トップ > 暮らし > 特集:気候変動/地球温暖化 > 地域からのエネルギー政策転換をめざした飯田市のモデル事業(下)補助金と市民出資を有効活用
暮らし

地域からのエネルギー政策転換をめざした飯田市のモデル事業(下)補助金と市民出資を有効活用

桐生広人2008/09/14
長野県飯田市で「おひさまエネルギーファンド」を立ち上げ、公共施設などに太陽光発電を設置する事業に取り組んだ竹村さんたちの事業はどのように進んだのだろうか。飯田市では市長の決断が追い風となり、市民の出資が国の補助金の不足を補っている。全国的な注目を集める「おひさまエネルギーファンド」の話を聞いた。
長野 エネルギー NA_テーマ2
地域からのエネルギー政策転換をめざした飯田市のモデル事業(下)補助金と市民出資を有効活用 | <center>市立保育園に設置された太陽光電池<br>写真提供:おひさまエネルギーファンド</center>
市立保育園に設置された太陽光電池
写真提供:おひさまエネルギーファンド
補助金を有効に活用する飯田市の太陽光発電・市民の出資で不足を補う

Q:「おひさまエネルギーファンド」の始まりや仕組みはどんなものなんでしょうか?

竹村さん
 ヨーロッパの固定価格買い取り制度を日本風にアレンジした「自然エネルギー促進法」を飯田哲也さん(現・環境エネルギー政策研究所(ISEP)代表)らと作ろうとして250人ぐらいからなる議員連盟を立ち上げたんです。与党議員が100人以上いたので完璧だと思ったが負けたんです(できたのは、問題点の多いRPS法)。

 議員連盟では、頻繁に勉強会をやり国会議員以外にもオープンにしたところ自治体や企業から多くの職員らが参加しました。飯田市の職員の方も毎回熱心にきており,その繋がりで飯田市の新エネルギーのビジョン作りのおりにISEPに助言を求められたのです。その提案やアドバイスをしていたころ、04年に環境省で地球温暖化対策の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」という補助金制度がつくられ、飯田市がこれに応募したところ採択され省エネと太陽光とバイオマスの事業で合計4億円の補助金が出ることになりました。

 当時の環境省の補助金は、3分の2補助という気前のいいものでしたが、それでも3分の1は事業主体が出さなければならず、財政的余力のない自治体には重荷でした。自治体負担が大きいと、自治体が補助金を取りにいこうとしないので、結果的に事業は広がりません。

 そこでそのお金を「我々が作ります」と始めたのが市民出資のファンドなんです。金融機関からお金を借りれば負債が増えますが、市民からの出資を集めて自治体は金銭的な支援はせずに再生可能エネルギー導入や省エネルギーのモデル事業ができれば、自治体の負債は増えないわけだから合理的です(自治体は電気代を払ったり、省エネのサービス料を払ったりという通常の経費は負担します)。

 本当は固定価格買い取り制のような制度が一番いいんです。そういう仕組みを国が作ることが必要ですが、残念ながらまだできていないので、自治体がどういうふうに大胆に自然エネルギーを増やしていくかというプランをしっかり持つことが重要です。それと補助金の組み合せで、事業実施ができるとなれば自信を持って補助金を取りに行けます。

Q:他の自治体がやるにしてもそもそも計画を持たないとできないわけですよね?

竹村さん
 そうですね、まずプランをたてられないとどうにもならないです。市長のリーダーシップというよりは、能力とマインドを持った意欲的な職員がないとダメですね。飯田市の場合は、議員連盟の勉強会に熱心に通いプランを作った職員と牧野市長の理解と決断に負うところが大きいですね。


銀行に貯金するより地球温暖化防止に役立つ市民ファンド

 「おひさまエネルギーファンド(株)」(飯田市のプロジェクトのために作られた株式会社)は、お金を集めるファンドの主体であると同時に、事業を推進する主体でもあり両方の事業をしているという。ファンドは市民から出資者を募り対象エネルギー事業に投資され、事業実績に応じた損益が出資者に分配される仕組み。銀行に貯金しておくより金利はいいが当然リスクもある。しかし「自分の資産を環境に役立つところで運用したい」などと様々なマインドを持つ市民の支えで、全国で総額9億円のファンドを実現、各地で事業を展開している。

Q:保育園の屋根など公共施設に太陽光発電が設置されたと聞きますが。

竹村さん
 公共施設から始めたのは許可が取りやすかったことと、そんなに電気を使わないので家庭用と同じ従量電力で1kWhあたり22円で買ってもらうことができたからです。我々が太陽光を設置した施設がその電気を使うのですが、市の施設の場合は市が電気代を払います。

 そのために、飯田市が我々との間で20年間の買い取り契約を結ぶ、事実上の固定価格買い取り制度が「日本で始めて」できました。その時、屋根の目的外使用許可を20年も結ぶという前例がなく、通常は1年更新で、来年更新しない可能性があるとファンドも集められなくなるところでした。これを20年でよしとしたのが牧野市長の決断でした。今では公共施設だけでなく,民間施設にも広がり、これを見た事業者の方から「つけてほしい」という注文が来るようになりました。

地域からのエネルギー政策転換をめざした飯田市のモデル事業(下)補助金と市民出資を有効活用 | <center>民間施設への設置注文も増えてきた<br>(民間建設会社(野村建設)10kWシステム(長野県飯島町、2006年度事業)<br>写真提供:おひさまエネルギーファンド
</center>
民間施設への設置注文も増えてきた
(民間建設会社(野村建設)10kWシステム(長野県飯島町、2006年度事業)
写真提供:おひさまエネルギーファンド
Q:飯田市のそれはCO2削減のためにやっているわけですね。収益事業ではないのですね?

竹村さん
 収益のためではないですね。収益のためでしたらもっとシビアになります。電気使用の多い高圧の施設では電気の単価が基本料金を足しても月15円平均が相場です。そういう施設でも飯田市は22円で買っているのでコストのためではないんです。

地域からのエネルギー政策転換をめざした飯田市のモデル事業(下)補助金と市民出資を有効活用 | <center>おひさま発電所マップ<br>www.ohisama-energy.co.jp/report/ohisamamap.html</center>
おひさま発電所マップ
www.ohisama-energy.co.jp/report/ohisamamap.html

◇ ◇ ◇

ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

[37260] RPSで日本の自然エネルギー普及を阻止しようとした経産省・資源エネ庁が・・・
名前:中川修治
日時:2008/09/20 09:56
グリーン電力証書取引を支援するとしています。過日、東京で「グリーンエネルギー利用拡大セミナー in 東京 」主催/グリーンパートナーシップ/資源エネ庁 という催しを開いていました。これはFITの導入を避けたいと考えている電力業界や経産省の意向が絡んでいると思います。環境にやさしいですよという商品を売るための差別化のラべリングの為に証書が販売されて、それがボランタリーに広がって環境価値を買い叩いたために普及が止まったという政策の失敗が見えなくなればと考えている経産省の思惑が見え見えです。そうした問題点をきちんと整理して証書を販売しないとそれを購入した人たちだけのボランタリーな自己満足だけに終わらされるのではないかとちょっと心配です。
[37158] 固定買い取り価格制度への変更をどうすすめるのか・・・
名前:中川修治
日時:2008/09/16 21:09
多分、それが最も必要なところでしょう。しかし、残念ながら、以前頑張ったNPO・NGOもこぞってグリーン電力証書とか補助金へと走っている様に見えます。いっその事、こうした補助金何度をプールして独自に発電原価補償をするぐらいの代替策をするところがあってもいいのではないかと思います。

さて、韓国では太陽光発電に対してFITを実施しています。その数字が分かったので紹介しておきます。

現行の売電体系

プラントのサイズ 固定価格(won/kwh)   支援期間有効期間

  30 kw 未滿  711.25 15 Years    2008 年9 月30 日
  30 kw 以上  677.38 15 Years         まで

為替レートは10,66なので大体、10分の1ぐらいですから

30Kw未満は 70円/Kwhぐらい
30Kw以上は 65円/Kwhぐらい です。

※今年の10月1日以降は 支援機関=保障期間が15年か20年を選択
、保証買い取り価格も規模によって細かく分かれます。で、大きなもの
ほど買い取り単価が下がっています。つまり、太陽光は分散型で集中し
ないようにとそうした措置が取られているのです。


で、RPSへの変更は2012年以降のようです。つまり、それまでは確
実な買い取り価格支持制度。決して、日本のように先行設置者が買い叩か
れることはありません。
[37141] 一歩進んだ自治体
名前:桐生広人
日時:2008/09/16 10:19
飯田市の例は一歩進んだ自治体だと思います。横浜市も時代の先を進もうとしている。その他に備前市とか,いろんな自治体が取り組みを始めていると,竹村さんは話していました。
デンマークのサムソ島(についての記事 http://www.news.janjan.jp/world/0808/0808030616/1.php)や日本でも地域の電力を自然エネルギーでまかなう自治体もあると聞きました。固定価格買い取り制度のない中で自然エネルギーの普及に努力が続けられており、これを支援するいい制度ができるといいと思います。

[37085] 3分の2の補助なしで事業が出来るためには・・・
名前:中川修治
日時:2008/09/14 20:24
最低でも発電原価以上の固定価格買い取り制度が必要でしょう。
自然エネルギーから拓けてくる新たな未来 メガソーラーへの補助金には疑問 太陽光発電は大規模なほど非効率
http://www.news.janjan.jp/living/0809/0809046318/1.php

●太陽光発電に関しては、余剰電力の買い取りではなく全量買い取り義務へと変更する
 ●電力の買い取り価格は当面、1kWh25円とする
 ●個別の太陽光発電事業者からの買い取り価格は、設置年度毎の発電原価から25円を差し引いたものを電源開発促進税から支給する
 ●支給するにあたって各地域の経済団体発行の通用期間限定の買い物クーポン券で支給されるものとする
という風な提案もしてみたのだけど、どこかこの国で一歩前へと時代の先へ進もうという本当に自治体が出てこないものだろうか・・・。

地域社会に生産力=自給力をつけることこそが求められてるんだと思います。
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。