集会の光景
目次
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言論の自由めぐる状況は「ヤバい」
・「ビラ配り有罪論」が狙うものは
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改憲への地ならしが始まっている
・「市民が勝つ方法」は幾つもある
言論の自由めぐる状況は「ヤバい」
マンションへのビラ配布などの言論活動が犯罪とされ、逮捕、起訴されて有罪判決が出る事件が相次いでいる中、東京・霞ヶ関の弁護士会館で7日、「葛飾ビラ配布事件」や「立川ビラ配布事件」など6つの事件の弁護団共催による「これってホントに犯罪? 守れ言論、活(い)かそう憲法! 4・7市民集会」が開催されました。
国公法弾圧堀越事件における公安警察の捜査の実態CG上映のあと、憲法学者の小澤隆一さんとジャーナリストの大谷昭宏さんの対論、次いで「葛飾ビラ配布事件」「立川ビラ配布事件」「板橋高校事件」「堀越国公法違反事件」「世田谷国公法事件」「大石事件」の当事者と弁護団からの訴えがありました。予想を上回る参加があったため、用意した資料250部が足りなくなった、と主催者が報告しました。
小澤隆一さんと大谷昭宏さんの対論の主な内容を報告します。
この対論は、中村欧介弁護士(「葛飾ビラ配布事件」弁護団)が進行役を務めました。中村弁護士は、言論弾圧事件が02年から03年に相次いで起こっていると述べ、大谷さんに、「このような流れをどのようにとらえているか」と意見を求めました。
テレビの報道番組などで活躍中の大谷昭宏さんは、「サンデープロジェクト」で「言論は守られているか」をテーマにした番組を報道していることを紹介し、報道制限の問題についてこれからもやっていきたい、と語りました。さらに、この番組で報道した、刑事裁判における「推定無罪は守られているか」という特集や、映画「靖国」の上映中止の問題などにも言及し、「葛飾ビラ配布事件」など6つの訴訟を含め、言論が守られているかということに危機感を持っている、との認識を示しました。
また、裁判員制度が導入される中で、いろいろな形で「モノを言うな」という形が出来上がってきているのではないか、との見方を示し、一つ一つの訴訟を勝っていくことが大事だと述べました。大谷さんは、裁判所がこの流れを追認、あるいは一つの流れをつくり出していることに対し、「ヤバい」状況であるとの印象を持っている、と語りました。
一方、小澤隆一さんは「立川ビラ配布事件」に次いで「葛飾ビラ配布事件」でも一審の無罪判決が覆され、有罪とした控訴審判決に対し、「非常に雑な判決」と指摘しました。
さらに、「立川ビラ配布事件」の一審の判決では、住居侵入にあたるとしながらも表現の自由を理由に無罪とし、「葛飾ビラ配布事件」の一審の判決では、マンションなどの集合住宅でビラを配布する行為を犯罪とする社会通念はないとするなど、ともに裁判官の苦心がにじみ出ている判決である、と評価しました。
ところが、控訴審判決は非常に雑な判断で有罪を引き出しており、「地裁の判決に赤ペンを入れるどころか泥を塗った、露骨な処罰意識が際立っている」と厳しく批判しました。また、「立川ビラ配布事件」で、一審は「住居」としているのに控訴審では「邸宅」と読み変え、「葛飾ビラ配布事件」では、管理組合の決定や貼り紙などを有罪の根拠にするなど、ふだんの住民の暮らしの実態にそぐわない認定を行っているとし、一審の苦心に対し、露骨な処罰意識が行き渡った控訴審の判決であるとの認識を示しました。
一審で無罪となった「葛飾ビラ配布事件」が控訴審で有罪となったことに対し、中村弁護士は「弁護士が要らないような、ひどい判決だった」と厳しく批判、昔は高裁はリベラルで地裁はガチガチだと言われていたそうだが、現在は逆になってしまった、なぜこのような状況になってしまったのか、裁判制度の根底ににかかわる問題である、との認識を示しました。
「立川ビラ配布事件」について、大谷さんは、もしイラク派兵反対のビラでなく、また、自衛隊の官舎でなければ、「お国」がここまでカネをかけて裁判をすることは常識ではあり得ない、また、「葛飾ビラ配布事件」の場合も、それが共産党のビラでなければ起こらなかった、と述べました。
事件のあと、「サンプロ」(の取材者)が自衛隊の官舎に張り込んでいたところ、ピザ屋や寿司屋、クリーニング屋が頻繁に出入りしていた、と大谷さんは続け、「全部パクッた(逮捕した)ら、彼らの商売は成り立たない。住民はピザのパンフを受けて注文する。だから、違うんだろう、目的は。ということをはっきりさせるべきだ」と述べ、真の狙いを明らかにすることが必要だ、と強調しました。
さらに、大谷さんは、共謀罪には拡大解釈される危険性があることを指摘するとともに、住居侵入罪は、そもそも戦前、出征した兵士の留守中、妻のもとに夜這いをする男がいるのでは心配して戦争をやっていられないので、このような法律がつくられた、と述べ、「ビラとはまったく関係がない」と断じました。
本来、まったく想定されていない行為に対し、この法律を使って処罰することが許されるなら国家権力はなんでもできるとした上で、真面目に商売をしているクリーニング屋やピザ屋が逮捕されるような社会でいいのか、それが問われている、と警鐘を鳴らしました。また、そのようないろんな要素が重なった事件がこの6つの事件であるとの認識を示しました。
平和団体の反戦ビラや共産党の支援者らが、ボランティアで議会報告などのビラを配布する行為に対し、刑事事件化しようとする背景について、「葛飾ビラ配布事件」の裁判を傍聴した小澤さんは、次のように語りました。
「ビラ配り有罪論」が狙うものは
たとえば、行商の人はいろんな人のところに出入りしており、集合住宅の場合はドアの前まで行かなければ仕事にならないことから、今までこのような行為を犯罪とする社会的合意はないというのが一審の判決であり、市民社会の営みに判決が目線を下しているか問われている、との認識を示しました。
控訴審判決は、政治的主張のポスティングについて、これ以外の方法でも知らせる方法があると言っているが、ある地域の全員に知らせたい場合、たとえば、葛飾区政にかかわる議会報告をじっくり読んで考えてほしい、アンケートに答えてほしい、という場合、ポスティングは最も適切な方法であると批判しました。
電話とは違い、チラシの場合、要らなければ捨てることもできるし、あとでゆっくり読むこともできる。また、時間のあるときにアンケートに答えることもできる。表現活動の実質的意味において、政治的効果が期待できるものであり、これこそ地方自治、国民主権の土台となるものであると強調した上で、「そこがまさに攻撃をしかけられている。表現の自由、地方自治、国民主権に対する攻撃ととらえている」との認識を示しました。
中村弁護士は、当初は厳しい闘いが予想された一審で無罪の判決を引き出すことができたのは、弁護団の働きかけによって裁判官を動かすことができたからであると述べ、社会の実態を裁判官と検察にわからせるための努力を続ける一方で、ビラを配布するという行為に対する偏見や、プリンスホテルや映画「靖国」問題のように、表現行為に対する世間の人々の偏見があるのではないか、と問題を提起しました。
この点について、大谷さんは、ビラを配ったら警察がくるんじゃないか、こういうことを言ったら右翼がくるんだ、という恐怖心から自粛、萎縮効果が狙われているのは明らかであると指摘し、公安事件の場合、検察と公安は連携しており、有罪か無罪かはどっちでもよく、目的は社会的影響を与えることにある、との考えを示しました。
そして、大事なことは、(ビラ配りなどをする)彼らはこんな下らないことをやっているんだという世論を作り出すことであると述べ、たとえば、警察の失態によって多くの犠牲者を出した土浦の事件では、警官同士がイヤホンをつけて連絡を取り合うことさえやっていなかったことに対し、「お前ら、なにやってんだ。カネの使い方を考えろ」という批判の声を上げることが必要であると訴えました。
大谷さんは、メディアを使って広く伝えてほしい、と述べ、最高裁に対しても、こんな下らない事件に有罪判決を出すことは間違っているという世論をつくりだすことが大事だと述べ、多様な攻め方をしていくことが必要、と語りました。中村弁護士も、「裁判に対して疑問を感じている」として、詭弁を弄して正当性を主張する高裁や、ビラ配布に対する(世間の人々の)偏見がある中で、ポスティングが言論表現の手段であることを力強く訴える方法について助言を求めました。
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改憲への地ならしが始まっている」に続く)