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国会ウオッチ!
国会NOW:封じ込めと分断 内閣改造
2005/11/01
小泉首相が内閣改造をした。改革継続内閣と名付け、自分の後継候補に改革を競わせ、路線を定着させたいようである。そうした表向きの狙いは、その通りであろうとは思う。しかし、そうした話はマスメディアでの報道が盛りだくさんであろう。本欄では、裏の狙いを考えてみる。
前もってお断りすれば、これから書く内容の多くは何か公表された資料や、読者が検証可能な根拠によるのではなく、あくまで私見である。「それは違う」という反論が、こちらがなるほどと思う理由を伴って、どなたからか出てくれば、いくらでも撤回、訂正する。
前置きが長くなった。今回の改造の裏のキーワードは、「内なる敵」ではないか。まず、外交政策で言えば、安倍官房長官、麻生外相の顔ぶれについて、対中国、韓国関係を危ぶむ声が出ていると報じられている。それはともかく、このうち麻生氏については、直接、中国、韓国をにらんだ面があるのは当然として、もうひとつの狙いは、親中国派政治家を封じることであるように思う。
その対象は、親中派とされる河野洋平衆院議長である。麻生氏は河野グループ所属である。河野氏から麻生氏を引き離し、重用することで麻生氏に実力を付けさせ、その分、河野氏の力をそぐ。今回、麻生氏は外相ポストである。小泉首相の意向を受けて外交に臨まなければならない。麻生氏を利用し、中国問題で発言をする河野氏を抑える。そんな首相の狙いを感じる。
さらに、河野グループから中馬弘毅氏も入閣した。弱小派閥(グループ)から2人も取るのは、一見、河野グループ優遇に見える。同時に河野グループ分断工作を徹底する意味でもあるというのが筆者の見方である。筆者は、河野議長については、なお政治エネルギーのようなものがたまっていると見ている。小泉首相が麻生氏を後継候補の一人にするようなそぶりを見せるのは、中国政策のみならず、もう少し生臭い観点からの河野氏封じ込めでもあろうと推測する。
次に、内政面で言えば、郵政や三位一体改革などはマスメディアに載るだろう。ここでは、社会保障政策について指摘したい。ポイントは、谷垣財務相と川崎厚生労働相の組み合わせである。何だそれは、と思われるかもしれない。狙いは年金であろう。年金に意味があるのは後述する。年金とは、その一面を突き詰めるとカネすなわち財政である。谷垣、川崎両氏の起用は、財務・厚生両省の歩調を合わせさせるという狙いである。
何しろ谷垣、川崎両氏は、谷垣派である。形式上、親分、子分の関係である。大臣同士がこれだから、役所も従う場面が多くなるのではないか。ここまでは表の狙いである。裏があるだろう。この派閥も弱小勢力である。そこから2人も大臣取る。まさに、ここにも「内なる敵」がいるからであろうと思う。それは加藤紘一氏である。本来、この派閥は加藤氏が継ぐところ、加藤氏が離脱し、谷垣氏がトップになった。
加藤氏は一人になり、「何か」を目指している。要するに総裁をあきらめきれない。その思いを批判するつもりはさらさらない。加藤氏が目標に向かうとき、大義として掲げるのが年金改革であろう。年金問題に取り組むと宣言している。詳しくは同氏ホームページをご覧になるといい。年金を旗印に派閥横断で勢力を結集しようという狙いであろう。
この場合、自民党内での年金政策への異議申し立てになる可能性が高くなるわけで、政府・与党執行部側が年金で加藤氏にかき回されるのはかなわないと思っても不思議ではない。そんな加藤氏に対して、谷垣氏は自分こそ「総裁候補」だと言いたいのではないかと思う。加藤氏が小泉首相のかつての盟友であったとしても、首相はいまや谷垣氏を重用し、川崎氏もセットにすることで封じ込める。先の河野氏の場合と同様に、対中国政策でのやはり親中派の加藤氏牽制の意味もある。そうした首相の裏の狙いがあると思う。
以上は、党内の「内なる敵」であった。「敵」は党外にもいる。その代表は、国会に戻ってきた鈴木宗男議員ではないか。いま鈴木議員は盛んに外務省の問題で政府に質問主意書を提出し、外務省を揺さぶる。税金の使いみちなどが質問の中身らしい。しかし、そのことはここでは触れない。これにどう応じるか。外務省危機管理のトップには、町村前外相では難しいと判断したのではないか。
報道によれば、総選挙で町村氏は地元の北海道で、現職閣僚ながら辻立ちするなど苦しい戦いを強いられたようだった。北海道は鈴木議員も地元である。新党を結成して出てきたように、鈴木議員の影響力がある。何より鈴木議員は雑草型で、官僚の弱みは保身にあることを知り尽くしているところがある。そうした鈴木議員に対し、親子二代のの官僚出身である町村氏よりは、祖父が吉田茂、父が九州の炭鉱王と、名門の麻生氏の方が、弱点は少ないと見たのではないか。
鈴木議員に関しては、もう1人、重要な閣僚がいる。中川昭一農水相である。故中川一郎氏の自殺以来の鈴木議員との確執は、いまも続いているわけである。その関係を利用し、鈴木議員が影響力を発揮しそうになるたびに、中川昭一氏が重要閣僚に起用されている傾向があるように思う。すなわち、鈴木議員の影響力を地元で抑える役割を中川氏が担っているように思う。筆者は両者の北海道での関係は、さながら徳川幕府が薩摩藩を牽制するため隣国・熊本の細川藩を抑え役にした歴史を連想する。
まだ、ほかにもある。長くなるのであと少しだけである。対野党である。額賀防衛庁長官の起用は、民主党・前原代表封じであろう。額賀、前原両氏は、今年5月の連休にそろって訪米し、米政府関係者と会談している。安全保障をめぐりパイプが太いように見られている。前原氏からすれば、そう見られるのを避けたいのならば、今後の行動で政府の思惑をうち破るしかない。
さらに与謝野金融・財政相も民主党をにらんだ起用ではないか。与謝野氏には、大変失礼ながら、選挙が弱いというイメージがある。東京1区という日本の顔である首都のそのまた顔のような選挙区で民主党の海江田万里氏相手に苦戦する。
今回は、小泉郵政選挙で押し上げられて与謝野氏が勝利したとはいえ、次回はどうか。閣僚にするのは、首都での自民勝利を確固たるものにしろという首相のメッセージが込められているように思う。
額賀氏については旧橋本派の処遇の仕方という側面でも筆者なりに考えるところがありや、福田康夫氏を起用しなかったことの問題もある。しかし、もう長いので省略する。
最後に、順序逆になる話である。政治家にとって大臣になるのはうれしいものだという基本である。何を当たり前のことを言うかと思われるかもしれない。以前、政治家から聞いたことがある。自分を大臣にしてくれた首相には感謝するし、大臣を辞めたあとも支持するという心理が働くというのである。首相の権限のうち、この人事権がいかに大きいかわかる。
そうした政治家心理の機微を、当然、小泉氏はわかっていて、あれこれ工夫したのではないか。意外にきめ細かいところがあるように思うのである。
(浜田秀夫)
◇
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[12319] 素晴らしい洞察力ですね。
名前:真田孝高
日時:2005/11/03 20:50
さすがに素晴らしい洞察力ですね。
私などは麻生氏の重用は単なる野中氏や志士の会への当てつけ程度に思っていました。
ただ、鈴木シフトにはちょっと疑問ですけど。