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2007年1月17日に計測した神奈川県藤沢市藤沢橋における天谷実測値と行政発表値。赤字が天谷博士計測値。単位はppm。(天谷博士許諾済み)
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左の行政発表値。単位はppb。
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天谷博士設計のザルツマン式湿式窒素酸化物基準計量計。左側の2本の計量管は発光式で、最左端がNO2、次がNO計量管。(天谷博士提供)。
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大気汚染物質広域監視システム測定局別NO測定値。右の鉛筆書き込みは筆者。数字の単位はppm。
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同左のNO2の行政発表値。時期は同時期。右の鉛筆による書き込みは筆者。数字の単位はppm。
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1.今日会えませんか……?
3月3日の午前、比較的早い時刻に天谷和夫博士から突然電話がかかってきた。天谷博士は、かつての通産省(現経済産業省)の総合科学技術研究所の主任研究官として、大気汚染測定で簡易測定装置を発明され、そのほうの権威として著名な方である。引き続いて群馬大学教授として研究・教育生活を送られたが、定年退職後は市民活動に積極的に参加されて、自らNGOを設立して代表を務めておられる。
博士の実弟の天谷芳夫さんには、神奈川県環境リーダー会会長役をわたし自身の次に引き継いでもらった義理もあるし、芳夫会長時代にはリーダー会研修講座に天谷和夫博士を引っ張り出した張本人として、芳夫氏亡き後少し忸怩とした思いもある。
要件は今日わたしに会えないか、というのである。博士とは西八王子の農薬会社跡地の土壌水銀汚染事件でも一緒に活動し、八王子、日野周辺の企業跡地に関する市民集会にご一緒に講師を務めた経緯もある。世田谷区にお住まいの天谷博士とわたしの住居がある逗子との中間点、横浜で会うことにした。
2.改善されない大気環境
お話の筋はこうである。ここでは、今年2月、環境大臣宛てに天谷博士が提出された資料を主に記事を構成する。(*1)
(*1)補注=博士からの電話後、すぐに大気環境の測定を行なっている市民団体と連絡をとり、おおよその状況を確認した。当日、博士から頂戴した資料は多岐に亘るが、あらましの状況を抑えた上でこの資料を基に報告する。
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環境大臣若林正俊氏宛ての文書によると、その冒頭で天谷博士は、今年1月17日、神奈川県藤沢市藤沢橋自動車排ガス測定局(*2)において、藤沢市職員の了解の下、基準測定器を用いて(*3)比較測定を行なった、という事実と測定値が示されている。
(*2)補注=神奈川県下には自動車排ガス自動測定局は300個所以上あるが、測定環境は一定しておらず、「大気汚染防止法施行規則」の条件を満たしている個所は稀である。
(*3)補注=この記事の後段で述べるが、日本全土における酸性雨のpH値は、1993年現在ですでに5.6を示し酸性化していた(7.0以下の数値が酸性化の目安)。しかも年々酸性度は高まっている。脱硫装置の設置が義務づけられて以後、火力発電所や化学プラントの排ガスでは酸性度が減少したが、物流に関与しているディーゼル発動機装着のトラック輸送による排ガスでは、東京都、神奈川県など規制が早くから実施された自治体では、基準測定の数値に「捏造か」とまで疑われる「行政的配慮」がなされていると推量されてきた。
軽油だけでなくガソリンなど化石燃料の燃焼にともなって、硫黄酸化物(温暖化寄与物質)、SO
2、NO
2、NO、NSO
4などが排出される。いずれも規制対象である。
基準測定器には、湿式ザルツマン計量計、乾式化学発光式窒素酸化測定器があるが、天谷博士は基準測定器としてザルツマン式湿式計量計に、NO
2捕集用インピンジャー、過マンガン酸カリウム−硫酸容液酸化ビン、NO捕集用インピンジャー、採気用エアーポンプ、湿式積算流量計を直列に接続した「新天谷式計量計」を使用して実測した。この計量計による酸化度を70パーセントとしている。この値は、極めて良心的であろう。
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天谷博士らは、神奈川県藤沢市以外でも測定を行なっている。千葉県市川市行徳測定局、東京都八王子市八木町測定局、そして全国でワーストワンと言われている東京都世田谷区等々力出張所3Fの測定局などである。これらの測定局で得られたとされる数値は、異常に低く発表されている。特にNO及びNO
2において著しい。
天谷博士はこれら測定局で使用されている基準測定器に目を向け、千葉県市川市行徳測定局は、「島津製作所製化学発光式窒素酸化物測定器」を使用、東京都八王子市八木町測定局は、「東亜DDK社製化学発光式窒素酸化物測定器」を使用、いずれも特にNOが異常に小さい値を示している。(*4)
(*4)補注=一般にNO値は徐々に空気中の酸素と接触し、NO
2になるのでNO値の方が速報値ではかなり高く出るのが普通である。
2000(平成12)年4月改正の「環境計量証明検査」の価格表では、化学発光式窒素酸化物濃度計では、4物質以上の表示が可能な場合、価額は105,000円程度、非分散型赤外線式窒素酸化物濃度計では113,500円などとなっている。測定器製造者が自治体へ納入する軽量機に拠らない場合、「環境計量証明」が認証されていないので、数値はそのままでは認定されない仕組みである。この政府の縛りがあることは、新しい計量器の参入を阻むことになる。
この仕組み自体が、特定の計量器メーカーが自治体から指定競争入札の形を採りながら、随意契約によって購入することになりかねない。
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このNO値が低く抑えられて公表されるとすれば、「ゼンソク」など呼吸器疾患の健康被害も光化学スモッグによる眼科的疾患も増加する。現在では高血圧疾患において血圧上昇が起こることも分かっている。光化学スモッグに起因する死者と考えられる事例も出てきている。
この現象について、天谷博士は計量器に装着されている触媒によって「一部分アンモニアまで還元され、これが二酸化窒素と結合して、粉塵状の亜硝酸塩を生成し、大気中に浮遊して」いると指摘している。この微小粒子状物質の量は、「自動車交通の激しい沿道で多く、日よって大きく異なることが観測されている」とし、「粉塵状の亜硝酸塩は固体状のNOであり、その人体への影響はガス状のNO
2より大きいことが予想される」としている。(*5)
(*5)補注=厚生労働省は2001(平成13)年度から「微粒子状物質暴露影響調査検討会」を立ち上げて(対象物質はPM(Particulate Matter:粒子状物質)、SO
2、NO
2、CO)、2007(平成19)年度までに「疫学WG」、「毒性WG」、「暴露評価WG」の分科会を設置して調査継続中である。ただし、基礎データとしては環境省より提供を受けた「一般大気汚染測定局測定値」を用いているので、そのままでは受け取りにくい。
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そのためには、天谷博士は現在使用されている測定器が、「大気中の粉塵が導入されないように空気取り入れ口には粉塵除去用にフィルターが装着されているので、粉塵状亜硝酸塩は測定されていない」と指摘している。
天谷式測定器によって測定した値を、全国ワーストワンとされてきた東京都板橋区大和町交差点測定局の測定データと比較考量した結果、「大幅なデータ操作」がこの場所以外にも及び、「汚染の激しくない場所でも見られる」ようになったと指摘している。(*6)
(*6)補注=かつてこの測定局で出された数値が、推定された値がはるかに低く、「捏造」であると報道された。この数値操作は、物流業者、輸送業者、自動車製造業者、見返えりに政治・行政に還元されることは容易に想像される。その総額は隠蔽されている構造があり、推計を許さないほどの巨額に上るであろう。
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おりしもオリンピック招致のために、東京中央卸売り市場(築地市場)を東京ガス、東京電力火力発電所跡地に移転するという政策が発表された。土壌汚染ではサイト内に投棄された重金属の化学毒性が心配されている。重金属には揮発性ガスを放出するものがあり水銀が最も有名だが、ダイオキシン類の中にもVOX(揮発性微粒子)を放出するものがある。
それも含めて、天谷博士が指摘した構造自体を崩さない限り、土壌汚染の数値も、大気環境の測定値「操作」は続くのであろう。天谷提案を受けて、わたしども神奈川県在住者で行政に対する「監査請求」を行なうことを視野に、現在、新たな測定を進めている。
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