「船場吉兆」本店、07年11月19日、大阪市中央区にて山本ケイ記者撮影(「偽装事件に揺れる「船場吉兆」本店」より)。
老舗の料亭、船場吉兆が、残った料理を他の客に出す分に使い回していたことが発覚し、以前の食材産地偽装などのことも重なり廃業という結末に陥った。「やむを得ぬ」という声が多い中、JanJanでは、世の中の空気を読まずに老舗の「もったいない」精神を受け継いだまででは、と擁護する意見も書かれている。
この事件と「もったいない」精神で、あることを思い出した。10年以上も前に日本テレビの「世界まる見え特捜部」で放送されたアメリカのドキュメンタリー番組だ。
ビュッフェスタイル(バイキングともいう)のレストランでは、トレーに残った食物が少なくなると、見栄えをよくするために出来たてのものに交換する。この番組ではその時、残った食物は捨てられるということを知ったある実業家が、それならば、その残り物を効率よくホームレスの人々に配給しようと慈善事業を立ち上げた話を紹介していた。
このビュッフェ方式と、残り物を他用途に活かすやり方が、もっと一般化されないかと思う。日本には、食料自給率が4割もないのに、食品の3割以上が残飯として捨てられている恐ろしい現状がある。
普通、レストランや給食だと一人分を定食として、一定量がまとめて提供される。人によって空腹感はまちまちなので、大して腹がすいてないとかなりの残飯が出てしまうことになる。そしてその度に「もったいない」と思われながら、残飯は捨てられる運命にある。
そのことを考えると、必要な分だけを自分で取り、手をつけた残飯は極力少なくできるというこのビュッフェスタイルは、今後、外食や給食で一般化すべきスタイルだと思う。そして残ったものは、ホームレスや家畜の飼料などに回せるような配給システムを構築するのだ。
「もったいない」から満腹であっても残さず食べるよりも、もったいない分は、他に回せるシステムにする方が合理的だ。それに最近は、石油の高騰、それに伴う食料の高騰が進んでおり、かつてのように金さえ出せば食料が買えるという時代でもなくなってきている。あるものは最大限活かすシステムにしなければならない。
ビュッフェスタイル的なサービスは、船場吉兆のような高級料亭でも可能だ。お客が席を離れて料理を取りにいくのではなく、給仕が料理をお盆に盛ってきて、お客が求める必要な量を皿に載せればいいのだ。その日残った料理は、値引きして別の店でお弁当にしたりして売ればいい。
筆者は以前、国際航空便のファーストクラスに乗った時、スチュワーデス(客室乗務員)がワゴンで運ぶチーズをほんの数ミリ切り分けて貰い、食したことを覚えている。高級ブルーチーズだった。腹の調子がよくなく、多くの量を食べられなかったが、チーズを含め少ないながら、とてもおいしかったことを記憶している。高級料亭などは、量は少なくても、味や食事をしている場の雰囲気、給仕のサービスを楽しむためにあるようなものだ。使い回さなければならないほど一度に出す必要などはない。
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