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10月8日のアサヒコムに、『特養の寝たきり女性、「猫にかじられ」足指失う 埼玉』というニュースが掲載された。 http://www.asahi.com/national/update/1008/TKY200510080163.html この記事は「同ホームによると」という伝聞記事であるが、なんともショッキングな事件であった。大変な目に合われた「認知症で寝たきりの女性(88)」の方には、お気の毒でお見舞いの言葉も出ない。 記事によると、特養ホームに入所していたその老女は、「右足の指が第一関節のあたりからすべて食いちぎられ、左足甲にもひっかき傷があった」という。 なぜこんなことが起きたのか。 「当時、窓は30センチほど開いており、網戸に猫1匹の入れる大きさのほつれがあった」とあるが、夏の時期であるから蚊が入ってくるのはいわずもがな、鼠も侵入することは容易に考えられる。特養施設は、入居者からそれなりの費用を徴収しているはずだ。認知症という無抵抗な人々を預かっているのであれば、網戸の穴をふさぐくらい、なぜできなかったのだろう? そして「女性のベッドシーツには猫の足跡があり、女性を搬送後、別の職員が中庭で、口の周りが血で染まった猫を目撃。保健所に連絡し、猫は捕獲されたという」と記事には書かれている。 ここで疑問がある。犯人探しではないが、人間の足の指を齧ったのが猫だと断定されたことは、首をかしげざるを得ないのである。網戸の穴から侵入したというのであれば、猫に限らず、複数の鼠の所業だと考えることも可能であるが、こうした他の選択肢がなぜなされなかったのか、まことに不可解である。 次に問題なのは、ニュースの取材である。 まずこの記事は、ホーム側の言い分を鵜呑みにして書かれている。もし犯罪を行ったものが人間であれば、証拠なしにこうした報道がなされるであろうか? しかし、この場合は特養ホームといういわば密室の環境であり、同室者は被害者と同じ認知症の人だという。当該者の家族としては管理者に抗議・苦情を言えない立場であろう。管理者から、文句があるなら本人を引き取ってくれと言い渡されかねないからだ。 5本の足指を失った88歳女性は病院に搬入されたという。処置に当たった医師・看護人のコメントがあってもいいと思われるが、それは全くなかった。また、猫が犯罪を犯したというならば、猫を殺処分したのであろうか。もし解剖をすれば人間の足指の骨が出たはずである。 今回の事件をそのまま受け取るには、あまりにも疑問点があり過ぎると思う。 報道に関しては、猫が人間の足指5本を食いかじった、というのであれば入院先の医師のコメント等を取り、客観的な根拠を示すのが「裏をとった」記事の正しい在り方であろう。今回の場合、何か本質的なものが隠されていると感じる向きは多いのだ。 事件が起こった背景。ホーム内での争いはなかったか? 人為的な事故ではなかったか? その嫌疑をもの言わぬ猫になすりつけたのではなかったか? 専門家の意見を聞いてみたいと思い、飼い猫の主治医ともいうべきS獣医師に聞いてみた。S先生は京都府立医大出身の医学博士で、経験豊かな獣医師である。 「私は、その事件を知らなかったので獣医仲間に尋ねてみましたがね。皆、猫が人間の足指を喰いちぎることはあり得ないというのが一致した意見でしたな。歯型が上下必ず残るので見れば判りますよ。狼の歯とは猫は違う訳で。ただ、糖尿病というなら別でしょうが」というコメント。 以下は猫ファンの集う某掲示板に書き込まれた投稿であるが、公開の許諾をいただいたものを転載する。 ◇ ◇ 2005-10-9(日) 12:11 T 猫が入り込めるほど網戸が大きく破れていたのでは、網戸の役目を果たせませんね。 今年は残暑が長くて蚊も長く飛び回っているのに。 ホームの管理がずさんだったと言われても仕方がないと思います。 怪我をされた方がお気の毒です。 少しでも早く回復されますことをお祈りします。 猫も気になります。 あれがもし本当に報道の通り猫の仕業なら、よほど飢えていたとしか思えません。指先なんて、ツメと骨だらけで、全然美味しくない場所。 それを囓らなければならなかった猫にも哀れみを感じます。 猫の印象がこれでいっぺんに悪くなるのではないかとそれも心配です。 ◇ ◇ 2005-10-9(日) 12:36 A 失礼ながら老人の足指の先なんて、一番まずい場所ですよね。 それを猫が骨を砕いてまで5本とも囓りとるとは、どうも私にはにわかに信じられない。 まして、特養ホームの寝たきり老人では、猫の嫌いな薬品臭も強いでしょうし(部屋全体的に) そんなところで猫がヒトのような大きな存在を襲うかなあ。 昔から寝ているヒトを襲うのはもっぱらドブネズミと相場が決まっています。 骨だって砕きます。 ネズミが老人の足を食べちゃった、それを見た猫がネズミを追いかけ、または、ネズミ臭に惹かれてチェックしに来た、そこで足跡がついたり口が汚れたりした、というのなら分かるんです。 それどころか、もしかしたら猫の口が汚れていたのは、そのドブネズミを殺したからかも・・なんて・・・ ◇ ◇ 2005-10-9(日) 23:53 T 猫さんって、マグロの刺身一切れ食いちぎるにも、 頭を傾けてハグハグと随分時間をかけて噛んでいますよね。 固い骨や爪がある人間の足の指を5本分となれば、どれほど時間がかかるでしょう。 その少し上には、すねや腿などもっと柔らかい肉の部分があるのに。 同室の方もいたそうですよね。 大きな犬の顎ならともかく、本当に猫がそんなことするのでしょうか? 最初にニュースを見た時は、猫ではなくて、 何か機械か重い家具などに指先を挟まれたのではないかと。 ◇ ◇ 2005-10-10(月) 06:28 G 私も、皆さんの意見と同じです。小さいときから猫を飼ったり構ったりしてきていますが、凶暴な人は見たことがあっても凶暴な猫を見たことはありません。先に脅かされ、苛められて抵抗して一見暴れているということはあっても、わざわざ 集合施設の一室に入って人の足の指を喰う?のは、C級映画のようです。猫はそんなに お馬鹿ではないと思ってます。 猫バッシングが おこらなければいいのですが・・・。 ◇ ◇ 2005-10-10(月) 09:40 A 私も あのニュースは信じられません 猫って食いちぎる動作にに時間がかかりますよね 加工食品ならもっと短時間で可能でしょうけど・・・ よく調べないで短絡的にニュースにしてしまうなんて どうなっているのでしょう? ◇ ◇ 私は、大手メディアの記事を否定するものではない。不可解と思うことがらをここに書くまでである。 事件が発生した特養老人ホーム、その管理について警察がなんら調査をしていないことが不可解である。次に、報道がホーム側が提供した情報だけで、記事をまとめたことが不可解である。獣医の意見は重要であるが、それも聞かず、猫に責任をなすりつけたことが不可解である。 猫が人間の足指を喰いちぎったというだけの記事を見れば、それを無批判に信用するのが大多数であろう。猫をパートナーとして生活している、生活者の立場を考えてほしい。 今、何よりも問われるべきは、特養ホーム産業の国家的な監視制度であると考えるのである。猫の問題は本質を巧妙にそらす為のものかもしれないと思う。 |