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地球の「裏側」から日本のジャーナリズムを考える書 ロベール・メナール著『闘うジャーナリストたち』

鈴木修治2005/02/05
本書は、「国境なき記者団」の創設以来のメンバーのひとり、ロベール・メナール氏が、20年近い活動をふりかえってまとめたものである。
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 このニュース・サイトへ投稿したり、その記事を読んだりしている人たちは、日本の既成の報道に何かしらの不満を持っていると想像するし、それゆえにこのサイトを利用していると考える。

 だからこそ、ここで紹介する本の持つ意味や価値について、多くの説明は必要ないと思う。本書が記録している物語の面白さは読んでもらえばわかるので、記述の中に記された特に重要な事実を紹介して、この問題を考えるきっかけとしたい。

 北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の独裁的な様相については、いやというほどテレビで伝えられているので、あらためて指摘する必要もない。本書では、国境なき記者団が2003年度におこなった「世界各国報道の自由度ランキング」で、対象国のなかで最下位の166位となったことが報告されている。

 その最下位からひとつ上の165位にキューバ共和国があり、161位には中華人民共和国がある。これには少し意外な感じがした。その国のもつ報道の自由さというものが、国の外から見た印象と実際とはちがっている場合があることを、たくさんの事例を引きながら報告している。

 それでは私たちの暮らす日本は、世界全体の中ではどのあたりに位置づけられるのか。この調査結果では44位であり、イスラエルとならんでいる。みなさんはどのように思われるであろうか。

 たとえば、先の大戦でおなじように重大なる戦争犯罪を裁かれた国、ドイツ連邦共和国は、日本よりかなり上位の8位である。この国が進めてきた歴史教育の誠実さを思うとき、なるほどドイツという国は報道においても日本より確かなものを築いているのだろうと考えさせられる。

 日本人の自身の歴史とむきあう際の不誠実さ、つまり事実を正確にとらえる力の不足は、この国の報道機関の弱さにその一因があると再認識させられる。そして本書には次のような文章がある。この指摘は、現在さかんに報道されているNHKの体質問題と根っこを同じにするものが、他の報道機関にもあることを言っているのではないか。

 「…常に権力の座から降りない自由民主党、そして経済界などが、主要なメディアのジャーナリストたちを自らのコントロール下に置いておくために記者クラブ制度を維持し続けてきたという事実があるのだ。外国人特派員やフリーランスのジャーナリストたち、それに欧州連合や報道の自由の擁護団体などからの度重なる批判にもかかわらず、日本政府と日本のメディアは、この古めかしいシステムについて、それをどのように変革するかといういかなる意思も示してこなかった。…」

 「…日本の最初の記者クラブ、すなわち太政官に作られた新聞社員溜所の歴史は1882年にまで遡る。それ以来、政権が替われども、いずれもが、一部のジャーナリストたちだけにアクセスが許されるこの記者クラブというものを厚遇してきたわけだ。…」

 大日本帝国下の19世紀から同じ制度の上にあぐらをかいている報道機関の、環境認識の貧弱さはどうであろうか。このような企業は、いずれ新たなる時代の動きのなかで淘汰されていくであろう。

 国境なき記者団は、1985年に言論・報道の自由を守るためにフランスで設立されて、世界中で弾圧されたり拘禁・殺害されたりされたジャーナリストたちを支援する活動をしてきた。本書は、その創設以来のメンバーのひとり、ロベール・メナール氏が、20年近い活動をふりかえってまとめたものである。
地球の「裏側」から日本のジャーナリズムを考える書 ロベール・メナール著『闘うジャーナリストたち』
『闘うジャーナリストたち〜国境なき記者団の挑戦〜』の表紙
ロベール=メナール・著 大岡優一郎・訳
岩波書店・刊 初版2004年10月6日 2600円
地球の「裏側」から日本のジャーナリズムを考える書 ロベール・メナール著『闘うジャーナリストたち』
著者のロベール・メナール氏(本書のカバー写真から)
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