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読売、国交省の尻馬に?住宅性能表示で

江口征男2007/11/09
性能評価住宅を購入する方は、くれぐれも「建設性能評価書」の確認を怠らないでほしい。そして、記者はもっと勉強してほしい。「住宅性能表示制度」について書くのなら、問題点をも指摘してもらわなければ記事に信頼を置くことができない。
日本 住宅 防災・復興
目次:

【千葉のマンションで工事ミス】
【設計者、工事監理者の名前がわからない記事】
【住宅性能表示制度の問題点とは】


◆◆◆◆◆

【千葉のマンションで工事ミス】

 11月7日、千葉県市川市で工事中の高層マンション「ザ・タワーズ・ウエスト プレミアレジデンスで、鉄筋の不足が見つかり30階までで工事が中断している、という記事が出た。
 施工者は清水建設など5社からなる共同企業体だ。

 WEB版読売新聞/10時0分:鉄筋不足マンション、住宅性能表示制度の任意検査でわかる

 「……発覚した施工ミスは、施工者側のチェックではなく、住宅性能表示制度の任意検査で見つかった」「……高い品質の住宅であることを保証するため、同制度に基づく検査を第三者機関『日本建築センター』(東京)に依頼している」とある。

 しかし、「住宅性能表示制度の任意検査」は誤りだ。住宅性能表示制度の利用は任意だが、利用した以上、検査を受けることは義務づけられる。
 
 「今回の場合、住宅性能表示制度を利用していなければ、さらに発見が遅れたとみられる」という記述もあり、住宅性能表示制度の解説もしている。制度を評価しているともとれる記述だ。

 だが、住宅性能表示制度が評価に値するのかといえばそうでもないのだ。その理由は最後に書く。

読売、国交省の尻馬に?住宅性能表示で |

読売、国交省の尻馬に?住宅性能表示で | <center><b>性能評価マーク</b></center>
性能評価マーク

 筆者は、姉歯偽装事件の報道に関して05年12月15日の記事
 「構造計算書偽造事件に思う その2 工事監理は行われたのか」の、8)12月4日の項と、12)12月7日の項で、
 読売新聞の記事【第2の耐震評価「住宅性能表示」 偽装物件にはゼロ 国交省、指導強化へ】を批判した。

 今回も、また国交省の尻馬に乗ったのかと思った。
 
 ところが、数時間後に確認したら、10時0分の記事は後ろに下がって?下記の記事に変わっていた。
 だが、時間を見ると7時間も前、3時0分のものだ。軌道修正したのだろうか。

 WEB版読売新聞/3時0分:清水建設の超高層マンション、鉄筋不足…30階で工事停止

 「このマンションは、住宅の品質確保を目指す住宅性能表示制度による任意の中間検査の対象になっており、先月11日、評価機関の財団法人「日本建築センター」の職員が、工事中の30階部分を検査した際、鉄筋の本数不足を見つけた。(以下略)」

 ここには、10時0分の記事のような 見え透いた“よいしょ”はない。

 朝日WEB版/11時31分:高層マンション、鉄筋128本不足で工事中断 千葉


【設計者、工事監理者の名前がわからない記事】

 読売、朝日とも記事には重要な(肝心な)設計者と工事監理者の名前はない。マンションの公式HPを見ても、完売したからか、問題が発覚したからか、シンプルなものだ。やはり載っていない。
 関連サイトを探したら、設計者は設計事務所最大手の日建設計ということが判った。それなら工事監理者も同じだろうし、この規模の建築なら数名が現場に常駐しているはずだ。
  
 現場では、鉄筋工事業者の施工したものを施工者(共同企業体)の現場管理者がチェックし、さらに工事監理者(設計事務所)が検査するのが普通だ。
 3重の検査が正しくできていれば、指定住宅性能評価機関に頼る必要はない。

 このような基本的なことを押さえていない(知らない?)から、記事を一読しても疑問がいっぱい残る。記者はもっと勉強してほしい。

 「住宅性能表示制度」について書くのなら、問題点をも指摘してもらわなければ記事に信頼を置くことができない。批判精神のないジャーナリストは存在価値がないだろう。

読売、国交省の尻馬に?住宅性能表示で |

【住宅性能表示制度の問題点とは】

 下記は、『ハウスメーカー77社個別診断・最新版』(建築ジャーナル)P202以降
【品確法「住宅性能表示制度」による家の資産価値評価はまやかし】(筆者執筆)からの引用だ。

(引用開始)
「設計性能評価」と「建設性能評価」の裏面
  
 設計性能評価とは、設計段階で「このような性能の住宅をつくる」と申請し、評価機関がその仕様を確認し「設計性能評価書」を交付します。(中略)工事中の評価機関による検査に合格して「建設性能評価書」が交付されます。(以下略)

エセ性能評価と紛争処理機関の無力

 国交省HPで公表されている「住宅性能表示制度の実施状況」を検証した結果。以下のことが分かりました。(中略)
 (性能表示制度を利用した)共同住宅の32%が「設計性能評価書」は受けながらも、「建設性能評価書」は交付されていないことを示しています。(中略)
 国交省は「建設性能評価書が交付されていなければ、性能評価住宅ではない」と、声を大にして国民に知らしむべきです。(以下略)
(引用終り)

 説明を付け加えれば、販売時に「設計性能評価書取得済み」とあっても、検査に合格して「建設性能評価書」を取得していない建築が30%以上存在する可能性が高いということだ。

 その理由として考えられるのは、工事中及び完成後の検査に合格しなかったか、初めから「設計性能評価書取得済み」を販売のツールに利用したかだろう。
 後者は悪質な確信犯だ。

 性能評価住宅を購入する方は、くれぐれも「建設性能評価書」の確認を怠らないでほしい。

 これは戸建て住宅にもいえることだ。
◇ ◇ ◇

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[31410] 配筋検査はしなくてもよい工事監理契約?
名前:江口征男
日時:2007/11/30 11:48
【設計者、工事監理者の名前がわからない記事】の項に、
「現場では、鉄筋工事業者の施工したものを施工者(共同企業体)の現場管理者がチェックし、
さらに工事監理者(設計事務所)が検査するのが普通だ」と書いたのだが、
次の記事で少しだけ判ってきた。

鉄筋不足マンション“記録上は適切施工”でミス見抜けず、監理の日建設計 2007/11/12

引用開始

「設計・監理者の日建設計が「KEN-Platz(ケンプラッツ)の取材に対し、
工事監理で施工ミスを把握できなかった事情を説明した。同社広報室によると、
配筋が適切かは施工者が作成する品質管理記録で確認する契約になっており、
この記録によれば配筋は設計図書の通りだった。
 日建設計は施工者の品質管理記録に基づく監理のほかに、契約に含まれない自主的な監理業務として、
主要な部位の施工状況を目視でチェックしていた。
鉄筋不足が発覚した柱は、このチェックの対象には含まれていなかったと説明している。」

引用終り

 どうやら、事業者との契約では「施工者の書類を確認するだけで、実際の検査はしなくてよい」ということになっているらしいのだ。
 最初の記事で清水建設の担当者が、日建設計には言及せず、責任を一手に引き受けるような不可解な発言をしていたことも理解できる。

「配筋検査(鉄筋の検査)はしなくてもよい工事監理契約」が存在するとは驚いた。
 それなら、建築基準法上の工事監理者は清水建設として届けているのだろうか。

 しかし、それなら日建設計の名前は、購入者への宣伝材料として使ったのだろうか?
 ぜひ知りたいところだ。
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