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ブラスと社会の共通点〜「笑ってコラえて」を見て〜

三好英明2004/06/12
放送から二つの「ブラスと社会」を読み取った。「四角四面」が人を共感させられないのは、演奏も法律も同じことだ。
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 僕が本紙で最近取り上げている「笑ってコラえて」(日テレ系)。9日の放送では「日本列島・部活動の旅」が、何と「吹奏楽の旅」に格上げ!かつての「ブラス小僧」の僕はノスタルジィに浸りつつ、中高生の人間ドラマに釘付けになっている。吹奏楽とは実に奥が深い。

 前回登場の名門・習志野高校では、中学屈指のフルート奏者がセレクションに挑む。運命のセレクションまであと11日!彼女の試練はまだまだ続く。また「かつての名門」・さいたま市立・植水中学校は部員不足で廃部の大ピンチ。新入生を確保するために、何とか入学式での演奏を果たしたが、部員集めはこれからだ。9日の放送から、僕は二つの「ブラスと社会」を読み取った。

 まず、“演奏する”ということ。

 習志野高校のフルートのレッスンで、オーディションに挑む彼女達は超ハイレベルの演奏を繰り広げる。しかし先輩からは厳しいダメ出し。コンマの工夫が演奏を左右する。ダメ出しの主は副部長。彼女はスタジオで「楽器は『歌うように吹く』」と奥の深い説明をしていた。

 一方、植水中の11人は、顧問の先生からダメ出しを受ける。「譜面だけ見ていてはダメだ」と。とかく演奏者は楽譜を見すぎる。僕も指揮者をやったことがあるので良くわかる。

 “演奏する”ということ。それは行政庁が法律や規則を施行することにも、同じ理屈が言えるのではないだろうか。「四角四面」が人を共感させられないのは、演奏も法律も同じこと。

 それから、楽器は口先だけでは決していい音が出ない。腹式呼吸に基礎体力、そして「感じる」ことが必要だ。法律や規則も正確な知識がまず求められる。また植水中のOGは、苦闘する後輩にこう言った。「足りないのは人数だけではない。『他のもの』もだよ」。「サムシング・エルス」が必要なのは、国会決議や行政処分、判決も同じこと。

 そして、植水中が入学式で演奏していたのは、何とワーグナーの大作「ニュルンベルグのマイスタージンガー」より「第一幕への前奏曲」!偶然にも僕は、この曲を中学一年の時に演奏している。しかし、この曲は演奏会のメインだった。たった11人だというのに、この大作に挑む彼ら。そこには「どうしてもこの曲をやりたいんだ!」という熱意がビシビシと伝わってきた。

 「マイスター・ジンガー」とはドイツ語で「職人歌手」のことだ。この曲を熱演する11人の中学生は、一人一人が「楽器のマイスター」に見えた。「楽器」を「仕事」に置き換えれば、吹奏楽部とはまさに「職業訓練」!植水中の11名からは「熱意さえあれば何でも出きる」という励ましも得ることができる。習志野高のパート争いも、労働市場の「需要」と「供給」のミスマッチに通ずるものがある。

 一つの「マイスター」を極められる者。たくさんの「職業体験」を余儀なくする者。そして「不合格」でドロップアウトする者…もっとも、ブラスには市民ブラスなど他の受け皿もあるのだが、「仕事」はどうなんだろう?

 ブラスは社会を映す鏡。次回の放送ではどんな「社会」が見えるのだろう?次の放送が待ち遠しくて仕方のない今日この頃である。

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