グリーンピースが保管中の横領疑惑鯨肉<プレミアくじら>
告発された横領鯨肉を、水産庁・(財)日本鯨類研究所・共同船舶が「お土産」などとしている問題について19日、グリーンピース・ジャパンは参議院議員会館で緊急集会を開き、問題全般の真相究明を改めて訴えた。
保坂展人・衆院議員(公共事業チェック議員の会/社会民主党)は「調査捕鯨全体に何が起きているのかの問題だ。調査捕鯨の調査が必要なことを衆院法務委員会などで訴えていく」と受け止めた。
証拠品確保の手法が問われている問題についてグリーンピースは、西濃運輸や青森支店に対して文書でお詫びをしたことを明らかにした上で、検察や裁判所などの判断に従う意思を示した。顧問弁護士は「外形的には窃盗に見えるかもしれないが、より問題なのは意思。不法領得の意思はなかった」と語った。塩蔵常温の「ウネス(畝須)」23.5kgを、法人であるグリーンピース・ジャパンと関係者個人は、売ったり食べたりしたわけではなく、現在、東京地検の要請により厳重保管中だ。
横領<プレミアくじら>は、高値で個人から転売されている。「お土産」も本来、国際条約違反では?(グリーンピースの資料より)
高値で取り引きされる横領<プレミアくじら> 解体部門の組織的関与か
今回、横領鯨肉の問題が表面化し、水産庁などが「お土産」などと釈明する事態は、複数の情報提供者やグリーンピース・ジャパンも懸念していた。しかし、複数の内部告発とグリーンピースの調査によれば、「お土産」はクール宅急便(ヤマト運輸)で運ばれ、塩蔵された横領鯨肉は西濃運輸の常温宅配便(カンガルー便)で運ばれる。両者はまったく別物なのだ。
そして「お土産」も国際捕鯨条約(第8条)には違反していると思われる。調査捕鯨は、国の特別許可書に基づいて行われるが「お土産」は許可書の記載外だからだ。商業捕鯨以来の慣行がズルズルと続いてきたとしか思えない。水産庁は、横領鯨肉疑惑問題が明らかになるまで、「お土産」慣行を把握していなかった。
冷凍されない塩蔵の「ウネス」などは、いわば<プレミアくじら>として珍重され、函館、釧路、札幌、長崎、下関、広島、鹿児島、東京など各地のレストラン、鮨屋、高級料亭などに高値で出回っている。広島県内では「横領鯨肉」を入手し客に提供している寿司屋が見つかり、<永田町>にも出回っているとする情報もある。
解体現場の横領で「生産」された<プレミアくじら>は、年に6〜8tが流通していると想定され、鯨肉の高値横流しで家を建てたと噂される船員もいる。グリーンピースが調査した結果では、鯨肉の横流しが確認された船員12名はすべて「製造手」だ。クジラの解体現場のベテランばかりで、部署の組織的な関与も疑われる。OBに送られた<プレミアくじら>の存在も確認された。
「調査捕鯨の調査が必要」と指摘した保坂衆院議員
問われる日本の南氷洋「調査」捕鯨
鯨肉横領疑惑が明らかになって以後、グリーンピース・インターナショナルの呼びかけに応じ、外務省には海外から真相究明などを求めるメールが、すでに3万を超えて届いた。真相究明が待たれるのは、証拠品確保を巡る窃盗容疑ではなく、日本の南氷洋調査捕鯨という年に約5億円の公費が支出される公共事業そのものなのだ。
国際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨モラトリアム(一時中止)を決定した後、ノルウェーなどと異なって日本は異議申立をしなかった。アメリカ政府の説得に応じてモラトリアムを受け入れ、1987/8年に始まったのが南氷洋の調査捕鯨だ。300頭もの捕獲計画(当初)には「多すぎる」という声が、その頃からあった。
調査捕鯨は本来、調査目的が果たせない時のみ、止むを得ず年に多くて10数頭を捕殺することしか考慮にない。何100頭ものクジラを捕殺、鯨肉を広範に販売、非正規のモノまで出回るような事態は想定外なのだ。諸外国や人々が日本の調査捕鯨を「制度の悪用」などと非難してやまない理由はそこにある。
しかも複数の提供情報によれば、ミンククジラで800頭を超える捕殺目標を設定した2005/6年以後、20頭以上とれた日には殆どの鯨肉、計・約7t以上を南氷洋に捨ててくるという。「鯨肉投棄」の現場は以前、グリーンピース・インターナショナルによって写真撮影もされており、今回の内部告発はそれを裏付ける形となった。
調査目的からすれば捕殺は疑わしく、鯨肉は大量にあまって各地の給食やイベントなどに廉価で提供されている。しかも解体現場での横領疑惑まで明らかになった。検察や会計検査院、国会などは、今こそ「調査捕鯨」の実態そのものにメスを入れるべきではないのか。
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