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弱い経済基盤抱えるNPO法人 公益法人制度改革関連3法の成立で、今年12月から新しい公益法人への転換が始まる。いままでの社団法人や財団法人などは「一般財団法人」、「公益財団法人」などに移行するか、解散することになる。特定非営利活動法人(通称「NPO法人」)については、公益法人制度改革関連3法と特定非営利活動促進法が関連する内容を、「平成十八年法律第五十号」(注1)によって整合性をとったが、新しい公益法人に一本化されることはない(注2) 。 ここでいう、特定非営利活動法人(NPO法人)の「2009年問題」とは、1998、9年の法人認証開始から約10年過ぎる2009年ごろから「特定非営利活動法人・NPO法人」のいろいろな問題が顕在化するという意味である。この10年間で多くの法人が設立されたが、現在は認証、登記はされているが休眠状態の法人も増え、また、消滅した法人も多い。 これは、基本的にはNPO自身の問題だが、特定非営利活動法人(NPO法人)の法人制度の問題もある。市民提案・立法、議員立法による「市民活動促進法案」では、法人格の取得に関する規定と優遇税制の規定が一体となっていたが、実際に制定された当初の「特定非営利活動促進法」では、法成立のために法人格の容易な取得の規定を優先し、優遇税制の規定は別途期限を設けて検討することとなり、税の優遇規定もなく、また、法人化の対象となる市民活動が制約がある法制となった。この点は、その後の法改正でいくらか実現したが、結果として、事業を行っても優遇のないまま課税され、特定非営利活動法人は経済基盤の脆弱な法人となっている。 また、特定非営利活動法人が悪用されたり、一部の行政に利用されたり(注3)、安価な委託・指定管理の対象として扱われる傾向があり、このことが特定非営利活動法人の信用失墜や経済基盤の脆弱化に拍車をかけている。そして、ボランティアやボランティア的な市民団体を支援するという「特定非営利活動促進法」の当初の性格から、無償ボランティアが基本であるという誤解もあいまって、有給スタップを持たない、持てない法人が大多数を占めており、会員ばかりでなく後継者も少ない場合が多い。 このような状況で2009年以降、特定非営利活動法人自体は増えると予想されるが、解散・認証取り消しや任意の市民活動団体への移行も増えると思われる(注4)。 対策は「合併」「団塊参加」などで この「2009年問題」に対して、特定非営利活動法人が採る積極的戦略には「合併」、「団塊参加」、「事業化」、「法人転換」の4つがある。 「合併」は文字通り、法人同士の「合併」。有名な例として、07年9月末で活動を終えた特定非営利活動法人「東京ランポ」が、特定非営利活動法人コミュニティファンド「まち未来」と合併して特定非営利活動法人ローカルアクション―シンクポッツ・まち未来(通称:まちぽっと)となって、活動している。両者とも実績のある法人であり、必要なアクションであったと思う。 「団塊参加」は、07年度以降に大量に退職する団塊世代が特定非営利活動法人に参加するか、また、自ら特定非営利活動法人を設立することであり、このような取り組みを推進してる法人もある。 「事業化」とは、近年の特定非営利活動法人によるコミニュティビジネスの取り組みにみられるように、「事業」を拡大することで経済基盤を強化して、法人を立て直すことである。 「法人転換」とは、他の法人格への転換をいうが、本紙でも堀田力氏が特定非営利活動法人の公益法人化も視野に入れて論じている(注5)ように、いろいろな問題点がある。しかし、本年12月にスタートする新公益法人制度は特定非営利活動法人が「法人転換」を検討するきっかけになることは確かだ。ここではボランティアが基本で、有給スタップを持たないで活動が出来ているボランティア的な特定非営利活動法人を否定しているわけではない。NPOには多様な形があり、それに即した法人格と活動があると考えられる。 ここまで、この10年の「特定非営利活動法人・NPO法人」の動きの中の問題点と、それに対応する積極的戦略を論じてきた。今後は、特定非営利活動法人・NPO法人ではなく、NPOの「コミニュティビジネスと経済基盤の強化」、「制度・法人格の問題」、「会員と後継者の問題」を主に取り上げていきたい。 特に、「制度・法人格の問題」として特定非営利活動法人制度の改革とNPOにとって有効な法人格として可能性のある「一般財団法人」、「公益財団法人」、そして、NPC・非営利型株式会社 Nonprofit Company、LLP.LLC、ワーカーズコレクティブ・協同労働の協同組合などの「協同出資・協同経営で働く協同組合」(法制化準備中)の動向を取り上げたい。 また、「会員と後継者の問題」としては現在、不安定な立場で雇用されている若いNPO職員が持続可能なNPOのあり方と働き方を模索している姿なども取り上げる予定である。 (注1)一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号) (注2)特定非営利活動法人の反対があって一本化されなかった。この公益法人改革の経緯については筆者の記事も参考にしていだければ幸いだ。 公益法人改革に意見募集で個人の英断―税調委員・出口正之氏 https://www.janjan.jp/living/0504/0504216128/1.php 新年も公益法人改革オンブズマン https://www.janjan.jp/government/0401/0312309864/1.php 拙速の公益法人改革に改革オンブズマンが異議申し立て http://www.janjan.jp/government/0312/0311308982/1.php 衆議院議員選挙の候補者にアンケート http://www.janjan.jp/government/0310/0310187459/1.php 公益法人改革オンブズマンが非営利協同法人構想案を提案 http://www.janjan.jp/government/0309/0309216718/1.php 非営利法人(NPO)にも課税だって!? http://www.janjan.jp/government/0306294561/1.php (注3)実際に認証取り消しではなく、行政の都合で設立された特定非営利活動法人が、問題となって「NPO法人解散」(陣内雄次・荻野夏子著)のように自ら解散した例もある。 (注4)地域通貨おうみ委員会のように法人格を持たない市民活動団体へ移行し、「任意団体として今までと何ら変わることなく活動を続けていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」と宣言している例まである。 「法人解散(任意団体への移行)に関する公告」地域通貨おうみ委員会 http://www.kaikaku21.com/ohmi/sub/koukoku.htm (注5)「新公益法人の税制を活用するために」 堀田力 http://www.news.janjan.jp/column/0803/0803110544/1.php |