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穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」 

伊吹春夫2008/04/04
桜の便りと共に、平成20年の稲作がスタート。愛知県渥美半島でも08年度の稲作が始まりました。今が「籾蒔き」の真っ最中です。当地では、水田裏作のキャベツやブロッコリーの収穫を済ませてから、すぐに耕耘・代掻き・田植え、となる田が多数あります。4月20日頃から田植が始まります。
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 桜の便りと共に、平成20年の稲作がスタートしています。南九州や四国の一部では田植も始っています。

 愛知県渥美半島でも08年度の稲作が始まりました。今が「籾蒔き」の真っ最中です。当地では、水田裏作のキャベツやブロッコリーの収穫を済ませてから、すぐに耕耘・代掻き・田植え、となる田が多数あります。したがって、4月20日頃から田植が始り、ゴールデンウィークには完了します(※1)。

 田植までの農作業の内「籾蒔き風景」を紹介します。種籾(おコメの種)は種籾専用のコンバインで収穫し選別したものが、「たねもみ」として販売されています(※2)。専業農家では、この「たねもみ」を作付け予定面積の半分ほど購入します。不足分は昨年、自身の水田から採った籾を「種」として使用します。つまり、毎年半分ずつ更新してゆきます。これは連作による各種の障害を避けるための知恵です。人や動物の近親結婚を避けるのとよく似ています(※3)。

 種籾は塩水選別し、種子消毒して1週間以上水に浸たしておきます。

穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  | <center>青いネットの袋に、種子消毒をすませ浸種してあった濡れた種籾が入っている。</center>
青いネットの袋に、種子消毒をすませ浸種してあった濡れた種籾が入っている。
 こうして十分に水を含んだ籾は水分を調整してから機械で蒔きつけます。


穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  | 青いネットの袋から出して、自然乾燥3時間。機械での播種をスムーズに行うための前処理です。この作業で水分の少いサラサラ状態にします。
青いネットの袋から出して、自然乾燥3時間。機械での播種をスムーズに行うための前処理です。この作業で水分の少いサラサラ状態にします。
 写真は電動式播種機での籾蒔き風景です。(播種作業とも言います)

穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  | 電動式です。散水・播種・覆土が1工程で完了します。土を入れた箱を挿入する人、籾種と土を補充する人、完了したものを移動する人、最低3人必要です。
電動式です。散水・播種・覆土が1工程で完了します。土を入れた箱を挿入する人、籾種と土を補充する人、完了したものを移動する人、最低3人必要です。
 その後、電熱式スチーム発芽機に入れて30℃で3日間保温します。3日目の朝には真白なモヤシのような芽が出ます(※4)。3cm位伸びたところで発芽機から出して、ビニールトンネルかハウスの中に移します。ここで「風」と「直射日光」をよけをしながら、徐々に日光に慣らし「緑化」させます(※5)。

 風除け・霜よけ・水やり・少々の追肥、と我が子を可愛がるようにして苗箱の中で4週間ほど育てます。本葉が2枚そろって3枚目が出るころ「田植」となります。種の消毒からですと50日近い工程で水田に「緑のじゅうたん」が完成します。

 兼業農家では「緑化苗」を購入して自宅で4週間管理し田植をなさる場合と、「すぐに植えられる苗」を購入して、その日に田植という例もあります。稲作に限らず「苗半作」といいまして、苗の良し悪しは収量・品質に大きく影響します(※6)。

◇ ◇ ◇

筆者注:

(※1)田植をするには、田んぼに水をいれて均平にする「しろかき(代掻)」という作業が必要です。田に水を引くための水路に水を流す(供給する)日を何時にするか?通常は部落の担当委員が決めます。裏作をしている農家はその日程に合せて野菜の収穫作業を進めます。目に見える稲作は、この「水が来る日」がヨーイドンの合図です。

(※2)品種毎に種籾栽培農家が専門的に「たねもみ」を栽培し採取します。最近は機械播種が標準ですので芒(のぎ)をとった「たねもみ」も販売されています。自前で籾が痛まないように静にコンバインを回して採った種籾は、「脱芒機」で芒を取る作業をし種子消毒に移ります。

(※3)この写真の農家は新潟の「たねもみ」を購入しました。御主人は、遠隔地の種子の方が近親被害の危険が少ないと言っています。

(※4)塩水選とは、種籾を塩水に入れて不良な籾を浮かせて選別すること。沈んだ籾を種籾にします。塩水の濃度は生卵が浮き上がる姿で決まります。(詳細割愛)

(※5)発芽には「積算100度」という経験則が伝えられています。この機械はスチーム式といって、水蒸気で全体を均等に加温する方式ですので催芽しないで播種しています。催芽(さいが:浸種した籾種を加温して発芽をうながし、鳩胸状態にすること)。籾は20℃の状態が5日間続くと発芽します。30℃なら3日が目安です。

(※6)兼業農家では「緑化苗」を購入して自宅で4週間管理し田植をする人と、すぐに植えられる苗を購入して、その日に田植という例があります。稲作に限らず「苗半作」といいまして、苗の良し悪しは収量・品質に大きく影響します。

 さて、加えて、この記事では、種子業者から購入したおコメの種子を「たねもみ」。自分の水田から採った種子を「種」と記述しました。現場では微妙な言い回しで2種類の種子を区別しています。「種籾」は双方を総称しています。

 稲の種子は、発芽したところから名前も変ります。種籾から苗となります。発芽機から出て1週間以内を緑化苗(りょっかなえ)、2〜3週間ものを稚苗(ちびょう)、4週以上のものを成苗(せいびょう)と言います。(正確には本葉の数など専門的な区分けがあります)

 ついでに専門用語も解説します。

緑化:真白な苗を直射日光に当てると白化といって緑色の苗にならないことがあります。発芽機から出した後、遮光ネットや90%遮光のシルバーシートなどで2〜3日かけて緑化という工程を経ます。

風除け:当初は無風状態を原則としますが、田植が近づくにつれて外気の条件に近づけるように風雨に当てるのが理想です。

霜よけ:4月上旬の遅い時期の霜は要注意の最たるものです。

水やり:育苗後期は風にも当てますし、苗の葉数も多いので1日2〜3回の水やりが必要です。

少々の追肥:成苗では田植直前に追肥をします。当地では弁当肥(べんとうごえ)ともいいます。

 我が子を可愛がるようにして。過保護はだめ。風雨にも会わせ、鍛えるようにして育てるのがプロ農家です。丈夫な苗は風雨に強く芽吹きも旺盛です。人材育成と同じです。

 種の消毒からですと50日近い工程を経て、「田植苗」が出来上がります。田植機のお世話で田植が行われ、水田に「緑のじゅうたん」が完成します。


(以下の写真は、クリックすると大きくなります)
穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  | 箱土に散水し、その直後に種籾が落ちています。その後右側の装置で土をかぶせます。
箱土に散水し、その直後に種籾が落ちています。その後右側の装置で土をかぶせます。
穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  |  籾蒔きが済んで発芽機に172枚入りました。丁度正午でした。ここから出るのは29日(土)午前9時の予定です。タイミングは温度調整と経験です。土曜日は家族総出でハウスに並べます。
 籾蒔きが済んで発芽機に172枚入りました。丁度正午でした。ここから出るのは29日(土)午前9時の予定です。タイミングは温度調整と経験です。土曜日は家族総出でハウスに並べます。
穂の国発 農産物はいま(6)「籾蒔き始る」  | 保温カバーを掛けて5時間後です。29度まで上ってきました。
保温カバーを掛けて5時間後です。29度まで上ってきました。
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-[33582] 伊吹記者、苗箱の写真をお願いします  中西俊 (2008/04/04 16:23)
   [33612] 虎の巻  伊吹春夫 (2008/04/06 09:05)
    [33621] 伊吹記者。おそれいります。  中西俊 (2008/04/06 16:53)


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