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日本の死者の中で遺言書を作成する割合は約7.5%である。これは以下の統計値からの算出による。 ・日本の年間死亡者数 約108万人(厚生労働省「人口動態総覧」、2006年) ・自筆証書遺言の年間検認申し立て件数 約12600件(最高裁判所「司法統計年報」、2006年) ・公正証書遺言の年間作成件数 約69000件(法務省民事局、2005年)。 自筆証書遺言の年間検認申し立て件数と公正証書遺言の年間作成件数を合わせると約81600件であり、この値を年間死亡者数から除した。 但し自筆証書遺言が作成しても、家庭裁判所に検認の申し立てをせずに私的に開封してしまうケースもありうる。遺言書の私的開封は5万円以下の過料に処せられる違 法行為だが(民法第1004条第3項)、露見しないケースも存在する。そのため、実際の遺言書作成数はもっと多くなる可能性があるが、法律の手続に従って遺言が 処理されたケースにはならないため、本記事では無視する。 遺言書を作成する人が約7.5%程度という数字を多いと見るか少ないと見るかは人それぞれである。もし「少なすぎる」と感じた場合、「もっと遺言作成者を優遇す べきではないか」との問題意識が生まれる。本記事では「遺言作成者を優遇する必要はない」との立場で論じる。 遺言書は作成することができるもので、作成しなければならないものではない。民法では法定相続分が定められており、遺言がなければ、それに従って遺産分割を行え ば済む問題である。そして民法の定める均等相続の原則は日本国憲法の定めた個人の尊厳や法の下の平等に従い、戦前の封建的家制度を解体するために定められたもので ある。 この点において遺言の位置付けは戦前と戦後では180度異なる。戦前は遺言が封建的な長子単独相続の例外となりうる制度であった。ここでは遺言を可能な限り有効 に解釈することが家制度の不合理からの救済になった。これに対し、戦後は均等相続が原則となり、その民主主義的な原則を破る例外が遺言になった。ここでは均等相続 に則った遺産分割が道徳的には期待されるものであり、それに背く遺言を優遇する必要はない。 現行民法にも事実婚(内縁)の配偶者や非嫡出子など法定相続では不利な扱いを受ける存在は残っている。彼らの救済のために遺言書が作成されることは結構なことで ある。しかし、遺言書を作成するか遺言書の内容をどうするかは遺言書作成者の恣意に委ねられており、事実婚の配偶者や非嫡出子の救済になるとは限らない。問題の本 質は不合理な差別が残存していることであり、制度変更が王道になる。 以上より、遺言書作成者を優遇して遺言書作成を促進する必要性はないと考える。 ◇ ◇ ◇
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