小泉純一郎さんが地元・横須賀市で苦杯をなめました。
任期満了に伴う横須賀市長選挙は、6月28日投票が行なわれ、無所属の前市議・吉田雄人さんが、元総理・小泉純一郎さんや公明党が応援した現職の蒲谷亮一さん、弁護士のごとう正彦さんを破り、初当選しました。
参照:
平成21年6月28日執行 横須賀市長選挙投票・開票結果集計表(23時05分確定)
1 .無所属 吉田雄人 68,628
2 .無所属 かばや亮一 64,147
3 .無所属 ごとう正彦 23,134
■主な争点は経済政策に
蒲谷さんは、東大、中央官僚から助役を経由した典型的などこにでもいそうなタイプの市長です。2005年の市長選では、自民党や公明党の応援を受けましたが、原子力空母母港化には反対でした。しかし、途中で公約を翻し、容認に転じました。
ただ、横須賀でも、経済の落ち込みは深刻です。日産などの企業誘致を歴代官僚出身市長(蒲谷さんまで)をしてきましたが、逆に輸出不振のあおりをもろに受けています。ですから、政策論争は空母問題よりも地域経済活性化や住民参加などが中心になりました。
空母の徹底的な安全対策と母港化の見直しを掲げたごとうさんもマニフェストの10項目のうち、空母問題は最後で、トップは「地域循環経済による地域経済活性化」でした。入札差金により、地元業者に発注工事を補助する制度を掲げていました。
3人とも、党派色は出しませんでした。しかし、蒲谷現市長に対しては、自民党、公明党の市議団と連合系の民間労組、それから小泉元総理と子息の進次郎さんがバックアップをしました。
横須賀中央駅前で受け取ったごとうさんのマニフェスト。経済と暮らしに関する政策がほとんどを占めた(撮影筆者)
■若さ生かし、吉田さん猛烈な「差しきり」
私は、投票日前日に横須賀に立ち寄りました。時間に限りもあり、平和運動関係の集会で演説をお聞きしたこともあるごとうさんの陣営の宣伝を取材しました。
マスコミ関係者の話では、蒲谷さんをごとうさんが追い上げ、吉田さんがやや苦しいという話でした。ところが、すさまじい勢いで、吉田さんは票を伸ばしていたのです。マスコミの調査もあてにならない異変があったようです。
もちろん、三人の候補の中で一番若いというのも要素としてはかなり有利だったと思います。政策的に言えば、吉田さんとごとうさんが地域経済重視や、住民参加などでそれなりに重なるのですが、吉田さんが熊谷俊人千葉市長と似たような感じのブームだったのでしょう。
■小泉さんが「疫病神」になった蒲谷陣営
今回の選挙では「反小泉」陣営が二つに割れました。それでも、小泉さんが推す現職が落選したのです。
いまや、地元でも小泉さんの人気は全然ない、と市民から伺いました。自民党支持のはずの商工業者の方も「小泉さんは地元に何にもしてくれない」と、もともと不満だったそうです。
それに加えて、無党派層は無党派層で、一般の人で小泉さんが新自由主義的な政策で人々を苦しめながら、結局は自分の息子を後継指名したことに不満のようでした。
「小泉さんが、内輪の集会などで蒲谷陣営の応援に力を入れれば入れるほど、陣営の求心力が低下し、人が離れていった。小泉さんは票を失わせる疫病神」と、ある市民は証言します。「小泉純一郎」といえば「人気者」の代名詞だったころがウソのようです。
参照:
神奈川11区 (ザ・選挙)
共産支持層と、社民支持層、民主支持層の一部がごとうさんに流れ、残りの民主支持層や、2005年当時の小泉支持層にも吉田さんが食い込んでいると推測できます。
蒲谷さんは、「小泉票」の3分の1程度しか固められず敗北しました。衆院選と市長選がそのまま結びつくとは限りませんが、「小泉進次郎さんが楽勝」ということはもうありえないと見ていいでしょう。
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