深刻な地球温暖化問題を踏まえ、化石燃料依存からの脱却を考えれば、必ずしも原子力発電そのものには反対ではない、とする変動地形学者の
渡辺満久さん(東洋大学教授)。
しかし、日本の原発立地は、島根や敦賀、大間、柏崎刈羽などの安全性審査において、活断層の距離を短く考えるなどの問題があまりに多すぎると言う。7月29日の「再処理工場を知る会」の第3回学習会では、「下北半島の活構造について」と題し、六ヶ所村の核燃料再処理施設とウラン濃縮工場の問題について講演した。
資料作成:原子力資料情報室 cnic.jp/
国や事業者の日本原燃は、六ヶ所村の核燃料サイクル施設、ウラン濃縮工場が考慮すべき近傍の活断層を出戸西方断層のみとする。ところが渡辺さんは、出戸西方断層をあくまでも「子」と考え、さらに深くに大きな活断層が潜んでいる可能性を指摘する。
核燃料サイクル施設とウラン濃縮工場は、下北半島の大平洋岸の海岸段丘に立地している。地球の歴史を考えれば、段丘は平面と段丘崖からで構成され、段丘が平面でなくどこかで傾いていれば(撓曲・とうきょく)、段丘が形成された後の地震による変型を考えなければならない。
六ヶ所の施設周辺の海岸段丘には、約12.5万年前に形成されたS面(下末吉面)の撓曲がある。S面は、地震の影響を受けない地域では平坦なので、六ヶ所村のS面撓曲は、地下深くの逆断層が10数万年の間に数10回ほど活動し(地震がおき)、地盤をたわませながら持ち上げた結果と考えている(日本原燃は撓曲ではなく、段丘崖と主張)。撓曲の規模は、幅1〜2km、標高差30〜40m程度で比較的大きい。
資料作成:渡辺満久
推定される大きな活断層は、下北半島沖の「大陸棚外縁断層」とつながっている可能性がある。そうなった場合、六ヶ所の施設は、マグニチュード8クラスの地震が直下でおきることを想定しなければならない。出戸西方断層のみを考慮した場合(現行)とは、はるかに大きな揺れを想定しなければならない。
核燃料サイクル施設以上に問題なのは、ウラン濃縮工場だ。撓曲面のすぐ近傍にあり、地震の際には地盤が大きくずれる可能性が高い。想定される活断層が「大陸棚外縁断層」とつながっていなくとも、マグニチュード7クラスの地震が直下でおきる可能性は高い。
核燃料サイクル施設とウラン濃縮工場は、渡辺さんのような変動地形学的知見から見れば非常識な安全審査によって、大きな地震が想定され、地盤も大きく動く場所に立地してしまった。日本原燃は現在、渡辺さんたちの主張に反論しているが、私が見る限りでは科学的な主張とはいいがたい。国はただちに核燃料サイクル施設とウラン濃縮工場の操業を停止させ、地質の再検討をすべきだ。
資料作成:渡辺満久
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渡辺満久さん
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