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日本は世界一の「精神科病院大国」だ。入院患者数は人口比でも絶対数でも、ずば抜けて多い。先進国では1970年代に、精神障害者の入院医療から地域生活支援へと、政策転換をはかったが、日本は私立病院のベッド数を増加させるという誤った施策を継続してきた。最近の調査では、精神科病院の入院5年以上の患者が43%、20年以上の患者も15%を占める。つまり、高齢の「社会的入院」患者が多いということだ。 障害者自立支援法で精神科病院の「退院支援施設」 閣議決定を経て2003(平成15)年度から実施されている「新障害者プラン」は、精神障害者の入院から地域生活への政策転換を打ち出し、社会的入院の7万2000人については、10年以内の解消を掲げた。 関連サイト:新障害者基本計画及び重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)について(厚生労働省)など ところが、精神科病院の入院患者を減らすため、一部の病棟を「退院支援施設」に転換する計画を、厚生労働省が審議会にも諮らず今年4月末に突然打ち出した。精神科病棟の改築や新築により、入所施設に変えるというもの。経営は精神科病院だが、財源は医療保険でなく「障害者自立支援法」による福祉施設。病院敷地外に建てる場合は、20〜30人規模で個室が条件だが、病棟の転用なら20〜60人規模で4人部屋でも認める。その工事には1件1億円前後の補助金が予定されているという。 関連サイト: 精神保健福祉施策の改革ビジョンの枠組み (厚生労働省) 精神科に「退院支援施設」 入院患者減へ厚労省計画(読売新聞) [解説]精神科病院に「退院支援施設」(読売新聞) など 看板書きかえによる「偽装」施策 退院支援施設では職員の資格も必要なく、職員数も少なくなり、支援が手薄になり、精神障害者の「ついの住みか」になってしまうことが懸念される。 障害者団体は「精神科病院の看板書き換えは地域移行ではない」と反発し、この施策の撤回を求め、8月23日に厚生労働省と交渉を持った。全国から約250人の精神・知的・身体障害者などが厚労省前に駆けつけ、抗議行動をねばり強く行った。交渉は8時間に及んだが、厚労省はあくまで「地域移行施設」制度の実施を諦めていない。 交渉に参加した“全国「精神病者」集団”の七瀬タロウさんは、「退院支援施設で2〜3年も、生活・就労訓練を受けねばならないのか。厚労省が生活訓練の例としてあげたのは、たとえばシーツ交換だ。精神科病院の入院者のうち、60歳以上が40%だが、年金で暮らす高齢者が就労訓練して、地域で働けということなのか」と疑問を投げかける。 精神障害者の退院促進という「偽装」施策が、今まさに行われようとしている。 ◇ ◇ ◇
関連サイト:(社)やどかりの里など
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