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短編寓話「茶色の朝」は、フランスの極右ルペンが、2002年の大統領選挙で第二位に躍進し、決戦投票にまで進むという事態になった時、現代的なファシズムを描いた短篇として話題を呼び、ベストセラーになりました。 邦訳も売れているようですから、詳しくはお読みいただくとして、話の中心は、ペットの毛色を茶色に統一するというばかげた法律です。なぜ茶色かといえば、科学的な「選別テスト」によって、「茶色がもっとも都市生活に適していて、子どもを産みすぎず、えさもはるかに少なくてすむ」という結果が出たからだといいます。ファシズムでは定番といえる似非優生学です。しかし、法律によると、茶色以外のペットは、処分しなければなりません。 物語の主人公の「俺」と友人のシャルリーは、何か「妙な感じ」を持ちつつも、法律に従います。 そうこうするうち、シャルリーがよく読んでいた新聞(毛色規制法を批判していた)やその系列出版社が次々と、廃刊・起訴・図書館からの強制撤去といった処分に遭います。それでも、「俺」たちは、茶色に染まることに違和感を感じなくなり、「茶色に守られた安心、それも悪くない」と流れに順応していきます。「規則を守ってるんだと安心」さえもします。 ところが、ある日、シャルリーが「かつて黒の犬を飼っていた」という理由で「自警団」に逮捕されます。いわゆる遡及法です。「俺」はようやく愕然とし、最初のペット特別措置法ができた時に「抵抗すべきだったんだ。でも、どうやって?」と自問します。 しかし、答えの見出せないうちに、ある朝、「俺」の家のドアが強くたたかれます。明示されていませんが、おそらく、自警団です(「俺」は、以前、白に黒のぶちの猫を飼っていた)。しかし、「俺」は、ドアが破られる前から、「いま行くから」と、最後まで従順を貫き、物語は終わります。 《次のページへ続く》 |