豊橋うずら産業の混迷と再生
2月27日に豊橋市で発生した、うずらの高病原性鳥インフルエンザにより、愛知県のうずら産業は大きな打撃を受けた。この間、全国的にウイルス検査が行われ、最後まで残っていた愛知県内の家禽もすべて陰性が確認された。この難関を克服しようと、第1回愛知のうずら再生会議が4月10日午後、愛知県東三河総合庁舎で開かれ筆者も傍聴した。
冒頭、挨拶に立つ稲垣愛知県副知事(「東愛知新聞」4月11日記事より)
会議には県内のうずら農家・ふ化業者・流通加工業者ら約30名、農協関係者及び行政関係者約20名の計約50名が参加した。うずらの生産、流通、販売にわたる課題について関係者が認識を共にし、連携・協働することで日本一の産地として再生することを目指す目的であった。
最初に稲垣副知事が「今回の自体で県内うずらの約40%、160万羽が殺処分され、誠に残念。県は緊急措置として4億9,000万円の予算を確保し、支援体制を整えてゆく」と挨拶した。
つづいて、東海農政局の釘田次長は「今回のH7N6ウィルスは弱毒性だが、これが強毒性化した事例は海外にもあった」と今回の殺処分の正当性を述べ、発生原因の究明と再発防止、並びに小売での適切な表示や学校給食での自粛除外を呼びかけるなど経営支援にも万全を期すと話した。
佐原豊橋市長は「市内のうずらの70%が失われたことは深刻な問題であり、国や県と共に防疫対策に取組みたい」とし、農家への支援についてはこれから細部を詰めてゆくとした。
会議では愛知県畜産部から、うずら産業の再生に向けた基本方針とその具現化に向けた体制について、形どおりの説明があった。
生産農家からはと厳しい意見が出た。
「殺処分が行われた後になって、うずら1羽の補償単価を知らされた。」
「今まで養鶉業では企業努力で赤字を出さずにやって来た。今次の行政措置や風評被害による損害に対する補償を提示して欲しい。」
地元、「天狗缶詰」の伊藤専務からは「3月のうずら卵(水煮缶)の出荷は22.5%ダウンしている。学校給食関係での返品は尽きず、メニューの変更による需要減は厳しい」と、実情が報告された。
さらに、風評被害は地元では回復しつつあるが、遠隔地ほどひどい。教育委員会や学校給食会は、PTAが言わなくても自主的に献立変更をしている、と広報対策の必要性を要望する声があがった。
また、うずら卵は需要量の40%が中国・タイから輸入されており、地元産の供給が回復しなければ輸入が定着してしまう、と早期の生産再開を要望する声があった。
行政は「防疫対策には万全を期し、農家への支援は惜しまない」と公言したが、移動制限解除後の雛の供給をどうするのかという質問に対して東海農政局は、全国のアンケート調査では月次で種卵50万個、雛1万羽程度は供給できそうだという結果が出ている、とだけしか答えられず、行政サイドでは「打つ手なし」を露呈した。
病原ウイルスを検出し、家畜伝染病予防法に基づき殺処分するところまでは一挙に進めたが、うずら産業の再生に対しては無力感が隠せなかった。
豊橋養鶉組合の木村氏は「これだけのうずら関係者が一同に会したのは初めてのこと。2月27日を忘れないためにも記念日にしてはどうか」という新発想の提言があり、筆者は心中で拍手を送った。
行政サイドの筋書き通りに議事が進行し、最後に「愛知のうずらの再生を目指して」の宣言が、拍手によって採択され幕を閉じた。
愛知のうずらの再生を目指して
愛知県は全国の総飼養羽数の7割を占める日本一のうずら産地であり、私達はうずらの生産及び・加工・流通・販売に携わりながら、新鮮なうずら卵・うずら肉の食品を消費者の皆様にお届けしていることを誇りに思っています。
しかし、先日発生しました高病原性鳥インフルエンザにより、うずら関連業界全体が、これまで経験したことのない危機的な状況に陥っています。
私たちは、これからも「うずら卵・うずら肉の食品」を通じて豊かな食生活に貢献できるよう、また、愛知の特産物であるうずらを消費者の皆様に安心して食べていただけるよう、衛生管理に万全を期し、愛知のうずらの再生に取組んでまいります。
平成21年4月10日
愛知のうずらの再生会議一同
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4月19日には7例目の防疫措置も終了と報告され、終結の兆しである。筆者のお膝元で発生した今回の鳥インフルエンザ事件は、発生当初から詳細に足跡を追い記録もしてきた。次稿以降で詳細に報告する。
参考サイト:
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農水省の公式発表(3月4日)
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【鳥インフルエンザに関する情報】(愛知県のHPから)