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パチンコにより、多額の借金を作って生活を破綻させたり、子供を車中に置いたまま打ち続けて死亡させるなどの問題を引き起こす、ギャンブル依存の代表格「パチンコ依存」に対してパチンコ業界団体の全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)が4月に、相談機関「リカバリーサポート・ネットワーク」を設立するという。 しかし、パチンコ依存を発生させる側が的確な依存対策ができるのか、はなはだ疑問だ。まさか「マッチポンプ」(意図的に自分で問題を起こしておいて自分でもみ消すこと)ではあるまいが、依存はその根本原因を除くしか解決策はないことを理解していないのではないか。 現在、日本のギャンブル人口はおよそ2000万人でそのうち3%の60万人ほどが「ギャンブル依存症」とされている。予備軍まで含めれば400万人ほどがギャンブルに問題がある「病的賭博」の状態にあるという。ギャンブル依存は病気と認定されており、依存症全般に言えることだが治療するにはその原因となる対象を除くことが最も有効な治療法である。 依存症治療で実績のある赤城高原ホスピタルのホームページによると「長期に病的賭博行為が続くと、経済的危機、信用の失墜、対人関係の悪化、家庭崩壊、多重債務、破産、失業、自殺行為、犯罪などのトラブルに巻込まれる。 援助を求めてきた病的賭博者の約20%が自殺を試み、3分の2が賭博資金を得るために犯罪行為をしたという報告がある」という。こうした深刻な病気に業界団体が資金を拠出することは当然だが運営主体はあくまで患者や医療関係者らであるべきだ。一方で遊戯をあおりつつ、依存の抑止に努めることなど可能なのか。 ギャンブル依存の自助グループ(患者らがミーティング形式で回復を目指す集まり)であるギャンブラーズ・アノニマス(GA)が掲げる「一致のプログラム」の7番目には「すべてのGAグループは、外部からの寄付を辞退して、自立すべきである」ことが明確にうたわれている。 外部からの援助に頼ることは依存症者の「自立」をさまたげることになる。まして病的賭博の状態を作り出している張本人が資金を拠出することは、明らかに自立をさまたげ回復をはばむことにつながりかねない。今回は1億円が拠出されるというが、億単位の金を用意されて「はい、これであなたたちの問題を解決しなさい」ということの傲慢さを反省すべきだ。自助グループはあくまで患者が主体となって運営されることで、患者自身が自立の精神を養い回復していくのが原則なのである。 GAのプログラムは訴える。 「問題あるギャンブラーにとって、ささいな賭けに手を出すということは、アルコール依存症者がほんの少しの酒に手を出すのと同じことである。遅かれ早かれ、かつての破壊的なパターンに戻ることになる。見えない一線を越えて、ギャンブルが責任の持ちようのないコントロールできないものになってしまったら、コントロールを取り戻すことはできない。2・3ヶ月やめていた後で、小さな賭けを試してみたメンバーもいるが、必ずひどいことになった。古い強迫観念が避けようもなく戻ってきたのだ。GAの経験によれば、私たちのとるべき道は2つに1つのようだ。ギャンブルをしてどんどん悪くなっていくか、ギャンブルをやめてより良い人生を歩むかである」 つまり、依存から回復するには先ず依存の対象に手を出さないことが基本なのである。 残念なのは今回、設立されるリカバリーサポート・ネットワークの代表に依存症の専門医が就くことだ。専門医なら依存症の治療と回復に誰よりも深い洞察と知識をもつはずだ。彼がどうしてこのようないびつな形の援助に「荷担」することになったのか真意を聞いてみたい。 業界団体がパチンコ依存の解消に向けてできることは遊技機の賭博性を無くすことだ。しかしこれは絶対にできないことだろう。肥大化したパチンコ産業を支えているのは常識はずれの高い賭博性だ。それに警察の外郭団体も加わって日々、パチンコ依存症患者を生み出しているのが現実なのだ。 |