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「僕自身は留学したことがないんです」。留学生の支援活動を行うNPO(特定非営利活動)法人「東京エイリアンアイズ」を主宰する高野文生さんは語る。 「わざわざ海を渡らなくても、外国のことは学べる。日本には留学生や働きに来ている人がたくさんいます。彼らと一緒にいるだけで僕には十分なんです。中国語や韓国語、語学も僕はそうして身に着けました」。 彼の言葉にはっとした。日本に滞在する留学生の数は10万人を超える。確かに、留学生は日本における「外国」との接点だ。 ●留学生サポートのしくみ 高野さんが留学生支援活動を始めたきっかけは8年前、大学の国際交流課に就職したことだ。そこで、複雑なビザ取得手続きや部屋を借りるのに必要な保証人探しなど、問題を抱える留学生たちを目の当たりにする。相談に乗り、トラブル解決に奔走するうちに、一人でも声をあげることで社会が動いていくという手ごたえを感じた。 その後、組織内での活動に限界を感じ、99年に同じ問題意識を持った仲間で留学生サポートに取り組む「東京エイリアンアイズ(TAE)」を立ち上げた。部屋を借りる際の保証人やアルバイト手配、生活の中で起きるトラブル相談、交流イベント、「留学生の声を社会に伝えていくため」の調査活動などを手がける。 留学生が最も苦労していることは「第一にアルバイト探し、次に部屋探し、その次が保証人の確保だ」と高野さんは言う。 外国人という理由で、アルバイトの応募や部屋の入居を断られるのはしょっちゅうだ。また、賃貸契約のための保証人を見つけるのは容易なことではない。保証人には日本国籍を求めるケースが多く、高野さんは、韓国からの留学生の場合、親族に在日コリアンがいるにも関わらず、それが「認められないのは問題だ」と眉をひそめる。 そこで、TAEが考案したのは、「誰もが参加できる留学生支援ネットワーク」だ。一つの軸は、「負担のかからない」保証人ボランティアシステム。何かトラブルが生じた際、発生する費用の負担をTAEの会費で賄うため、経済的リスクを負わずに保証人となることができる。 また、地域通貨を使用したアルバイト紹介を行っている。エイリアンアイズの活動を理解してくれている協賛店にTAE発行の一定の地域通貨(「TAEポイント」)を渡し、留学生アルバイトを受け入れてもらう。労働賃金の支払いは、まずはその通貨から。その後、お互いが希望すれば、留学生在留資格の枠(週28時間)内の長期のアルバイト契約へとつながる仕組みだ。 東京・築地のコンビニエンスストア「新鮮組」を経営する磯崎太一さんは、エイリアンアイズの紹介でアルバイトを雇用した経験を持つ。磯崎さんは、留学生は「熱心でまじめに働いてくれる。特に留学生にしぼって雇用しているわけでもないが、今後も条件に合えば、日本人、外国人、分け隔てなく採用していきたい」と言う。 ●日本の中の国際問題 高野さんが今最も懸念していることは外国人に対する差別意識の高まりだ。銀行や交番に「不審な外国人に注意!」と書かれたビラが平然と貼られる。犯罪に携わる外国人はごく一部。「外国人=危ない」という目で、全ての外国人をひとまとめに考えられてしまうことに高野さんは危機感を募らせている。そうしたビラが貼られる度に抗議を繰り返しているという高野さんは、「外国人差別を禁じる法律がないのがおかしい」と主張する。 「国際貢献」を掲げイラクに自衛隊を派遣する日本。国際紛争、国際貢献、ODA……「国際問題」はしばしば自国外で起きる、外部の問題として捉えられはしまいか。しかし、「国際問題」は日本の中で日常的に起きている。内なる「外国」。そこに目を向けることなしには、日本の国際理解は成り立たないだろう。 日本人/外国人/中国人/韓国人。国家別に人間を分類し、抽象化することで起きる悲劇がある。高野さんたちの「支援ネットワーク」の試みは、国家ではなく「友人」というつながりに支えられた、オルタナティブな関係性を築くものと言えるだろう。 ◇ ◇ ◇
東京エイリアンアイズのHP http://www.tae.or.jp
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