市立保育園に設置された太陽光電池
写真提供:おひさまエネルギーファンド
補助金を有効に活用する飯田市の太陽光発電・市民の出資で不足を補う
Q:
「おひさまエネルギーファンド」の始まりや仕組みはどんなものなんでしょうか?
竹村さん
ヨーロッパの固定価格買い取り制度を日本風にアレンジした「自然エネルギー促進法」を飯田哲也さん(現・
環境エネルギー政策研究所(ISEP)代表)らと作ろうとして250人ぐらいからなる議員連盟を立ち上げたんです。与党議員が100人以上いたので完璧だと思ったが負けたんです(できたのは、問題点の多いRPS法)。
議員連盟では、頻繁に勉強会をやり国会議員以外にもオープンにしたところ自治体や企業から多くの職員らが参加しました。飯田市の職員の方も毎回熱心にきており,その繋がりで飯田市の新エネルギーのビジョン作りのおりにISEPに助言を求められたのです。その提案やアドバイスをしていたころ、04年に環境省で地球温暖化対策の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」という補助金制度がつくられ、飯田市がこれに応募したところ採択され省エネと太陽光とバイオマスの事業で合計4億円の補助金が出ることになりました。
当時の環境省の補助金は、3分の2補助という気前のいいものでしたが、それでも3分の1は事業主体が出さなければならず、財政的余力のない自治体には重荷でした。自治体負担が大きいと、自治体が補助金を取りにいこうとしないので、結果的に事業は広がりません。
そこでそのお金を「我々が作ります」と始めたのが市民出資のファンドなんです。金融機関からお金を借りれば負債が増えますが、市民からの出資を集めて自治体は金銭的な支援はせずに再生可能エネルギー導入や省エネルギーのモデル事業ができれば、自治体の負債は増えないわけだから合理的です(自治体は電気代を払ったり、省エネのサービス料を払ったりという通常の経費は負担します)。
本当は固定価格買い取り制のような制度が一番いいんです。そういう仕組みを国が作ることが必要ですが、残念ながらまだできていないので、自治体がどういうふうに大胆に自然エネルギーを増やしていくかというプランをしっかり持つことが重要です。それと補助金の組み合せで、事業実施ができるとなれば自信を持って補助金を取りに行けます。
Q:他の自治体がやるにしてもそもそも計画を持たないとできないわけですよね?
竹村さん
そうですね、まずプランをたてられないとどうにもならないです。市長のリーダーシップというよりは、能力とマインドを持った意欲的な職員がないとダメですね。飯田市の場合は、議員連盟の勉強会に熱心に通いプランを作った職員と牧野市長の理解と決断に負うところが大きいですね。
銀行に貯金するより地球温暖化防止に役立つ市民ファンド
「おひさまエネルギーファンド(株)」(飯田市のプロジェクトのために作られた株式会社)は、お金を集めるファンドの主体であると同時に、事業を推進する主体でもあり両方の事業をしているという。ファンドは市民から出資者を募り対象エネルギー事業に投資され、事業実績に応じた損益が出資者に分配される仕組み。銀行に貯金しておくより金利はいいが当然リスクもある。しかし「自分の資産を環境に役立つところで運用したい」などと様々なマインドを持つ市民の支えで、全国で総額9億円のファンドを実現、各地で事業を展開している。
Q:保育園の屋根など公共施設に太陽光発電が設置されたと聞きますが。
竹村さん
公共施設から始めたのは許可が取りやすかったことと、そんなに電気を使わないので家庭用と同じ従量電力で1kWhあたり22円で買ってもらうことができたからです。我々が太陽光を設置した施設がその電気を使うのですが、市の施設の場合は市が電気代を払います。
そのために、飯田市が我々との間で20年間の買い取り契約を結ぶ、事実上の固定価格買い取り制度が「日本で始めて」できました。その時、屋根の目的外使用許可を20年も結ぶという前例がなく、通常は1年更新で、来年更新しない可能性があるとファンドも集められなくなるところでした。これを20年でよしとしたのが牧野市長の決断でした。今では公共施設だけでなく,民間施設にも広がり、これを見た事業者の方から「つけてほしい」という注文が来るようになりました。
民間施設への設置注文も増えてきた
(民間建設会社(野村建設)10kWシステム(長野県飯島町、2006年度事業)
写真提供:おひさまエネルギーファンド
Q:飯田市のそれはCO2削減のためにやっているわけですね。収益事業ではないのですね?
竹村さん
収益のためではないですね。収益のためでしたらもっとシビアになります。電気使用の多い高圧の施設では電気の単価が基本料金を足しても月15円平均が相場です。そういう施設でも飯田市は22円で買っているのでコストのためではないんです。
おひさま発電所マップ
www.ohisama-energy.co.jp/report/ohisamamap.html
◇ ◇ ◇