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文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(10)こんなにある「だまし」のテクニック

松田まゆみ2007/01/18
いつの日か自著を世に送りたい、という夢を食い物にする悪徳業者がいる。あろうことかマスコミが片棒を担いで宣伝している。彼らの「だましのテクニック」はいろいろある。知らなければ、簡単にひねられてしまう。いつかは本を出したいという方に、経験者が、その憎らしい手口を明かそう。
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 1月15日に掲載された、三浦ヒロシさんの「『新風舎』にだまされた 自費出版の巧妙手口」という記事は、原稿を持ち込んだ著者がどのようにして騙されてしまったかが、実にリアルに書かれており、被害者の怒りや切実な気持ちが伝わってきます。

 こうした商法については、「きちんと契約書を交わしているから詐欺とはいえない」、「本は出版されるのだから詐欺ではない」という意見もあります。詐欺とは人を錯誤させて不当な利益を得る行為です。嘘の説明をして契約させておきながら「契約書に書いていない」と主張し、実際の制作費とはかけ離れた法外な負担金を請求することが詐欺ではない、といえるでしょうか?

 キャッチセールスの潜入取材を行っている多田文明氏は、『なぜ、詐欺師の話に耳を傾けてしまうのか?』(彩図社刊)という本で、詐欺師の巧妙な手口を明らかにしています。この本に書かれている「騙すための巧妙な手口」のいくつかが、協力・共同出版の場合にもあてはまることを紹介します。

1.褒めておだてて勧誘
 詐欺師たちは相手の心をほぐして喜ばせ「自分のことを分かってくれている」と思わせ、信頼を得るようにする手口を使うことがあります。褒めて相手を有頂天にすることで、相手の心を自分の手元に引き寄せるのです。

 協力・共同出版ではどうでしょうか。応募原稿のなかの、本当に優れた作品だけを褒めるのであれば分かります。ところが,ほぼすべての作品を褒めるのですから、契約させることを目的として褒めていることは間違いありません。著者は応募者全員に同じことを言っているとは知りませんから、自分だけへの褒め言葉と信じ込んでしまうのです。

2.有名人を広告塔にする
 悪徳団体は信頼性を高めるために、著名人や大学教授、政治家などを利用するそうです。たとえば、会合や研究会に著名人を招待して挨拶してもらい、団体の代表者と握手している写真を撮って、勧誘に利用するという手口です。

 新風舎の場合、エッセイストである井狩春男氏が出版賞の審査委員長を務め、共同出版を推奨する本も書いています。詩人の谷川俊太郎氏、写真家の荒木経惟氏、ジャーナリストの江川紹子氏などの本を出版し、新聞広告で宣伝しています。文芸社では「人生いろいろ賞」の特別選考委員を島倉千代子氏に依頼し、新聞広告に掲載しているほか、思想家の吉本隆明氏や作家の西村京太郎氏などの本を出版しています.

 そのほかに大学教授や弁護士、医師など識者といわれる方も、協力・共同出版をしている出版社から本を出版しています。このような人たちの本を出している出版社なら、だれもが安心だと思うでしょう。著名人たちは知らないうちに「広告塔」にされてしまっているケースがあるのです。

3.打算を利用
 詐欺師は「こんなに儲かる話しがありますよ」などといって、話しをもちかけます。協力・共同出版の場合は「無料で本が出せるチャンスがある」、「作家の第一歩」、「ベストセラーになれば、元がとれる」、「テレビドラマ化されるチャンスがある」、「全国800店の協力書店のどこにでも本が並ぶ」などと、希望的観測を謳って勧誘することがこれに該当するでしょう。もちろん、このような可能性があることは事実ですが、その具体的事例などを明らかにせず、過剰な期待を抱かせるのです。

 筆者の場合は、文芸社から「まず5000部(3刷)を目標にすすめていきたい」、「逆に5000をクリアーできなければ担当者の責任となります」というメールでの勧誘がありました。良心的な出版社であれば過剰な期待はさせず、どのような販売体制をとっているのか、実績も含めて丁寧な説明があるでしょう。

 筆者は、文芸社の書店陳列が1ヵ月だけであることを、契約後にトラブルとなって初めて知らされました。協力出版の増刷率も質問し、10%弱であるとの回答を得ましたが、この数字が事実であるかどうかも確認できませんでした。また文芸社が書店の棚を買い取り、売れ残った本を買い上げていることは解約したあとで知りました。こうしたことを事前に知っていたら、私は契約しなかったでしょう。

4.サービスして断りにくくする
 契約の前にサービスをして感謝の気持ちを抱かせる方法で「負い目」を持たせると、相手(被害者)は断わりにくくなります。例えば、あなたが出版社の賞に応募し、無料出版には選ばれなかったものの入賞して賞金や賞品をもらったら、共同出版の誘いを断わりにくくなるでしょう。応募者全員にプレゼント、などというのも同様の手口です。

5.プライドに付け込んで、騙しの発覚を抑える
 多田氏は、男性の方が女性よりプライドが高いために、絵や宝石を買わされる被害にあっても名乗り出ない人が多いことを指摘しています。プライドにつけこむことで、悪質商法は発覚しにくくなるわけです。

 協力・共同出版の場合も同じようなことがいえます。本を出版した人は、知人や友人に本を配ったり、買ってもらったりします。ブログで本を紹介したり、新聞に紹介記事を掲載してもらうことも少なくありません。あとで騙されたことに気づいても,それを公言したくないのは当然の心理です。契約のときの褒め言葉も否定したくないのが心情でしょう。

 ネット上でも被害者の声が多数挙がっていますが、ほとんどが匿名です。万単位の人が被害にあっていると思われますが、実名で告発する人がほとんどおらず、社会問題化しないのは著者のプライドによるところが大きいのでしょう。弁護士などが被害者の代弁者とならなければ、名乗り出る人は少ないのではないでしょうか。

 もしあなたが本を出版し、多くの人に読んでもらいたいと思ったら、良心的な出版社を選べる自信がありますか? 出版社があなたの作品を褒め、価値を認めてくれたら、どんな気持ちになるでしょうか? 大きな新聞広告でジャーナリストや著名人などの本の宣伝をしている出版社に疑いの目を持てますか? 悪質商法に詳しく、詐欺師のテクニックを紹介している多田氏ですら、共同出版で騙された経験があるのです!

 苦労して蓄えた貯金、虎の子の貯え、ローンの返済などと引き換えに得た夢の実体が、わずかな贈呈本やスズメの涙ほどの印税でしかなかったら、どんな気持ちになるか想像してみてください。著書を世に出すという夢を悪夢に変えられ、告発もままならない商法を、あろうことかマスコミが片棒を担いで宣伝しています。マスコミの責任が限りなく重いことを指摘します。


前回の記事:文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(9)明らかになりつつある新風舎の実態(松田まゆみ)
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(10)こんなにある「だまし」のテクニック
 キャッチセールス評論家,多田文明氏の著書に書かれている詐欺の手口は,協力・共同出版でも使われている.

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文芸社出版の本を買って中のアンケートに答えて「出版に興味がありますか?」とのことだったので「はい」に○をして自分のブログのアドレスを書いて送りました。
後日、TELがあり読者獲得の価値があると作品講評を送ってきました。
現在見積書を送っていただいていますが、べらぼうな金額に少し驚いています。確かにページ数が多いのですが、一つの作品に仕上げる為にこれだけ費用がかかるものなのか?と。
これではまるで自費出版と代わりません。どう考えても「原価割れ」していて万が一印税入ったとしても利益は4版印刷しても見込めません。
「本を出す」ということはもっと崇高なものだと考えていた私が甘いのでしょうか?
ネットで検索すると詐欺や訴訟のことがあって驚いています。
もちろんそのべらぼうな金額は出せないので丁重にお断りしようと思っています。


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