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映画「フツーの仕事がしたい」で考える“労働”―土屋監督インタビュー

山本ケイ2009/01/17
トラックドライバーの過酷な労働を追った「フツーの仕事がしたい」の土屋監督。映画を見て自分の労働条件もおかしいのではないかと考えたり気づくきっかけになって貰いたいし中高生や大学生にも是非、見て欲しいと語った。
日本 雇用 NA_テーマ2
映画「フツーの仕事がしたい」で考える“労働”―土屋監督インタビュー | <center>土屋監督。名前の「トカチ」はアイヌ語で豊かな大地という意味という(大阪市内で)。</center>
土屋監督。名前の「トカチ」はアイヌ語で豊かな大地という意味という(大阪市内で)。
 ドキュメンタリー映画「フツーの仕事がしたい」はセメント輸送のトラックドライバーの過酷な労働を追った作品だが、1月3日で日比谷の派遣村で上映された際には映画の中の現実に自身を重ねて共感する人が多かったという。撮影は2006年から約1年間で現在のような派遣切り、雇い止め問題が注目されていなかった時期だが、昨年からの雇用悪化に強くアピールする形となり、マスコミ取材が殺到、全国での自主上映会も多数、実施されている。大阪の記者会見に出た土屋トカチ監督に時間をいただき話を聞いた。

−そもそもこの作品を作るきっかけはどこにあったのですか。

 「私自身、東京の映像制作会社に就職してディレクターの仕事をしていたのですが、会社の都合で突然、解雇を言い渡されました。それで管理職ユニオンという組合に相談に行きました。私は解雇されていく様子をビデオに撮っていたのです。それを3分ほどにまとめて労働関係のイベントに出品したところ、全日本建設運輸連帯労働組合の方の目に留まり、記録映像の撮影を依頼されたのです。それが映画の主人公である皆倉さんとの出会いでした。記録部分は組合からの依頼でしたが、皆倉さんを追いかけているうちに職場復帰してまた運転される姿を見届けたいと途中からは自費で撮影を続けたのです」

−記者会見では派遣村では共感する声が多かったというお話がありました。こうした状 況になることへの予感はあったのでしょうか。

 「労働運動の専門家でもないし学者でもないので予測というのはしていませんでしたが、規制緩和が始まったころから行き過ぎた資本主義は、いずれ破綻するのではないかとなんとなく感じていましたね。それにしても自分の映画がこれほどタイミングが合うとは思っていなかったのです。ただトラック業界のひどい状況というのは今に始まったことではなく、規制緩和でタクシー台数が増えたように、トラック台数もどんどん増えておかしくなってしまったのです。そうしたことが今はいろんな職場に広がってきたと思います。派遣村もその一つの状況ですよね」

−この映画に込めたメッセージはどんなところにありますか。

 「しんどい状況で働いている方々が見るのは辛いと感じることがあるかもしれませんが、私が言うのもおこがましいのですが、これはある意味、30代半ばの男性の成長の物語でもあるのです。当初はひどい労働条件を当たり前のように思っていた人が、労働組合を通じていろんな人たちと出会う中でこんな労働条件はおかしいと気づいて異議申し立てをして職場まで変えてしまったわけです。映画を見て自分の労働条件もおかしいのではないかと考えたり気づくきっかけにしていただければと思います。それとこれから働きに出る中高生、大学生にも是非、見ていただきたいと思います」

−監督としてこれから手がけてみたいテーマはありますか。

 「以前にハンセン病について短いドキュメンタリーを撮ったことがあるのですが、それをさらに充実させた作品を作ってみたいと思っています。興行的には難しいかもしれませんが、療養所にいた方々が亡くなっていく中で今、作っておかなければという気持ちです。これまでハンセン病を扱った映画はたくさんあったのですが、どちらかというと、かわいそうな人たちという描き方が多かったように思えます。でも実際にお話をしてみると普通のおじさん、おばさんですし純真で子どものような面も持たれています。そういうところにすごく引かれますので作品を作ってみたいです。それと私自身、不安定なフリーですので労働問題や生存権問題は自分の問題でもあるので関わり続けていくことになると思っています」

<作品紹介>
「フツーの仕事がしたい」
撮影・編集・監督・ナレーション:土屋トカチ
出演:皆倉信和
取材協力:全日本建設運輸連帯労働組合、皆倉タエ、皆倉光弘
ナレーション:申嘉美
音楽:マーガレットズロース「ここでうたえ」 (アルバム「DODODO」より オッフォンレコード)
制作:白浜台映像事務所/映像グループローポジション
※1月24日〜第七藝術劇場(大阪)、2月14日〜神戸アートビレッジセンター、2月21日京都みなみ会館のほか、東京渋谷のUPLINK(アップリンク)でもアンコール上映中。
公式ブログ→http://nomalabor.exblog.jp/
※大阪・第七藝術劇場1/24〜、神戸アートビレッジセンター2/14〜、2/21に京都みなみ会館などで公開予定。
◇ ◇ ◇
非正規雇用と人権・貧困問題

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