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憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」の最後の砦となる生活保護。小泉内閣で老齢・母子加算が段階的に削減する方針が決まり、今のままでは2009年度までに加算が全廃となってしまう。 「老齢・母子加算廃止は憲法に違反する」として広島県や広島市などに減額の取り消しを求める裁判が広島地裁であったが、25日に訴えは退けられた。この年末年始、母子家庭は人並みの正月すら送れないケースもある。派遣切りや非正規社員の雇い止めも含めて、この国が立場の弱い人にしわ寄せをすることに躊躇しない冷たく生きづらい方向に向かってしまっていることを実感する。 25日の判決では加算について国の判断が不合理とはいえない、などとして訴えを退けたが、裁判を支援している「全国生活と健康を守る会連合会」はホームページ上で「判決は厚生労働大臣の裁量を広く認めるもので、きわめて残念な判決であるといわざるをえない」などとする抗議声明を発表した。老齢・母子加算廃止を巡っては「生存権裁判」として全国10カ所の地裁で減額取り消しを求める裁判が提起されている。 大阪市内に住む生活保護を受給するある母子家庭。この年末は食品の値上げなどで例年以上に厳しい暮らしを余儀なくされている。母親は「好きで生活保護を受けているわけではありません。出来るならば仕事をしたいのですが、消化器系の病気を持っていて医者から就労を禁止されていて、生活保護に頼るしかないのです。小麦粉が値上がりしたことでいつも使っているインスタントラーメンも3割ほど値上がりしているし、他の食品も高くなって家計は苦しいです」と話す。 正月は小学生の娘を連れて久しぶりに親戚の家にあいさつに行こうと考えたが断念した。「行けばおせち料理をごちそうになるでしょうし、向こうにも小さい子供がいるのでお年玉を渡さなければなりません。今はそのお金さえ用意できないから行くのは止めて家で過ごします」という。年始のあいさつに親戚を訪問することは日本での習慣だ。そんな人並みの正月すら送れない、国民を守ることができないこの国の制度は欠陥とはいえないのか。 広島地裁は老齢世帯や母子家庭が加算を受けられなくてもただちに最低限度の生活をもたらさないとの判断を示したが、裁判官の考える「最低限度の生活」と実際に低所得にあえぐ世帯のそれとは大きな隔たりがあるようだ。最低限度についての裁判所の判断としては1967年の「朝日訴訟」での最高裁判断で「何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の合目的的な裁量に委ねられている」とされたが、憲法25条の精神を大臣に委ねるということは、国民にとって不安きわまりない事態であり、裁判所はもっと積極的に憲法についての見解を述べるべきだ。 生活保護を巡っては国が通院移送費を大幅に制限する方針を打ち出したが、自治体の福祉事務所の窓口では混乱が生じた。日本弁護士連合会などが通院移送費に関する厚生労働省通達について撤回を求めるなど、国の不当な方針に抗議の動きが強まっている。通院移送費の見直しについては北海道滝川市で起こった突出した事例がきっかけとなったが、こうした不正受給は一部でしかない。社会保障費の削減で常にターゲットにされる生活保護制度の適正な運用を守ることは、ひいては稼動している世帯が何かの折に生活を守ることにもつながることを訴えたい。 関連リンク: 全国生活と健康を守る会連合会 生活保護利用者の通院移送費削減に関する通知の撤回について(日弁連サイト内) |