12月23日、新宿区の大久保地域センターにて、大阪府柏原市で生活保護申請をするため、ビデオカメラを福祉事務所に持ち込んだことにより職務強要罪の容疑で逮捕・起訴された男性の釈放及び無罪を求める集会が開かれた。
新宿、大久保地域センターにて(以下すべて撮影筆者)
その男性の加入する「関西非正規労働組合ユニオンぼちぼち」によると、男性は、一度は生活保護を受けていたのが、母親が自分が知らないうちに自分名義の預金口座を持っていたため、8月に再申請した時に却下された。そのため、口座からお金を引き出して貰い、再申請が、再度却下される不安を覚えた男性は、証拠となるようにビデオカメラを回して持ち込み申請を迫ったため、事務員が警察に通報。その後、10月下旬に逮捕・起訴に至ったとのことだった。以後、男性は50日以上も寒いなか拘束された状態である。
この事件に関して、弁護士の山本志都さんは、職務強要罪の適用要件を満たしていないと説明。そもそも、この罪状による判例は極めて少ない上、男性が自らの権利を主張し、カメラで撮った映像を流すサイトがあるという事実を述べたまでであるため、この逮捕と起訴は、政治的判断によってなされたものであると考えていいと述べた。
日本では検察に起訴されると99%以上の確立で有罪となる。つまりは、かなりの確証と有罪にする意志がないかぎり立件はされず、政治的な動機で検察が動くことが大いにあるのだ。
集会の講演者としてNPO(自立生活サポートセンター・もやい)の稲葉剛氏は、増大する生活保護申請の水際阻止作戦に、支援団体が同行申請して受理させることに対する、行政のさらなる阻止作戦として、今回のような逮捕劇に至ったのではないかと述べた。
稲葉剛さん(自立生活サポートセンター・もやい)
また、映像撮影者の立場から、山川宗則さん(Media Champon)と根来祐さん(フリーター全労働組合ムービーユニオン)は、カメラがあるのとないのとでは、行政の接し方が変わり、撮影が抑止力になることがあるので、それに対しての萎縮効果を狙って、今回のような逮捕がなされたのではないかと危惧をつのらせた。
山川宗則さん(Media Champon)と根来祐さん(フリーター全労働組合ムービーユニオン)
しかし、この事件の根源的な問題は、逮捕された男性の行為が適切であったかなかったかということではなく、なぜ、男性がカメラを持ち込まなければいけなかったのか、また、なぜ、申請を福祉事務所に受理させるのに、支援団体が同行しなければいけないのかということだろう。
通常、一人で行くと、実に不親切な対応を受けるという。だから、同行者が必要になるのだが、すでに厚生労働省は、「親切に対応して、また、申請の意志があるかないかを職員の方から確認しなければいけない」と通知を出している。それでもなぜ、不親切な対応が続くのか。そのこと自体が異常なことだと認識しなければいけない。
稲葉氏は、福祉事務所の職員数が十分でないこと、申請を受け付ける窓口と実務を行う部署が別々で、用件が増えるともめてしまうという体制が原因ではないかと指摘した。
しかし、福祉事務所は我々の税金で成り立っている公的機関である。本来、公僕たるもの、税金で食っているのだから、納税者である市民に親切に対応するのは当然のことである。人員不足や体制の問題による損益を納税者である我々市民が受けるいわれはない。
生活保護を受ける人々に対する社会の冷淡さも要因であるとするが、それにつけこむことこそ、公僕としてあるまじき行為である。公務員は、あくまで法律に則(のっと)ってのみ公共サービスを行う人々である。
我々、市民は行政に対し、このような対応の改善を求めなければいけない。「生活保護は関係ない」と思っている人も多いかも知れないが、実態を知ると、無関係といえる人は実をいうと世の中には皆無だ。いざというときのための保険なのだ。だからこそ、無理矢理税金を支払わされている。
また、行政に任せっきりで怠慢状態を放置したら、生活保護に限らず、その他の公共サービスにおいても税金の無駄遣いをされかねない。
今こそ、日本国憲法に定められた主権在民の精神を活かす時である。
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