県でのとりまとめはないか探したところ、福井県HPのなかの「ふるさと納税情報センター」というところのウェブサイトに公開されているのを見つけることができた。
寄付の受け付け状況
09年1月末現在、公開している都道府県のみ(福井県HPより)
福井県に問い合わせたところ、西川一誠福井県知事が「故郷寄付金控除」を早くから提案していた。総務省が2007年に設置した「ふるさと納税研究会」にも参加し、この制度創設の立役者だったことから、県はPRに積極的なのだそうだ。HP上では「寄付の受付状況」としてまとめられているが、この他にも、寄付金の使い道、PRの方法などの都道府県データをリサーチして掲載している。
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ふるさと納税 寄付の受付状況(福井県HPより)
栃木県、大阪府が東西の「横綱」
この表を地図に色分けして示してみた。都道府県のうち、ふるさと納税で多くの寄付を集めているところとそうでないところには、大きな開きがある。特に多いのは、赤色の栃木県の2億2,409万円、大阪府の5,389万円である。栃木県の金額のうち2億円は大口の寄付だが、それを除いても2,409万円ある。橋下知事は各所でふるさと納税のPRにも熱心だから、大阪府が多額の寄付を集めているのは、その効果が大きいだろう。
次に、1,000万円以上を集めた6県はオレンジ色で表している。福井県は3,295万円余で3位。充実したHPだけでなく先駆者として力を入れていると思わせる成果を挙げている。鹿児島県は、公表の集計金額は6,000万円超だが、うち県の分は4割との注意書きがあるため、2,400万円程度と推定される。鹿児島県も東京事務所に「ふるさと納税PR窓口」を設けたそうで、加えて昨年の「篤姫効果」も利いているようだ。他に埼玉県、徳島県、高知県、熊本県が入った。
黄色の100万円から1,000万円未満には、他の多くの府県が含まれる。準備が遅れたところは、最近になってようやく本腰を入れている場合もあるので、今後大きく変動するだろう。
ふるさと納税 都道府県別金額集計
PRの工夫しだいでこれからも伸びそう
PR方法としては、
・納税方法など解説したわかりやすいパンフレットの配布
・地域の自然を守る、歴史遺産を守るなどお金の使い道に賛同してもらう
・寄付者に対して地元産品、観光優待券などでお礼をする
・クレジットカードを使った便利な寄付方法を整備する
などがある。だが、まだまだ制度自体も寄付の方法もよく知られていない。PRが浸透すれば、今後もっと金額が伸びていくだろう。全体を通して、力を入れているところはそれに見合う効果を上げているようだ。
一方、少ないほうを見てみる。福岡県の1例だけが20万円。しかし、地図で白い部分の17道府県はまだ非公開となっている。この中には、福岡県よりも少ない金額というところがかなりあると推測できる。東京、神奈川などは、ふるさと納税制度は「大都市に必要な税収を奪う」として反対の立場をとっている。しかし、埼玉県や大阪府も相当の金額を集めてきているから、大都市に不利な制度とは一概には言えないだろう。
市町村のふるさと納税額はどうなってる?
ところで、この集計にはない市区町村はどのくらい集めているのか? 実は、大阪市が断トツの6億6,700万円である(ただし2月12日付読売新聞)。他に、秋田県鹿角市の3,200万円(2月9日河北新報)山口県光市2,920万円、同萩市2,918万円、同周南市2,695万円(以上1月18日毎日新聞)なども目立った。集計時点などが異なるので正確とはいえないが、自治体全部で大雑把に順位をつければ、
1位 大阪市 6億6,700万円
2位 栃木県 2億2,409万円
3位 大阪府 5,389万円 となる。
4位は鹿児島県か福井県か秋田県鹿角市かと思われるが、県と市町村配分などの捕捉が難しい。詳しいランキングは、これから年度末などで集計されるデータを待つことにしたい。
納税者が「納税したい自治体」を選べる
全体に言えることは、都道府県か市区町村か、都市部か地方か、そして大きな自治体かどうかは関係なく、PRの効果が上がれば大きな税収効果が期待できる、ということだ。自治体自身の工夫とがんばりが即成果につながる。
一方、納税側からみたふるさと納税の大きな意義は、納税者が「納税したい自治体を選ぶ」という積極的な納税行動を促すことにある。寄付先を選ぶということは、自治体について、行政について、興味や関心を持つことだ。また、サラリーマンなら税金はただ天引きされるだけで、住民税がいくらで所得税がいくらかも把握しないまま済んでしまうが、ふるさと納税をすれば自分の住民税額や控除額などを知る機会になる。
ふるさと納税は、税額全体からすれば小さな規模だが、私たち市民が、するしないも含め、自ら考えて選択し納税することができる。自治体の側には、地域の価値を発信していく努力が求められ、それに見合う効果が期待できる。
政治を私たちの手に取り戻すには将来に向けて地方分権が必要だが、そこでは自立した市民、地域の特色を伸ばす自治体が求められる。市民と自治体の両方にとって、ふるさと納税は、そのときのためのいい経験になるはずだ。
【お知らせ】
「地域を元気にする道州制」特集では、今後、「ふるさと納税」についての記事をシリーズで配信します。当面は下記のような記事を予定しています
1)ふるさと納税は誰の発案から生まれたか? ルーツを検証する
2)ふるさと納税の意義と道州制
3)意外とお得? 驚くようなふるさと納税の特典