5月15日、東京地検に提出された証拠の塩蔵冷蔵鯨肉 (C)GREENPEACE
関連サイト:
グリーンピース告発レポート 奪われた鯨肉と信頼 「調査捕鯨母船・日新丸」での鯨肉横領行為の全貌(PDFファイル)
日本の南氷洋“調査捕鯨”は、1987年から2005年にかけて最も多く補殺したミンククジラで6,800頭にも達するのに、査読を経た厳密な科学論文は数点しか発表されていない
(関連記事)。その捕鯨現場で行われていた船員による大量の鯨肉横領疑惑が、ついに表面化した。噂は以前から絶えなかった
(関連サイト:動画つき)。
“調査捕鯨”は年に5億円ほどの補助金のつくレッキとした公共事業だ。しかし、これまで、ミンククジラの生息数も、寿命も特定することができず、調査目的をほとんど果たせていない。国際捕鯨委員会(IWC)や加盟諸国からは例年、調査捕鯨の保留や殺さない調査方法への転換などを求められ続けてきた。
特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパンは15日、東京地方検察庁に、調査捕鯨に従事する共同船舶株式会社の船員12名を、業務上横領の罪で告発した
(関連記事)。あわせて日本政府に対して、
1.横領行為の全貌を明らかにするための第3者による調査の実施、
2.共同船舶の捕鯨行為への関与の禁止、
3.財団法人日本鯨類研究所への調査捕鯨に対する許可発行と補助金交付の停止、
を求めている。
4月15日、調査捕鯨母船・日新丸が東京港・大井水産埠頭に着岸。岸壁には冷蔵宅配便のトラックなどが待ち受けていた。(C)GREENPEACE
また、
1.南氷洋現地で鯨肉を大量に捨てることがある、
2.ガンや胃潰瘍が明らかな病変クジラの肉も他の部位が正規販売されている、
3.「お土産」とは別に、長年にわたって解体現場で鯨肉横領が行われている模様、
(帳簿外 1人あたり200kg超か?)
4.「お土産」といわれる鯨肉が共同船舶のすべての乗組員に無償配布されている、
5.「お土産」とは別に、乗組員が会社からなかば強制的に購入させられる鯨肉もある、
6.それら非正規ルートの鯨肉が、函館、釧路、札幌、長崎、下関、広島、鹿児島、
東京など各地のレストラン、鮨屋、高級料亭などに出回っている模様、
なども、情報提供やグリーンピースの調査で明らかになった。上記4.に関しては、日本鯨類研究所も「慣習」を認めた
(関連サイト・内部告発の動画つき)。 (※ この段落を著者の要望により17日に加筆しました:編集部)
4月16日、情報により運送会社の倉庫などを監視していたグリーンピースの調査員が、中身を「ダンボール」と記した宅配便が青森県内で配送待ちなのを発見した。段ボールにしては重過ぎる23.5kgもの荷物の中身は、塩蔵された「ウネス(畝須)」と呼ばれる部位の鯨肉だった。この鯨肉は5月15日、告発状に添えて証拠品として東京地検に提出された。冷凍でなく冷蔵塩蔵のウネス肉は珍重され、クジラベーコンの材料としてキロあたり11〜35万円で売れるという。
同様の横領鯨肉は、少なくとも47箱が見つかっており、計約1.1t。1箱30万円として時価1,400万円もの鯨肉が、今期の調査捕鯨で横領され、不法に出回るのではないかとグリーンピースは見ている。各地の調査では、そのような鯨肉を出す飲食店の存在も確認された。内部告発によれば、このような横領鯨肉の販売によって家を建てたと噂される共同船舶のOBもいる。捕鯨母船がドック入りする広島県の因島では例年、横領鯨肉の塩蔵などのため、粗塩や段ボールが船員によって買い占め状態になるという。
情報提供者が【捨てるくらいなら捕るな(中略)無理に捕って、船員にも無理をかけて、ただ疲れるだけで、その上肉を捨てる】とグリーンピースに語っている点も注目される。調査に使うサンプルはあまっており、かつ、処理しきれない鯨肉を現地で捨てているという。ミンククジラを捌ききれずに、サンプルだけ取って1日20頭、7tも鯨肉を捨てた日もある。調査のために捕殺されたクジラの肉は“有効利用”が原則だから、日本政府の明らかな国際公約違反である。
今年、日本政府は洞爺湖G8サミット開催にあたって、世界に環境先進国であることをアピールしようとしている。科学的な“調査捕鯨”ならランダムな捕獲をしなければならないのに、それはせずに余った鯨肉を捨てているという。しかも大量の鯨肉横領疑惑まで明らかになった。
グリーンピース・ジャパンの星川淳・事務局長は15日の記者会見で「多くの日本人がまじめに働き、まじめに自然科学研究をしている。にもかかわらず、日本人全体が疑惑の目で見られるような事件の発覚で、残念でならない」などと語った。