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築地移転問題、国政の場へ

田中龍作2007/04/11
移転先の豊洲(江東区)は東京ガスの都市ガス製造工場跡地で、環境基準を大幅に上回る毒性(ベンゼン、シアンなど)が土壌に含まれていることが明らかになっている。「食の安全・安心」をめぐる新たな展開があった。
東京 食 防災・復興
 東京都知事選挙の争点とされた築地市場の移転問題。移転先の豊洲(江東区)は東京ガスの都市ガス製造工場跡地で、環境基準を大幅に上回る毒性(ベンゼン、シアンなど)が土壌に含まれていることが明らかになっている。

 豊洲への移転をかたくなに進める石原慎太郎知事が再選されたことで、「食の安全・安心」を心配されている向きは少なくないことだろう。

 ところが国政の場でブレーキをかける手段がまだ残されていた。10日、衆議院環境委員会で民主党の川内博史議員が環境省と農林水産省を追及した。移転に反対する築地の仲卸業者で作る「市場を考える会」の幹部が同委員会を傍聴し審議の行方を見守った。筆者は同行取材した。

 土壌の有害物質から国民の健康を守る法律として「土壌汚染対策防止法」がある。

 「ベンゼンが環境基準の1500倍、シアンが490倍」(東京ガス発表の数値に基づく)も含まれている豊洲に鮮魚や野菜の市場を持っていくことは、法律の趣旨に反する。

 ところがこの法律には抜け穴がある。豊洲を指定区域からはずすために抜け穴が設けられたのだ。「土壌汚染防止法・附則第3条」である。この条項は「法律の施行以前に使用が廃止された土地には同法を適用しない」というものだ。

 土壌汚染防止法が施行されたのは2003年2月。東京ガスが豊洲の土壌汚染を発表したのは2001年1月のことだった。

 環境庁(当時)は豊洲の土壌汚染を知りながら「附則3条」を制定したことになる(言い方を変えれば、知っていたから抜け道である「附則3条」を設けた)。川内議員はこの点を追及した。

 環境省の寺田達志審議官は「法制上の整備だった」と説明した。

 だが、川内議員は「附則3条は法制上の技術上の問題ではなく政策的(政治的な意図)に設けられた」とする内閣法制局の証言を突きつけた。

 さらに立法化の過程で「環境庁と東京都の間で綿密なやりとりがあったのではないか」「文書があれば提出して下さい」と迫った。

 寺田審議官は「豊洲のことを把握した中で立法がなされたことは事実」「立法にあたっては様々な地方自治体と意見交換し、東京都とも綿密な連絡をとっていた」と認めた。

 川内議員の追及は農水省にも及んだ。食料(築地は魚に加え野菜・果物も取引されている)を扱う市場に関する問題なので農水省の管轄となる。

 農水省が築地市場の豊洲への移転を定めた2005年の整備計画は、「食の安全・安心」が基本方針に盛り込まれている。

 ところがこの整備計画を審議する「食糧総合分科会」のメンバーには、科学的知見を有するメンバーが入っていなかったのではないか、と川内議員が迫った。

 農水省の佐藤和彦・総合食料局次長は「土壌汚染の専門家は入っていない」と認めた。

 川内議員が農水大臣と石原都知事を環境委員会に招くことを要望して、10日の環境委員会は閉会した。

 同委員会を傍聴した「市場を考える会」の山崎治雄代表は次のように感想を話した。

 「『附則3条』は豊洲のために作ったような法律だ。寺田(環境省審議官)の答弁には怒りを通りこした。これが我々の生活を脅かしているのか。政府は食の安全・安心を考えているのか。他人事のように聞こえた。こんなもんが政府なのか」

 日本の近海沿岸はもとより世界の海の魚が荷卸される築地市場。競り落とされた鮮魚は各地の魚屋、スーパーに並ぶ。そもそもが、築地移転問題は一自治体の東京都だけではなく、国政レベルの問題だったのだ。輪郭がはっきり見えてきた。
◇ ◇ ◇
築地移転問題、国政の場へ
今後の国会戦術を練る川内議員(右)と「考える会」の山崎治雄代表(国会議員会館。撮影:いずれも筆者)
築地移転問題、国政の場へ
川内議員にこれまでの経緯を説明する「考える会」幹部の野末誠さん(右)。
築地移転問題、国政の場へ
野末さん(左)は国会に乗り込むわずか30分前まで築地市場で仕事に精を出していた。

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[26721] 続き
名前:岡田克敏
日時:2007/04/14 00:02
安井至氏の「市民のための環境学ガイド」</a>がお薦めです。もしご興味があれば。
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[26720] 判断できません
名前:岡田克敏
日時:2007/04/13 23:56
佐藤さん 

 環境学会の方はHPの内容が乏しく、判断材料が十分ではありません。幹部の名前に有名人が見あたらないし、会報のようなものを年3回発行されていて、その目次が載っていますが、内容の乏しさが印象的です。かなりマイナーな団体という程度しかわかりません。


 ただ日本科学者会議公害環境問題研究委員会と共同で科学者らしくない声明を出すことから考えると、権威を信じない方がよいかもしれません。


この問題と直接にはつながりませんが、この方面では、[返信する]
[26717] 意味のあるコメントを
名前:佐藤折耶
日時:2007/04/13 22:11
岡田さん


私は専ら環境学会の方だけ見て、日本科学者会議公害環境問題研究委員会の方はノーチェックでしたが、環境学会に同じようなケチがつけられるんですか?


でないと、ケチをつける意味があんまりないと思いますよ?:)
[返信する]
[26713] お久しぶりです
名前:岡田克敏
日時:2007/04/13 21:27
 やあ佐藤さん、相変わらずお元気そうですね。
ご紹介の日本科学者会議公害環境問題研究委員会などの声明を読み、そのHPも見ました。

 日本科学者会議公害環境問題研究委員会という名前から受ける印象とはちと違いますね。声明文は科学者らしくなく、またHPには憲法改正反対の声明までありました。日本科学者会議の代表幹事5名のうち自然科学者らしいのは1-2名だけです。政治色の強そうな印象です。


佐藤さんのお好きな「権威」ある団体の声明とはちょっと・・・

[返信する]
[26706] 築地市場移転問題
名前:忍野タカユキ
日時:2007/04/13 14:40
築地市場移転が避けられない問題であるなら、オリンピックスタジアム建設予地とされている築地と目と鼻の先の晴海に市場移転建設すればいいだけじゃないの?
で、あり得ないことだと思うけど、もし“TOKYOオリンピック”開催が決定したら豊洲にスタジアムを造ればいいんじゃないの。
豊洲の地は市場建設地にするには無問題だけどスタジアム建設地としては適していないのかね。

豊洲移転反対派にはギャーギャーとヒステリーを起こすだけじゃなく、この位のツッコミをいれて欲しい。
[返信する]
[26701] 典型的な予防原則の適用事例
名前:佐藤折耶
日時:2007/04/13 13:02
調べればすぐわかることですが、既に専門学会からの反対声明がでています。事は食品、殊に毎日の生鮮食品に関するものですから、可能な限りリスクは避けることが原則です。これだけで避ける理由として十分でしょう。


「『築地市場の豊洲移転問題を考える』シンポジウム声明 」
by 日本環境学会 & 日本科学者会議公害環境問題研究委員会



それ以前に、1956年から30年も稼働していたガス工場の跡地に、生鮮市場なんてありえないと思いますが。便器を食器にするようなものです。


またそもそも日本の役所は、こういう場合に完全に信用するのは難しいものがあります。最近でも、原発でもタミフルでも、調査が不十分であったり、バイアスがかかっていたりと、信頼性に疑問を抱かせることばかりなのは、よく知られていることです。つまり、数値自体鵜呑みにできませんし、処理なるものの信頼性も疑問となります。現状把握も対策も信頼できない以上、鵜呑みもリスクになります。


実際、オーマイによると、都が発表していなかった、地下水のひどい汚染も判明したようです。


都側の「豊洲は安全」はウソだった(OhmyNews)


田中康夫氏が築地市場移転問題で豊洲を視察(OhmyNews)



やはり、ベンゼン、シアン、ヒ素、水銀、鉛、六価クロムなどで汚染されている場所に、わざわざ食品市場を設けること自体、正気とは思えません。学会による反対声明があるくらいの場所です。将来、想定外の汚染が起こる可能性が絶対ないと断言できる人もいないでしょう。わざわざあえてリスクを冒す必要は、全くないと思いますよ。


末光さんの仰ることもわからないではないですが、事は毎日の食品に関することです。危険性を厳密に検討するまでもなく、予防原則でいけばいいことです。わざわざ汚染地に市場をもっていく必然などなく、汚染地以外を市場にすれば、完全に回避可能なリスクなんですから。


あと、論点以前の話として、市場か緑地かという問題ではないです。別に封鎖したっていいわけです。また、残留農薬や蓄積重金属の存在や青梅やガソリンに含まれているからといって、新たな食品への汚染を許容するということにはなりえません。食品では、明確な危険が明らかにならなくても、危険の可能性自体を可能な限り抑える方向で検討されるべきものだからです。


どうせ汚染されているんだから、ちょっと汚染が増えたってたいしたことない、というのは、食品の場合は無理です。リスクの可能性があれば予防する。そういう性質の問題です。しかも今回の場合、豊洲に移転しなければ、回避可能です。移転しなければならないなら、豊洲以外にすればいいことです。

[返信する]
[26683] 末光健志様に賛同します
名前:岡田克敏
日時:2007/04/13 00:22
 汚染の状況は「土壌汚染状況調査報告書」(2002、東京ガス)に示されており、約2000地点(ベンゼンは約400地点)の土壌溶出試験分析試料のうち、最大値として例えば、ベンゼンは15mg/L(環境基準の1500倍)、シアンが49mg/L(490倍)、ヒ素が0.49mg/L(49倍)、水銀が0.012mg/L(24倍)、鉛が0.093mg/L(9.3倍)等、となっているそうです。


 まず汚染の危険度を問題にする場合、フェアな議論のためにはこれらの数値は最大値であることを示す必要があります。ベンゼンとシアンの濃度が高いですが、ベンゼンはガソリンの中に約1%(96年までは5%)含まれるものであり、シアンは急性毒性は強いものの、市販の青梅にも果肉部に270 〜 575ppm、種子に992 〜 3 ,520ppmが含まれております。極端に恐れるようなものではありません。


 したがってこの土地に市場を設けるのは危険であるという主張にはもっと具体的な説明が必要であると思います。地中の汚染物がどのような経路でどの程度の量が食品へ移行するのか、という検討なしでの判断は無意味です。
[返信する]
[26674] 土壌汚染と食の安全は、具体的にどうリンクするのか
名前:末光健志
日時:2007/04/12 21:51
土壌汚染が深刻な土地に市場が移転させられることに対して、漠然とした不安があるというのは分かりますが、具体的、科学的に、田中記者はどのような危険性を認識されているのでしょうか。

汚染土壌は当然、責任のある企業が浄化すべきですが、その後で市場が建設されたとして、本当に食の安全が脅かされるのでしょうか?

市場になった場合、現在の築地と同じくその敷地のほぼ全てがコンクリートで覆われることになるかと思うのですが、市場のコンクリートの下、深くに残るであろう汚染土壌の化学物質が、どのような経路をたどって消費者(もしくは市場関係者)の健康を脅かすのでしょう。どのような危険性があり、それは輸入農産物の残留農薬や魚介類の食物連鎖による重金属の蓄積などの危険性よりも高いと考えるべきなのかどうか。築地や豊洲の今後の用途に関して、冷静で科学的な議論を進めるためには、そのような情報が不可欠だと考えます。

現在移転先とされている豊洲が、もし緑地などにされてしまい、土壌がコンクリートに覆われないとすれば、それこそ都民の健康を脅かす可能性が高くなると考えます。工場にすればよいのでしょうか? 逆説的に言えば、その場合、そこで生産される製品は「安全」でしょうか?

石原さんは私も嫌いですが、「汚染土壌のある土地に市場が移転=食の安全が脅かされる」というように決めつけてしまうのは、科学的ではないような気がします。
[返信する]
[26667] 佐藤折耶さま
名前:田中龍作
日時:2007/04/12 19:56
 レスが滞りましてすみませんでした。

 
 都知事選挙は佐藤さんはじめ読者諸氏のご指摘の通りです。小生、できうる限り有権者にインタビューしました。いい加減な社よりサンプル数がありますよ(笑・ウソ)。

 
 有権者は、ヘタな学者よりもよっぽど政治を見抜いています。組織力の差に加えて、それがそのまま選挙結果として現れた、といったところです。

 
 「築地移転問題」は国会での今後の展開が楽しみです。30〜40年前の演歌に♪名古屋がダメなら大阪があるさ♪というのがありました。水前寺清子でしたっけ?

 そんな気持ちです。


[返信する]
[26632] なんとまぁ
名前:佐藤折耶
日時:2007/04/12 07:44
田中さん


この記事は、すごくいいですね。いつにもまして感心しました。


しかし、国ともそういう繋がりがあったとは・・・。まぁ大規模開発では、当然なんでしょうが、それにしてもうまいこと裏があるのですね。どういう思惑だったのか、まだまだいろいろありそうですね。

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