19日 午後の都内での新風舎会見の様子(撮影 小池正春
記者)。いちばん右が川島英明保全管理人。
新風舎は民事再生の手続きを行っていましたが、支援を表明していた印刷会社の帆風が支援を断念したことによって1月18日に東京地裁から民事再生手続きの廃止決定を受け、破産手続きに入ることになりました。
19日には保全管理人である川島英明弁護士(近く破産管財人に)によって記者会見が開かれ、制作途上の著者が約1000人おり、負担金(前受け金)として約10億円が支払われていることが明らかにされました。平均で一人当たり100万円を支払っていることになります。
また川島弁護士は、21日に新風舎のホームページ上で「
お知らせ」を公表しました。
新風舎の著者には、民事再生に向けて1月末日を期限として定価の40%で買い取ってほしいとの文書が送付されていますが、川島弁護士による「お知らせ」ではその期限が2月末日に延長され、買い取り価格も20%へと下方修正されました。また制作途中の著者に対して本が完成することを前提として残金の支払の確認を求めています。
著者に損害を与えないために事業の譲渡を模索しているようですが、厳しい批判を浴び、帆風が支援を打ち切った現状から考えると事業譲渡は極めて困難だと考えられます。
新風舎は、著者と新風舎で費用を分担(著者の負担分は制作費)することを謳っていました。著者が負担すべき費用は書籍の制作費だけでよいはずですが、実際には制作費をはるかに上回る費用を負担しています。制作途上の著者の多くは、すでに制作費として十分な費用を支払っています。このような詐欺的請求に目を向けるなら、被害者である著者に対しこれ以上の負担を強いるべきではありません。
契約の前提である流通もほぼ絶たれ、断裁を目前にしているのであれば、在庫書籍は希望する著者に無償で引き渡すべきでしょう。
さらなる被害の増大を防ぐために「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、22日に保全管理人である川島弁護士に、著者への保護措置をとるよう要望書を送付しました。
新風舎から本を出版された方々、また一部あるいは全ての費用を支払っていながら本が完成していない著者の方たちは慎重な判断をし、川島英明弁護士(101-0062千代田区神田駿河台3−3 お茶の水伊藤ビル3階 川島法律事務所)に意思表示をすべきと考えます。
以下に要望書全文を掲載します。
◇ ◇ ◇
2008年1月22日
新風舎破産管財人弁護士
川島英明 様
共同出版・自費出版の被害をなくす会
代表 松田まゆみ
新風舎の著者への保護措置に関する要望書
私たち「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、書店販売を掲げた共同出版などと称する商行為による被害をなくすことを目的に活動しているNGOです。
このたび株式会社新風舎が破産手続きに入り、貴殿が破産管財人となるとの報道がありました。
新風舎が破産した場合は、制作途中の著者に大きな被害が生じるとともに、倉庫に保管されている在庫書籍が断裁処分される可能性が高いと思われます。
新風舎は、費用の分担を謳いながら実際には会社の利益まで上乗せした費用を請求して著者を顧客にするという、詐欺的な商法を続けてきました。契約上は著者と出版社の双方が費用分担する条件での商業出版といえますが、その実態は全ての費用とリスクを著者が負担する自費出版と変わらないものです。契約内容と実態が異なる矛盾した商法です。
大きな新聞広告と数々のコンテストで作品を募集し、著者を錯誤させる勧誘手法は数々の批判を浴びてきましたが、新風舎は批判を省みることなく事業規模を拡大し、自転車操業に陥りました。このような放漫経営を続けたことが破産の原因といえます。
錯誤させられて契約した著者は、金銭的被害のみならず、精神的な苦痛を受けています。
このようなことを鑑み、当会は破産管財人である貴殿に以下の要望をいたします。
1.制作途中の著者への扱いに対する要望
制作途中の著者の中にはすでに十分な制作費用を支払っている方が多数います。このまま破産した場合、支払い済みの費用は戻らず、引渡し分の書籍の入手や販売予定の書籍の流通も実現できなくなります。したがって、著者にこれ以上の残金の支払を求めず、希望する著者には入稿した原稿や編集済みあるいは編集途中のデータなどを無償で引き渡すことを求めます。
2.在庫書籍の扱いに対する要望
倉庫にある在庫書籍は、著者が約束以上の多額の費用を支払って制作された出版物で、著者にとっては大切な本です。しかし破産確定によって断裁処分される可能性が高くなりました。
著者には1月末を期限に定価の40%の価格で買い取りを求める文書が送付され、21日には新風舎のホームページ上で2月末を期限として20%へと修正された価格が提示されました。しかし、販売が不可能といえる状況下で費用負担を求めるのは非常識です。
著者は新風舎の不当な請求により会社の利益を含む多額の費用を支払っていること、引き取りを希望している著者がいること、断裁に費用がかかること、書店流通の可能性が絶たれ契約が不履行になっていること、破産は新風舎の詐欺的商法と放漫な経営によってもたらされたこと、著者に精神的苦痛を与えたことなどから、希望する著者には在庫書籍を無償で引き渡すことを求めます。
なお、本要望書は当会のサイト
http://nakusukai.exblog.jp/に掲載いたしますことを申し添えます。
◇ ◇ ◇
※筆者注 1月22日、新風舎(HP)より
質問に対するご回答がアップされました。
当会の要望書を受けて、支払について問い合わせたり、無料引渡しを要請している著者も多いものと思われます。所有権が新風舎にあることを強調していますが(それは事実ですが)、断裁処分が待ち受けているのであれば定価の20%でも高いと思います。
※編集部注 新風舎で出版した著者の間で深刻な悩みがもちあがっているようです。共同出版をローンで契約した方で、まだ、50万円ほど残金があるそうです。400冊ほどの本が新風舎の倉庫に眠っており、これを買い取るよう促されているわけですが、手持ちのお金がありません。キャッシングでお金を用意するしかないけれども、そんな恐ろしい決断をしたくない。ローンの引き落としを待ってもらうことはできないか、というものです。
特集 共同出版・協力出版・自費出版問題