たとえば山口県で殺人事件がおきると、数時間後には北海道でも、多くの人々がその事件を知っている。地方でおきた刑事事件を、数時間後には全国の多くの人々が知っているというような状況は、先進国でもまれなのだという。
そのような世界的にも例を見ないマスメディア大国の日本で、JanJanのような市民参加型インターネット新聞には、どのような可能性があり課題があるのか、総参加者が600名を超えた
市民メディアサミット06 の、
先駆者が語る「市民記者・リポーターへの期待」セッション(10日午後)に参加してみた。
市民記者への期待をあつく語った竹内さん 終始、発言のたびに立ち上がる熱くて若々しい姿が印象的だった
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社会変革の原動力を期待する世古さん
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記事の独立性をまもるオーマイニュースの田中さん
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市民記者として、つづき交流ステーションだけでなく、JanJanやオーマイニュースでも活躍する岩室晶子さん 笑顔をたやさない好司会ぶりが良かった
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つづき交流ステーションの画面
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市民メディアサミットのJanJan展示ブース
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竹内さんの発表より
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竹内さんの発表より
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竹内さんの発表より
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市民記者への期待
JanJanを発行している日本インターネット新聞社・社長の竹内謙さんは、商業主義や記者クラブ制度の弊害などにより、マスメディアなどプロの記者の多くが「生活をしていない、伝聞で自らの体験がない、現場を知らない、地域に関心がない、専門性がない」などの問題を抱えていると指摘、いっぽうで市民記者は「暮らしがあり、生活などの現場をもち、地域に根ざした体験も豊富で、それぞれに専門性がある」(筆者要約)という強みを持っており、既存のマスメディアにはできない報道ができる、と市民記者への期待をあつく語った。
NPO・NGO、ボランティアの発信媒体としての市民メディア
長年、NPO・NGO、ボランティアといった市民セクターの振興にかかわり、メールマガジン
『NPO 協働e−NEWS』の発行にかかわってきたNPO研修・情報センター代表理事の世古一穂さんは、NPO・NGO、ボランティアの活動発信ツールとしての市民メディアに着目、社会変革の原動力となることを期待している。
JanJanの選挙サイトも、これまでのマスコミが行き届かなかった選挙情報を提供することによって、政治ひいては日本社会の変革を果たそうとしている。
会場からは、
indymedia日本版 の創刊報告などもあり、紙媒体、コミュニティ放送、自主製作/上映映画などにくわえて、いまやメールマガジンや各団体のホームページなどが、市民メディアとして大きな可能性をもっていることが確認された。
私見になるが、いまや膨大な数となった個人発信のブログや、情報の信頼性などに課題を抱えているといるとはいえ2ch(*)などの掲示板、ウィキペディアなどのインターネットメディアも、インターネット市民メディアの一翼をになっているのだろう。
(* 私の経験では2ch掲示板から、埼玉県新座市営温泉はなぜ閉所においこまれたか、などの他メディアでは得られない情報が入手できることもある)
アクセス数と独立性の問題
しかし、NPO・NGO、ボランティアのメールマガジンやホームページ、個人のブログといったインディペンデントインターネットメディアは、個々の発行数やアクセス数に伸び悩みがあると感じるのは筆者だけだろうか。ボランタリーに運営されているこれらの市民メディアに概して、私は資金力不足・アクセス少、内容が(悪い意味で)専門的という問題を感じている。
この日のセッションでは、竹内さんが「日本の市民は発進力が弱い。日本の教育は“よみ、かき、ソロバン”を伝統的に重視、富国強兵や高度経済成長には役立ったが、発信力の弱い市民をつくってしまっている」(筆者要約)などと、これまでは高く評価されてきた日本の教育制度の問題点などを課題にあげた。この言葉をうけて、うちわの言葉で構成されがちなのが、インディペンデント市民メディアの課題なのだろうと私は思った。
セッションには
OhmyNews 編集局から市民記者組織本部長の田中康文さんも参加、2000名にせまる勢いとなったオーマイニュース日本版の登録市民記者数や属性内訳(地域や年齢などの割合)などが報告された。
ソフトバンクからの投資を受け、広告収入を運営費としている点に世古さんは「市民メディアとしての独立性が保てるのか」と質問したが、田中さんは「孫さんが『権力や広告主からの独立は、編集局だけだなく市民記者も守るべき』と発言し、オさんと意気投合、日本版創刊につながった」と報告、オーマイニュースの独立性を強調した。
また、オーマイニュースのこれまでの画面では、携帯電話の広告を掲載しているのに電磁波問題に関する記事を掲載したり、飲料広告を掲載しているのにもかかわらずその健康問題を取り上げた記事を掲載する、といったように既存マスコミとは一線を画し、スポンサーの意向を過剰に配慮した編集などは避けているようだ。
そのあたりには私も、画面を見て新鮮さを感じている。
地域メディアとしての可能性
このセッションでは、
『横浜キョードー』、
『つづき交流ステーション』という、地域のNPOが発信力をたかめ地域社会の活性化に寄与した、横浜のふたつの市民メディアについての報告もなされた。
従来型の町内会活動などの活性や組織率が下がり、各地で地域社会の崩壊が深刻に懸念される昨今、地域活性化ツールとしてのインターネット市民メディアは、もっと活用されてよいのだろう。
とりわけ
『つづき交流ステーション』には、横浜市都筑区住民の「たのしいMYニュース」が満載で、地域外の私のような者でも読んでいて楽しい。
『横浜キョードー』『つづき交流ステーション』などは、インフラを市や区が提供しており、市民記者や編集の独立性や自主性、自発性が守られ、育成されるのであれば、自治体の市民メディアへのインフラ提供は、悪くないことだと私は思う。
たのしいあなたのニュースが未来をつくる
JanJan社長の竹内さんは、「多くの人につたえるべきことがニュース、それを発見すること、つたえることの楽しさをぜひ、多くの市民にみつけてほしい」「ニュースを見つけ、書き、発見する楽しさは釣りに似ている。知的なつりを楽しんで欲しい」などと市民記者への期待をあつく語った。
竹内さんがこの日、市民記者ならではのニュースとして絶賛したのが、
『設計者からの諌言「浜岡原発は制御不能になる」』だ。この記事では関係者が、中部電力浜岡原子力発電所の耐震問題について懸念を表明している。当事者ならではのすぐれたニュースだと私も思う。
また、私は最近、JanJanでは安住るりさんの
『国保料を二重払いしていた!わが家』記事 にも感銘をうけた。家計簿から政治や社会、経済の矛盾を指摘した記事で、官公庁プレスリリースに頼っているマスコミニュースではなかなかない情報だ。
セッションの司会をつとめた、つづき交流ステーション代表の岩室晶子さんは「たとえば、公園の樹を伐るといった情報がもっとはやくわかれば、市民には代替案を出せ、不毛な係争も防げるのかもしれません。そういった身の回りの情報を伝えることによって、よりよい社会をつくっていきたい」としめくくった。
私も、ニュースをみつける楽しさを知り、伝えることの長けた市民が増えることによって、この世界が少しでもよくなることを願ってやまない。
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