雑誌『サイゾー』に掲載されたコメントが名誉毀損にあたるとして、音楽情報を提供する『オリコン』が、インタビューに答えた一介のフリージャーナリストに5000万円の損害賠償を求めた裁判の第1回目の口頭弁論が13日、開かれる。訴えられたフリージャーナリストの烏賀陽弘道氏が7日、東京・有楽町の「日本外国特派員協会」で記者会見を行った。
訴状によると被告の烏賀陽氏は、月刊誌『サイゾー』(2006年4月号)に「『オリコンの数字はある程度操作が可能だ』というレコード会社員の話を複数聞いたことがあります」「そもそもオリコンは統計方法を明らかにしていない」などのコメントを寄せた。
原告のオリコンは、事実無根で名誉・信用を著しく毀損された、としている。
烏賀陽氏のコメントが掲載されたのは「ジャニーズはVIP待遇!?事務所とオリコンの蜜月関係」と題する記事(月刊誌『サイゾー』2006年4月号)だ。烏賀陽氏によるとサイゾー編集部の電話インタビューに答えたもので、わずか20行、字数にして300字余りに過ぎない。
被告代理人の三上理弁護士は「名誉毀損の対象は出版社だけ、あるいは出版社と記者というのが普通。今回のように雑誌のインタビューにコメントした記者だけが対象になったのは、これまでに例がない」「明らかにSLAPP(訴訟権の濫用=高額の損害賠償で批判を封じる恫喝訴訟を意味する)としか考えられない」と話す。
「大手メディアはコンタクトしてこない」
記者会見には50人余りの記者・カメラマンが出席したが、大半は海外のジャーナリストだった。日本の大手メディアにとって「ジャニーズ」は最大級のタブーだが、異国のジャーナリストには奇異に写るようだ。「ジャニーズ」と日本のメディアとの関係を問う質問が際立っていた。
記者会見に同席した『サイゾー』の揖斐憲編集長はジャニーズ事務所の巧妙な出版社対策を明らかにした。「10グループほどあるジャニーズのカレンダーを出版社におろす(※)のだが、意向に沿わない記事を載せた出版社からはカレンダーを引き揚げる。本が売れなくなっている今、カレンダーがなくなると出版社には痛手となる」。
※制作する権利を与えるという意味(編集部注)
烏賀陽氏も「主要テレビ局はじめ大手メディアは私にコンタクトしてこない」とジャニーズに頭が上がらない日本の大マスコミの現状を嘆いた。
烏賀陽氏は記者会見で「CDの売り上げを計測するにはPOSシステムだけで統計を取る『サウンド・スキャン』と『オリコン』があるが、『ジャニーズ』を比べた場合『オリコン』だけ数字が多い」と言い切った。
『オリコン』の広報担当は筆者の電話取材に「烏賀陽氏のコメント部分について問題があった」と話す。また「論点を明瞭にするため『サイゾー』を発行している株式会社『インフォバーン』は訴外とした」とする趣旨のプレスリリースを発表している。
烏賀陽氏が果たして「ジャニーズ」という虎の尾を踏んだため訴えられたのかは、永遠に藪の中だ。
(竹谷昇)
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