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さらば「噂の眞相」

小池正春2004/03/11
ゲリラジャーナリズム、スキャンダル報道の第一人者が退場する。「Nステ」終了と合わせ、一つの時代が幕を降ろす。
日本 マスコミ NA_テーマ2
 「噂の眞相」がいよいよ今月号をもって休刊だ。創刊以来、25年間の間に、民事、刑事含めて約40件の訴訟を起こされた。ここに同誌の“反骨ぶり”が如実に現れる。公称20万部。ジャーナリズムにとって時にタブーともなる広告に頼らず、販売部数だけで出版社を維持したことは驚嘆に値する。出版社は今、どこも経営に四苦八苦、青息吐息である。

 これは私の印象でしかないが、同誌のファン層は、マスコミ業界、マスコミ志望学生、70年安保世代が多いような気がする。周辺では、同誌を買うものは月刊「創」を買い、最近では「サイゾー!」がラインナップに加わる。広報を通じた取材や発表資料に頼らず、ディープスロートを掴まえた調査報道で真相に迫った。時には、甘い記事が出ることもあったが、文字通りタブーに挑戦し続けた雑誌だった。

 読者として考えさせられたのは同誌と「小林よしのり」との訣別だった。同誌と「小林よしのり」とは当初、親密な関係のように見え、新しい思潮の発信源でもあった。ところが、同誌が「小林よしのり」のタブーを追及し始めたことから“全面戦争”となり、この辺りから「小林よしのり」は週刊「SPA!」とも戦争をし、隔週刊「SAPIO」に行き、「わしズム」へと流れていくのである。

 訴訟の数では天下一の岡留安則編集長でも、そのあまりの“個性”にサジを投げた人もいる。宅八郎氏と“ホンカツ”こと本多勝一氏である。(お二人は「裁くのは俺だ!!」という対談を「週刊金曜日」189号で行っている)。これも印象深い。復讐の鬼と化したお二人に適うものは、地球上にはもはやいないように思われる。世の中には“上には上がいる”ということである。

 休刊号編集長日誌にはこうある。

 「休刊宣言であらゆるメディアからの取材攻勢となった……朝日、毎日、産経、東京、道新、共同、時事……凄まじいといえば、「噂真」が休刊することで火葬になるとすれば、残った骨を残らずもっていかれそうな勢いがある。まず、本誌名物の1行情報24年分を1冊にまとめた本が……これだけ単行本化されるのは人気雑誌の宿命か……テレビも筑紫哲也氏がキャスターをつとめる「NEWS23」やフジテレビが6カ月にわたり密着取材した……休刊にタイミングを合わせたかのように裁判の方も次々に和解または判決となった……」

 また、東京新聞(3月10日付け)の岡留安則編集長インタビューを読むと、休刊の理由がいくつか上げられている。「個人情報保護法の成立」「名誉毀損の賠償額が1000万円単位に高額化した」「政権にとってゲリラジャーナリズムに跋扈されたら困る。規制しないといけないという流れが起きた」など。これらは何も「噂の眞相」ならずとも直面する話であり、“社会の木鐸”にとっては重い課題を背負った形だ。

 ターゲットは、権力者、オピニオンリーダー、みなし公人(その周辺で飯を食う評論家、文化人、芸能、スポーツ選手)と語る同編集長。恐れおののいた人たち、苦い想いをさせられた人たち、不愉快な想いをさせられた人たち……ひとまずは安眠できそうだ。

 寂しくなるのは新宿ゴールデン街の常連たちだ。岡留編集長は海外放浪の旅に出るのだという……ひとつの時代が確実に終焉した。
さらば「噂の眞相」
「噂の眞相」休刊号。

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-[502] 噂の真相、休刊記念別冊を読む  山本ケイ (2004/03/31 06:36)


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