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「建築確認」の解説で朝日新聞に重大な誤り
2006/06/09

 朝日新聞5月20日朝刊の「ニュースがわからん!建築確認って何するの?」に重大な誤りがあった。本山秀樹記者の署名記事だ。

 21日、広報部宛に誤りを指摘するメールを送り、念のため行政に確認することも勧めた。しかし、1週間経過しても訂正されないので、27日に再度強く申し入れた。その3日後、ようやく東京本社広報部の匿名氏から代筆とおぼしき返信メールがきた。

 記事は、ホー先生という人物の疑問に答える形式だ。質問は「耐震強度偽装事件で問題になった建築確認とは、いったい何のためにあるんじゃ?」というもの。問題なのは、次に記すその「答え」だ。

 「……主に木造3階建てや鉄筋コンクリート2階建てより大きいような家やビルを建てるときには、建築にとりかかる前に、建築確認を受けなければいけない。これは建築基準法で決まっているんだ。」

 この文章は、「2階建て以下の木造や、鉄筋コンクリートの平屋建ては、建築確認を受ける必要がない」とも読めるのではないだろうか。しかしそれは誤りだ。記者は、建築基準法を読み違えているようだ。

 正しくは、「(防火地域及び準防火地域の指定がされていない地域に10m2以内の増築等をする場合を除いて)ほとんどの建築は、基本的に建築確認を受けなければならない。」である。基本的、というのは極めて少ないが例外もあるからだ。

 したがって、「主に木造3階建てや鉄筋コンクリート2階建てより大きいような家やビル」ではなく、「ほとんど全ての建築」が正解なのだ。
 それなのに、回答のメールでは、[「主に」と記したうえで例示しているから「誤り」とは言えないと思う]と、支離滅裂な言い訳をしている。「主に」と記しているからこそ、なおさら誤りを『増幅している』のだ。しかも、3階建て以上の木造の建設戸数は数%にも満たないのだから、「主に」として例示することすら不適切だ。

 建築基準法第6条第1項には、
[建築主は、第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(括弧内略)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第4号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、<中略>確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。……]とある。記者はこの「第4号に掲げる建築物を建築しようとする場合」を読み落としているのだろう。

 第4号には、
[「前3号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域(括弧内略)若しくは準都市計画区域(括弧内略)若しくは景観法(括弧内略)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物]とある。

 この条文を判りやすく要約すれば、「(建築を建てようとするような所は、たいがい都市計画区域や準都市計画区域等の指定がされているので)防火地域や準防火地域の指定がない地域に10m2以内の建築をする場合を除いては、建築確認を受けなければならない。」となる。
 ちなみに、わが国の人口の9割以上は都市計画区域内に住んでいる。

 マンションの耐震偽装やホテルの違法改造など、建築確認制度をないがしろにする事件が露呈している。世間が注目している今だからこその記事だろう。それなのに誤った記事で読者をミスリードするのなら、むしろ書かない方がいい。
 突発のニュース報道なら、たまには誤報もやむを得まい(後で訂正するという条件付きだが)。しかし、この場合は準備して書かれた記事だ。そこで誤り、指摘されてもかたくなに訂正しないのは何故だろうか。

 情報過多の時代、メディアリテラシー(情報識別力)が叫ばれている。しかし、多くの人が「一流新聞」だと思っている新聞を、リテラシーのフィルターをかけて読まなければならないのだろうか。
 読売、毎日、産経など各紙はどのように誤報に対処しているのだろうか。

 自分の専門分野に関する記事で誤報が重なると(過去にも数回指摘しているが1度を除き無視された)、他分野の記事の信憑性も疑わしく思うものだ。だからこそ、1つひとつの誤報の処理には真摯な対応を望みたいのだが……。

 なお、この件については3度広報部宛メールを送り、「訂正しないのなら、今後の誤報記事については、(不毛なメールでの指摘をせず)いきなり公表する」旨、通告している。


参考サイト:
●人口19240人の岩手県雫石町の、シンプルな説明「建築確認とは」
●群馬県「建築確認とは」

(江口征男)

     ◇

法庫・建築基準法

朝日新聞の当該記事

















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[19795] TBS TV「噂の!東京マガジン」
名前:江口征男
日時:2006/07/02 14:14
 表記番組の『「これじゃうれないっ!」実は未登記だった我が家』の概要が下記で読めます。
http://www.tbs.co.jp/uwasa/20060625/genba.html

放送では事情を調べるため、建築トラブルに詳しい建築家の伊藤学さんが現地を訪れていましたが、
建物を見た時に「アレッ!この床下換気口、穴が開いてない」と言ってました。

当日のテーマが、「欠陥住宅」ではなかったので、それ以上には進みませんでしたが、
換気口のパンチングメタル(丸い穴が沢山あいているもの)の穴がコンクリートでふさがれていたようです。

画面では、一見しっかりとつくられている住宅のように見えましたが・・・。
[19643] 確かに
名前:江口征男
日時:2006/06/26 10:04
田中秀郎さま

 引用 [自分の専門関係は読まないほうがいいです(笑)]

 確かに(笑)そうですが、専門誌だけを読んでいると、専門馬鹿になり、社会との繋がりがなくなって、役に立つ専門家でいられなくなります。ツライところです。

 引用 [一方で意外と小さな新聞社のほうが、(別にネタをもってたり?) 正確なこともあり、おどろきます。]

 どのジャンルでも、組織の大小と質は必ずしも比例しませんね。当然ですが、個々人の資質次第ということでしょう。ただ、せっかくの個人の資質が組織を通して外にでると、ゆがんでしまうこともあるようです。
 大切なことは、誤りを認めて絶えず修正しようとする姿勢だと思います。

[19636] 自分の専門関係は読まないほうがいいです(笑)
名前:田中秀郎
日時:2006/06/25 18:18
江口様
私も過去、さまざまな記事で、誤りを見ています。
(私の場合は、戦史、航空機関連ですが)

記者の知識の広さと深さが足りないのかと思います。
もうちょい勉強してもらいたいですね。
一方で意外と小さな新聞社のほうが、(別にネタをもってたり?)
正確なこともあり、おどろきます。
(軍事ネタは、赤旗が結構いけてます(笑))
そこの社の取り組み、も大きいのでしょう。

特にどこぞの新聞じゃ「ジャーナリズム宣言」とかいう
広告をしているのですからそれなりに、、、。(爆)
それらしいことをしないとだめですね。
[19633] TBSテレビ「噂の!東京マガジン」(25日放送)で...
名前:江口征男
日時:2006/06/25 17:43
「建築確認」に関する話題が取り上げられました。

 東京に住む女性が、茨城県鉾田市に建てた別荘の話しです。地元の会社から土地を購入して、平成10年にその会社に工事も頼んだ。最近、事情により売却することになったので、不動産会社に打診した。ところが、「建築確認」を取っていない(違反建築)ので売却は不可能と断られたというものです。
 登記もされていなかったことが同時に判明したが、これは最近済ませることができたそうです。違反建築でも登記はできるというのは法の矛盾なのですが。

 建築確認を申請するのは建て主ですから、厳しく言えば自己責任です。とはいえ、普通は設計事務所か工務店が手続きを代行しますから、ほったらかした会社が一番悪いでしょう。
「建築確認や登記は建て主がするもの」という常識を持っていたら防げたことでしょうが。

 それだけに、朝日新聞の記事がミスリードすることで、このようなことが起きないようにと願わざるをえません。
[19231] そして、昨日も不正確な記事が・・・
名前:江口征男
日時:2006/06/12 09:40
 作11日の湘南版にも不正確(説明不足)な記事がありました。専門家ならおそらく誰でも感じるようなことです。

 こう続くと、身体に悪いので、建築関係の記事には目を通さない方が良さそうです(泣)。 
[19187] 説明がちょっと足りないので補足したい
名前:仲村あきら
日時:2006/06/10 19:39
@は100uを超えるもの
Aで木造と、Bで木造以外の建物として、紛らわしい規定があるので、朝日の記者はそれに引っかかったのだろう。
[19185] @からBに掲げる建物とある
名前:仲村あきら
日時:2006/06/10 19:33
朝日新聞の記者は、Bの建物に言及しただけである。
基本的には、床面積の合計が100uを超えるものは、工事着手前に、確認申請をしなければならないのだが、どうなっているのか。
こういう出鱈目な記事は、訂正が必要であろう。
間違いを素直に認める姿勢も、メディアには、大切である。