今日、午前11時前後、新聞各紙(Web)は一斉に、自民党新三役人事を報ずる記事を配信した。幹事長は中川秀直政調会長、政調会長、中川昭一農相、総務会長に丹羽雄哉元厚相が決まったというもの。
各紙朝刊では、幹事長の中川秀直政調会長はほぼ決まり、という報道だったが、他の2つの役員ポストについては、朝日新聞(政調会長は柳沢伯夫元金融担当相、総務会長は笹川尭総務会長代理、もしくは久間章生総務会長の留任など)、毎日新聞(柳沢伯夫党税制調査会長が政調会長候補)、産経新聞(予想なし)と、はっきりしたことはわかっていなかった。
そんな中で、午前10時過ぎに、共同通信(自民幹事長に中川秀直氏、中川昭・政調、丹羽・総務)、NHKがこの三役人事をまず報道。次いで、午前10時34分更新でロイターが【NHKや共同通信など国内の各メディアによると、自民党の安倍新総裁は25日、幹事長に中川秀直氏、政調会長に中川昭一農水相が就任する人事を決めた。総務会長には丹羽雄哉氏が決まったという】(自民党幹事長に中川秀直氏、政調会長に中川昭一氏=報道 )と報道した。
さて、問題は、朝日新聞(asahi.com)がこの後、午前10時54分に【東京 25日 ロイター】発として、同じ記事を配信したことである(記事はすでに更新され見られない。写真2掲載)。ある元政治部記者はこう話す。
「この記事をみてハッとした。朝日の政治部とあろうものが、ロイターのニュースをそのまま使ったわけですからね。これは何らかの事情で朝日だけが取材できていないのではないかと勘ぐってしまうわけでね」
何らかの事情とは、いわずもがな。自民党議員がNHKの番組「戦争をどう裁くか(2)問われる戦時性暴力」(2001年1月30日)に政治介入したのではないかという朝日新聞の報道(2005年1月12日)により、自民党議員を巻き込んで、NHKと朝日新聞が対立関係になった、ことを指す。自民党議員とは安倍晋三幹事長代理、中川昭一経済産業相だった。
共同通信(Web)はこう書いている。
「中川昭一氏は伊吹派に所属。超党派の国会議員でつくる拉致救出議連の会長を務めたほか、1997年に安倍氏らと『日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会』を結成。従軍慰安婦問題に関する歴史教科書の記述を強く批判するなど、安倍氏と同様の考えを持っており、政策面で連携を強化する狙いがありそうだ」
この安倍総裁、中川昭一政調会長のタッグで朝日新聞の報道は果たしてどうなっていくのか。今回のロイター電の背景を朝日新聞広報部に聞いてみた。お答えいただいたのは広報部のマスコミ対応のH部長代理である。
●ロイター電を使ったのはなぜですか?
「アサヒ・コムの場合、通信社電でそのまま乗せることもありますし、うちの編集局が取材をしたものをアサヒ・コムにUPする場合もありますし、いろいろです。通信社電の場合は明記します」
●NHK問題が影響して取材環境が厳しいのでは?
「そういう推量をされているんだろうと思いますが、基本的に政治部が取材をしていて、新聞のタイミングに合わせて原稿を出して、アサヒ・コムには政治部が取材しているニュースがリアルタイムで伝わっているケースもありますし、そうでないケースなどいろいろ。取材の経緯については社内問題なので説明しかねます」
朝日新聞政治部と安倍政権、いったいどうなることやら。
ちなみにブログでは新三役をどう評価?
「気まぐれ日記さん」は、新聞の予想は落第、と指摘。この内閣はメディア対策に相当、力を入れるのではないか。
「自民党三役人事と小沢代表」の見出しでこう書く。「自民党の三役が決まった。幹事長の中川秀直氏は下馬評通りだが、総務会長は丹羽雄哉氏、政調会長は中川昭一氏はサプライズではないが、ちょっと意外だった。津島派からの三役入りはなくなった。新聞の予想報道(通称新聞辞令)は落第ですね。政調会長が中川氏になったので、今までの政調会長で今度幹事長になった中川秀直氏と間違いやすいですね」
「ありのままの現実さん」は、「W中川時代到来?−自民党三役決定」の中で、3人が3人ともいわく付きと書く。これは大変な内閣になるのではないか。冷汗が出てくる。
「山荘に籠もって『一人で決めた』三役は!?秀直さんは前政調会長でふとっちょの方ですね。森内閣では官房長官を務めて、愛人スキャンダルで沈んだのが印象的です。政策は小さな政府で緊縮財政派ですね。政治的実力も高く、財務省と渡り合える政策通です。昭一さんは、お父さんの地盤を鈴木宗男さんと奪い合った人ですね。政治的な実績としては、NHKが慰安婦がらみの『国際法廷』ドキュメンタリーを放映したときに、内容の変更を指示したとかしなかったとか……あ、政界ではイケメンということになっています。
今後は、イケメンの方とでも……えっ!イケメン!?ま、この二人は森さんのお友達ですね。タカです!ええ、タカですとも!で、丹羽さんは毛色が違って、宏池会系の厚生族、政策は「国民健康保険民営化ハンターイ」です。政治的な手柄は、加藤の乱の際に土壇場で加藤さんを裏切って、森さんを助けたことですね。なんか全員、森さんの意向が強く働いているような……」
「無手勝流社会観察日記さん」は、「三役については、安倍総裁誕生に一役買ったらしい連中への、言うなれば御褒美みたいな人事らしい」と主張。「要するに『論功行賞』というやつのようだ。ちなみに、二階の国対委員長起用は、民主党、特に小沢対策らしい。で、率直な感想を述べると、重みがあまり感じられない人事に見えて仕方がない。両中川は特にそう思えてしまう……ともかく、今回決まった自由民主党の三役らを見る限り、うまくは言えないのだが、妙な軽さを覚えずにはいられない。果たして、これが挙党態勢を築くのにどれだけ働けるのか、少し疑問を覚えたくなる。
「転落さん」は、中川幹事長について言及。「中川新幹事長は安倍氏と同じ森派出身で、小泉総裁時代から政策を共通しており、安倍氏とも政策で共通するところが多い。幅広い人脈で挙党態勢の構築にも期待できる。選挙対策でも国会対策でも実績がある。など、能力については申し分ないと思います。ただ、スキャンダルで閣僚辞任の経験があるほか、人権擁護法案推進派であることなど、多少気にかかるところはあります」
(川口雅春)
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25日朝刊は中川(秀)幹事長の話題がもっぱらだったが……。
asahi.comがロイター電で報じた自民新三役記事
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