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高齢女性への男性からの虐待が増えている理由とは?

報道によると、家庭内における高齢者虐待の多くは男性から女性に向けられたもののようです。自身も祖母の介護をしているわたしはこれを見てドキッとしました。仕事が忙しいときにきつい言葉をかけて後悔したことがあり、人ごととは思えなかったのです。
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 2007年度の家庭内における高齢者虐待が、前年度比で6%増加したそうです。

参照:
高齢者虐待、家庭内6%増…施設内は15%増(YOMIURI ONLINE)

■加害者は男性、被害者は女性が多い
 防止法が施行されて2年目で、制度が定着してきたという影響があり、一概に実際の件数が増えたかということは即断できませんが、虐待の加害者と被害者の内訳を見ると興味深いものがあります。それは虐待被害者の77%が女性だったということです。

 これは、特に体に衰えがくる後期高齢者には寿命が長い女性が多いという面もあるかも知れませんが、この数値は62−63%で推移していますから、やはり「被害に遭う確率」は統計だけを見れば、女性が高いのです。

 一方、加害者は息子が41%、夫が16%、娘が15%で「男性の加害者」が息子と夫だけで57%を占めています。

■誰でも加害者になりうる
 わたしは、この数字を見てドキッとしました。わたしも、要介護2の祖母が、仕事が忙しいときに「ファックスが動かないのでどうしたらいいか」と電話してきたので「電気屋さんにきいてよ。今忙しいの」と強い口調で応答し、切ってしまったことがあります。これがひどくなると「言葉による虐待」にも進みかねません。そして「誰でも加害者」になりうるのだと感じました。

 実は高齢者虐待防止法で通報制度を設けたのは、通報で加害者を悪者にするというよりも、加害者を救うという意味合いが強いのです。

■ジェンダーバイアスは男性も苦しめる
 女性の場合は、伝統的役割分業の中で、家族の介護を、いわば押し付けられてきたという経緯があります。もちろんそれはジェンダーバイアスなのですが、そういう経緯のために、逆に相談できる友人や知人などのネットワークも一定程度あるのではないかとも推測されます。

 ところが、男性の場合は、そういうネットワークがない。仕事一筋人間だったら、地域に友人や知人もいない。さらに、男性の場合は「男の沽券」が妙に他人の助けを得まいとする方向に働くのではないか、と思うのです。

 さらに介護を担おうとしても職場の理解がない、ということもあるでしょう。実際、介護休業の取得率はきわめて低く、最近では男性でも、介護を理由とした離職が激増しています。

参照:
介護保険法「改正」後に、激増した「介護離職・転職」

 これは「どうせ介護は主婦の仕事だから、お前は会社を休まなくて良い」とするジェンダーバイアスと表裏一体なのです。そして「介護はどうせ、女性がするものだから」ということで、介護労働者の賃金も抑え込まれることとも表裏一体です。

 ところが状況は変わってきています。大家族から核家族化、さらに晩婚・非婚化が進む中で、介護の担い手も少なくなり、男性が担わなくてはいけない状況も増してきているのです。遠距離介護なども増えています。

 いくら古い考えの男性でも、遠くの自分の親の介護を妻にさせようとは、なかなか思わないでしょう。それが当然だと思います。ただ、そういう中で、人の面倒を見るのが不慣れな男性が、多く虐待に走ったり、ひどい場合は心中に走ったりしてるのではないでしょうか? 殺人事件など悲劇的な結末に発展する例の多くは、男性が加害者です。

■介護する人も大事にして「明るい家族」を
 ではこうした現状を改善するためにはどうすればよいか?

 第一に、行政による介護サービスの充実です。施設に入りたくても入れない。何年も待たないといけないという状況はおかしいとおもいます。また、小泉政権による介護保険法「改正」によるサービスカットも、大きな不便を強いています。

 そして高齢者の家族を支援することも大事です。事件が起きて一番不幸なのは高齢者本人ですが、起こしてしまった加害者本人も不幸です。わたしも、祖母に強い口調で対応してしまったとき、この程度でもイヤーな気持ちになったものでした。「どら息子が親の金をふんだくった」などというのは論外としても、精神的に追い詰められた末に、殺してしまった、心中してしまったというのは、悲劇以外の何者でもありません。

 一人で抱え込まなくても良い、ということをきちんと伝えること。介護者本人のストレス解消を支援すること。イギリスの「介護者支援法」を見習った法整備が必要だと思います。 このまま放っておいたら、介護の悩みを抱える人が増える一方で、暗い社会になりかねません。

■「問題ない家族」より「明るい家族」を
 また、特に男性の介護者に訴えたい。問題のない家族などない。ただ、やり方次第で「できるだけ、明るい家族」にすることは可能である。 問題があるのは当たり前。それを一人で抱え込まないことだと。

 最悪、親を殺してしまうよりは、きちんと支援を受けることです。祖母もわたしが居ないときには、町内会長さんが気にかけてくださったりするようになりました。

 また、制度改悪で不便になった部分については小泉さんに悪者になってもらえばOKです。祖母には「小泉さんは酷い。民主党にいっぺんやらせてみるか」で納得してもらっています。

 こんな風に、すこしでも明るく、制度改善まで生き延びましょう。
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