6月14日、岩手・宮城県境付近を中心に大きな地震が発生しました。それから、約1ヵ月経った頃、宮城県栗原市栗駒を訪ね、近況を聞くことができました。ちょうど、地域住民たちが復興のための活動を始めたところでした。地震の様子と今後に向けた活動について報告します。
地震で崩れた道路=取材協力者提供
1.地震の様子
<栗原市岩ヶ崎六日町・菅原京太さん>
栗駒岩ヶ崎はライフラインも確保されており、他地区に比べたら被害も少なかったのですが、地震発生直後は、自分の店のことだけでいっぱいいっぱいでした。
ただ、時間を追うごとに(情報が集まるにつれ)大変なことになってるんだということを実感し、特にヘリコプターからの画像(駒の湯温泉の惨状や荒砥沢ダムの土砂崩れの様子など)を見て、大きなショックを受けました。この地域の人全員が、程度の差こそあれ「PTSD(心的外傷後ストレス状態)」だったと思います。
<栗原市岩ヶ崎六日町・三浦さん>
ドーンという(沈むような)衝撃がしたと思ったら、いきなりグラグラッと、揺れ始めました。いま(7月初旬)でも余震があります。震度1くらいの揺れでも、最初にドーンとくるので、その度に怖い思いをしています。
<くりこま高原自然学校代表・佐々木豊志さん>
ブログに詳しく書いていますので、ぜひ読んでください。
参照ブログ:
「豊志のくりこま高原物語」
土砂で寸断された道路。現地では地質調査が行われていた。=取材協力者提供
2.今後の課題・住民の願い
私が栗駒岩ヶ崎を訪れた7月初旬には、仮設住宅を建設中でした。その後、順次、入居し始めているとのことです。しかし、この入居を巡っては、同じ被災者に線引き(入居の資格など)されることがつらい、と避難所にいた人が話していました。被災者は同じ扱いにしてほしい、というのが希望でした。
これからのことで一番心配なのは、農作物の収穫ができないこと、とても不安ですと語っていました。また、仮設住宅に行ってから、生活に必要な物を揃えなければならないなども気がかりだとのことです。
この記事を読んだ人に伝えたいことがありますかと聞くと、「お見舞い・支援に対して、まずお礼を言いたい。そして、地震のことを忘れないでください。私たちが、家に戻ったときの姿まで見てほしい」とのことでした(みちのく伝創館に避難中の栗原市耕英地区住民)。
また、家屋の倒壊調査の判断基準がはっきりしているのか、という声も聞かれました。どうも見に来た人によって判断が違うように思われる。見た目では判断しにくいこともある(生活したり、使っていないと分からないこともある)と思うので、1件1件、個別に良く調査してほしいとの意見を聞きました。(岩ヶ崎六日町商店会の人たち)
全体として、何をするにも申請手続等が必要で、その結果が出ないと何もできなかったり、結果次第では思うようなことができない。そのことが歯がゆいし、不安が募ったり、場合によっては被災者同士のトラブルにもなりかねない状況があります。それぞれの生活もそうですが、農作物など新鮮さが物をいう場合などは、特に迅速な対応が必要だと感じました。
店舗(蔵)の壁が崩れた三浦酒舗。取材に訪れた日から修復工事が始まった。
3.復興に向けた住民たちの活動
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「くりこま高原自然学校」
栗駒沼倉耕英で不登校の中学生と一緒に暮らしたり、山村留学、夏休みキャンプ、森のようちえん(親子キャンプ)を運営していましたが、今回の地震の被害で本拠地にはいられなくなり、山から下りて活動を再開しています。地震発生直後からブログに様子を書き込んだことでたくさん反応があり、励まされた、と代表の佐々木豊志さん。これからも外に発信し、頑張っていきたいと語っていました。
元々、活動のフィールドはあちこちにあったので、今夏もキャンプ・森のようちえんは実施しますとのことです。詳しくは、くりこま高原自然学校HPをご覧ください。
■くりこま耕英復興プロジェクト
露地栽培のイチゴが最盛期の耕英地区。1回目の収穫が6月13日(震災前日)だったので、その後の収穫ができずにいます。また、耕英地区は岩魚も有名で、普段だったら釣堀で釣りを楽しんだり、焼いて食べるなどされていましたが、これもそのままの状態です。この他、カスミソウもそろそろ出荷時期です。
耕英地区の人たちは、これらの特産物を何とかしたいと考えています(イチゴはジャムにしてお礼に使うことになりました)。取材時は、地区に戻る許可が出ていないため、思いはあってもどうすることもできないで状態でしたが、早く許可が出て、収穫・出荷を含め対処したいとのことでした。
また、同地区では、現在「くりこま耕英復興基金」を募っています。基金は、住民の生活のために使われます。
【基金送金先】
ゆうちょ銀行 18130−9701021 耕英地区振興協議会復興基金
■栗駒・鴬沢地区
大きな被害は出ていないものの、出荷先が営業不可能になり、経営に大きな影響が出ている店が、多くあります。毎年恒例の夏祭り(7月末)の中止が決定し、お盆の花火大会だけは開催しようと準備を進めていましたが、やはり被災者(死者、行方不明者、避難を余儀なくされている方々)に配慮して、こちらも断念しました。
そこで、いまは「みんなでしあわせになるまつり2008」(9月14日開催)を復興支援として大々的に開催したいと考えているとのことです。
栗駒岩ヶ崎は、栗駒山への登山口として多くの観光客が訪れる町です。山付近にはお土産を買える所がないところから、登山の行き帰りに立ち寄ってもらおうと、
「くりこま・うぐいすざわ おみやげ&ランチマップ」(PDF)も製作されていましたが、山が封鎖状態になったいまは、人が全くといっていいほど訪れなくなっているので、マップが活躍する機会がありません。そこで、ぜひ復興支援のために、このマップを活用したいと考えています。商店会の店も一部倒壊していますが、納品先が被災したために、商売の継続が危ぶまれている店や商店会・商工会の支援にもなります。
参照:
栗駒鶯沢商工会HP
さらに、栗駒地区では毎年、お中元の時期に地域の特産品を送る「ふるさと定期便」を行っていましたが、今年は震災復興支援の意味でぜひ活用してほしいとのことでした。第1回の発送日:7月22日(火)・第2回7月29日(火)となっていますが、「JanJanを見た」といって注文すると、8月中旬まで受け付けてもらえます。また、このふるさと定期便を利用すると、※クリッピーポイントの対象となります。
【問い合わせ】
栗駒商業振興協同組合 電話:0228−45−6161/FAX:45−6262
※クリッピーポイント:加盟店でお買物をすると、100円で1ポイントもらえます。500ポイント(5万円分のお買物で満点となり、満点カードは500円のお買い物券として加盟店で利用することができます。また、満点カードは商業振興協同組合主催のゲートボール大会・バレーボール大会等の各種イベントへの参加や、倍額お買い物券・灯油券等のもっとお得な企画券との交換にも使われています。
4.被災地を訪ねて
06年8月に開催された「みんなでしあわせになるまつり」に参加予定だったことから、準備の様子を同7月に取材したのが、私と栗駒岩ヶ崎六日町との出会いでした。レトロな商店会、なつかしいものがいっぱいある町という魅力はもちろんのこと、商店会の人たちに魅力を感じてきました。
今回訪れたときも、三浦さんは店の修復工事が始まったばかりにも関わらず、私の取材を快く引き受けてくださり、色々な話をたくさんしてくださいました。また、商店会長さんも同席してくださったり、直接連絡をとっていた菅原さんは、取材先を考えていてくださり、あちこち案内していただいたりしました。感謝するとともに、感動しています。
これから先、困難と思われることが山積しているはずなのに、(だからこそ?)明るく元気にこれからのことを相談するみなさんと一緒に、私にもできることをしたいと思わずにはいられません。
また、今回の取材で一番胸に響いたのは、「まるで犯罪者のようだった」という言葉でした。みちのく伝創館(福田首相が訪ねた所です)に入る被災者を、多くの取材陣が待ち受けていたので、バスを降りるときに感じたことだそうです。避難所となっていた伝創館には、全国からのお見舞いと支援への感謝の言葉の張り紙の下に、「取材の方へ」という張り紙があり、“どうぞお静かに”“ゆっくりとさせでけらいん!”と書いてありました。
震災から1ヵ月に当たる週末には、また多くのマスコミが訪れるだろうと言っていましたが、取材する立場の人間として、心したいと思いました。次回は、9月のまつりに向けた準備の様子を取材する予定です。
なお、この取材は、私が2年前から栗駒を訪れ、まつりにボランティア参加していたことから地元の方と親しくなり実現したものです。これまでも、またこれからも、いろいろな形で報道されたり、発信されていくことと思います。伝創館の張り紙のように、静かに、また遠くからでもできることで支援がなされることを、私からも書き添えます。
(下の写真は、クリックすると拡大します)
岩手の中学校から送られた寄せ書きがみちのく伝創館に飾られていた
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7月4日に開催された夜市にはボンネットバスが応援にやってきた
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岩ヶ崎六日町に建設中(取材当時)の仮設住宅
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くりこま高原自然学校代表の佐々木豊志さん。くりこま耕英復興プロジェクトにも積極的に参加している。
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がんばろう!耕英と動き出した耕英地区の人たち。今後も六日町の夜市に出店予定。
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「くりこま・うぐいすざわ おみやげ&ランチマップ」
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