控訴審判決の不当性を訴える増田都子さん
目次
P1.控訴審の判決は1審の判決を覆し、原告側の全面敗訴
P2.
不当判決 国民的議論を
P3.
東京地裁で免職処分取消訴訟を係属中
控訴審の判決は1審の判決を覆し、原告側の全面敗訴
元教諭が、3都議(土屋たかゆき都議、古賀俊昭都議、田代ひろし都議)と展転社を名誉毀損などで訴えた裁判の控訴審判決が、17日午後、東京地裁でありました。
この裁判は、土屋都議ら3都議が出版した「こんな偏向教師を許せるか」(展転社)という本の中に、増田都子さん(元東京都足立第16中教諭)の名誉を傷つけ、プライバシーを侵害する内容の記述があったとして、増田さんが訴えている裁判です。
1審の東京地裁は、増田さんが問題とした27点の記述の中で、土屋都議らが増田さんを「洗脳教育をしている」「アジテーターだ」「教師失格者だ」などと書いている13点について名誉毀損とプライバシーの侵害に当たるとして、3都議らに対し、損害賠償の支払いを命ずる判決を下しました。
この裁判に対する人々の関心は高く、毎回、多数の傍聴希望者がいて抽選になるようですが、今回も控訴審の判決が出るとあって、多数の人たちが整理券交付場所に並んでいました。傍聴券42枚に対し、107名の傍聴希望者がいたため、パソコンによる抽選となりました。整理券を手にしながら列に並んでいた筆者の後ろで、男性たちが話している声が聞こえてきました。
「今日、西村は来ていない」「ほかの所に行っているらしい」「じゃ、そっちはうるさいぞ」と笑いながら話し合っている男性たちを見ながら、この裁判の支援者からもらったチラシを再度読み返してみました。1審で敗訴しているため、3都議は彼らの「仲間」を集め、裁判所の前で大騒ぎをするそうです。その代表者らしき人物が、件の西村某氏だと書いてあります。男性たちの話では、西村某氏は今日はほかの場所で「活動」をしているので、いつもと違い、裁判所の前が静かなのだそうです。
ちなみにこの西村某氏は、神奈川県で松井やよりさんを囲む女性の集会で、大声で怒鳴りつけたり、発言者に向かって飲料缶を投げつけるなどの脅迫・暴行によって集会を中止に追い込み、逮捕されて執行猶予5年付きの懲役刑が確定しているそうです。最近では、つくばみらい市の平川和子さんのDV講演会を中止に追い込んだとのことでした。
パソコンによる抽選の結果、残念ながら筆者は抽選に漏れてしまったのですが、増田さんや支援者の方々のご厚意で裁判を傍聴することができました。
大谷禎男裁判長に対し、抗議のシュプレヒコールをする支援者のみなさんたち
511号法廷に入ると、抽選に当たった人たちが傍聴席に座っていました。原告席には増田さんと代理人の和久田修弁護士が座り、被告席には土屋たかゆき都議、古賀俊昭都議、田代ひろし都議と、代理人2名が座っていました。増田さんは赤いワンピースに真珠のネックレスをして、毅然とした様子で原告席に座っています。
3都議はなぜかリラックスした雰囲気でにこやかに談笑していました。1審で敗訴したので2審は心情的に笑っているような状況ではないのではないか、との感想を持ちました。あえて余裕のあるところを見せようとしているのかもしれない、とも思いましたが、筆者の印象では、3都議らはいずれも屈託のない表情で談笑しているように見えました。
この3都議は、「ここから裁判」(七生養護学校の性教育「こころとからだの学習」を破壊したとして、3都議らに対し、同校の元教職員と父母が訴えた裁判)の被告たちでもあります。この裁判を傍聴したことのある筆者は、被告に対する証人尋問のとき、土屋都議が原告弁護団の質問にブチ切れ、突然、法廷に響き渡るような大声で弁護団を恫喝したときのことを思い出しながら、あのときとは別人のようにリラックスした雰囲気で被告席に座っている姿や、その後ろに座っている古賀都議と田代都議を眺めていました。開廷の時間になり、大谷禎男裁判長ほか2名の裁判官が入廷し、判決の言渡しがありました。
主文
1 原判決中1審被告ら敗訴部分を取り消す。
2 上記取消部分に係る1審原告の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審とも1審原告の負担とする。
大谷裁判長はほとんど表情を変えることもなく、主文のみを言渡し、ほかの2名の裁判官とともに退廷しました。その背中に投げつけるように、「最低!」「何よ、これ!?」「不当判決!」といった抗議と非難の声が傍聴席から上がりました。土屋都議が満面に笑みを浮かべながら、「増田さん。おめでとう」と増田さんに声をかけています。皮肉たっぷりの口調に増田さんもすかさず何か言い返していました。
裁判が終わったとはいえ、厳粛な場であるはずの法廷で、いかにも勝ち誇ったような表情で相手をからかうような言い方をする土屋都議の態度に驚き、これが都議という立場にいる人のとるべき態度だろうか、と思い、唖然となっていた筆者は、次に土屋都議がどんな言葉を発するのか、そのことに注意がいっていたので、増田さんがどのような言葉で応じたのか、書きとめることに思いがいたりませんでした。
土屋都議は、「お互い、長生きできるよ」と言い、挑発するように「上告しなさいよ」と言いました。増田さんも土屋都議の揶揄に対し、負けてはいないで、堂々とやり返していましたが、その心中を察すると、土屋都議の態度はあまりにも情けないというか、心無い態度であるように思われました。
判決の前、増田さんは、かりに1審の判決と同じような判断が高裁で示されなかったとしても、1審で認定された13点にも及ぶ名誉毀損とプライバシーの侵害が全部が斥けられるはずはない、と話していました。そのような思いを抱いていた増田さんにとって、控訴審判決は予想もしない「不当判決」であり、ショックも大きいと思われました。
その増田さんに対し、嘲笑い、さらに追い討ちをかけるような発言をする土屋都議の姿に、10年の長きに渡って増田さんに対して行ってきたといわれる3都議の誹謗・中傷の内容がどのようなものであったのか、想像できるような気がしました。
裁判のあと、裁判所の前で抗議行動をしていた国労の人たちや通行人の人たちに対し、増田さんと和久田弁護士らが控訴審判決の不当性を訴えました。次いで、支援者や国労のみなさんと一緒に、東京高裁の大谷禎男裁判長らに対する抗議のシュプレヒコールを行いました。