景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会が主催する第3回首都圏交流会が2009年11月24日に中野区立商工会館(東京都)で開催された。末席を汚した私は自らの新築マンション購入トラブル(東急不動産だまし売り裁判)を報告した。
景観と住環境を考える全国ネットワーク(景住ネット)は、地域の景観と住環境を乱開発から守り、豊かな生活環境を創造するために各地の住民運動や専門家が結集して2008年に結成された市民団体である。首都圏交流会は東京の首都圏の会員を中心とする建築・不動産紛争に携わる団体・個人の交流の場である。今回は第1部を活動報告会、第2部を地域ネットワークである首都圏ネットワーク立ち上げ準備会議とした。
近年の規制緩和による乱開発は経済の中心地である首都・東京において最も激しいものの、事業があまりにも大規模であることなどから、市民運動は郊外の方が先行している面があった。この意味で地域の生活に根ざすと共に全国にも情報を発信できる首都圏の地域ネットワークの存在意義は極めて大きい(日置雅晴・景住ネット会長)。
活動報告会では8団体・個人が報告した。文京区の春日・後楽園駅前地区市街地再開発や世田谷区の二子玉川東地区再開発、浅草寺が原告となり大きく報道された西浅草3丁目計画や中野区の警察大学校跡地再開発など都内各地の問題が報告された。
私が報告した東急不動産だまし売り裁判は、東急不動産(販売代理:東急リバブル)が不利益事実(隣地建て替えなど)を隠してマンションをだまし売りし、真相を知った購入者である私が裁判で売買代金を取り戻した事件である(参照「
『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』」)。
私は東急不動産だまし売り裁判とマンション建設反対運動の共通点として、近隣住民に対する不動産会社の約束(隣地建て替えを購入検討者に説明する)違反が発端であること、近隣対策屋が暗躍したことを挙げた。その上で近隣対策屋を相手とせずに東急不動産に内容証明郵便で直接抗議することやインターネット上で嫌がらせを公開することが不動産業者への対抗手段となると指摘した。
交流会で私が使用した資料
参加者の討議で関心を集めた事項の一つに総合設計制度がある。総合設計制度は公開空地を設けることを条件に容積率や高さ制限を緩和する制度である。簡略化すれば小さな空地を作ることで、本来は建てられない高層建築が可能になる。この総合設計制度に対しては以下のような批判が出された。
・高層ビルの社会的悪影響(景観破壊、ビル風、人口増加など)を考慮せず、公開空地だけで高層建築が認められてしまう。
・総合設計制度は都市計画と機能的には変わらないにもかかわらず、都市計画法の手続を踏まずに建築基準法の範囲でできてしまう。
・建物に囲まれた中庭に過ぎず、公開された空地とは言えないものまでが公開空地として総合設計制度の適用を受ける。典型例は東急不動産らの分譲マンション・鷺沼ヴァンガートンヒルズ(川崎市)で、激しい住民反対運動が起きた上に土壌汚染が発覚して計画中止となった。
・公開空地は不特定多数の人が敷地内に入り込むことができるために治安を悪化させかねない。高層建築だけでなく、公開空地自体が周辺住民にとってデメリットである。
交流会で出された批判を踏まえ、首都圏ネットワークでは総合設計制度を勉強会のテーマの1つとすることになった。