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ドイツマスコミスキャン〜シュタイフ社の決断(上)

竹森健夫2008/07/07
テディーベアなど動物ぬいぐるみの老舗、ドイツのシュタイフ社。1880年創業というブランド力で、かなり「お高い」価格の商品を販売してきた。しかし、世界中で経済成長が鈍化し、それにつれて売り上げの落ち込みも激しくなった。そこで老舗が打った対策は――。
ドイツ マスコミ NA_テーマ2
 ぬいぐるみのブランドに「シュタイフ(Steiff)」というのがある。マルガレーテ・シュタイフ社が製造・販売しているぬいぐるみのブランドで、世界的にも有名だ。同社はドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州の小さな町ギンゲン(Giengen an der Brenz)に本社をかまえる企業だが、製品は日本でも売られているから、その気になればだれでも買うこともできる。

 ただ、この「その気になる」のが、実はなかなかたいへん。どうしてかというと、シュタイフのぬいぐるみは値段がとにかく高いからである。たとえばこちら( シュタイフ公式サイト)。これくらいのお金ならたいしたことないと思えるとか、ぬいぐるみの収集に命をかけているとかいうのなら別だが、普通の人だとちょっと躊躇してしまう値段だろう。

 しかし、それでもそこそこ売れているらしい。ブランドの力というのは、やはりあなどれないということか。

 このブランド力を支えているのは、ひとえにシュタイフ社の「老舗性」である。シュタイフ社の歴史は1880年にまでさかのぼる。最初はフェルト製品全般を扱っていたが、そのうちぬいぐるみも作るようになり、1902年にクマのぬいぐるみの試作品を完成。これが世界でいちばん最初につくられたテディーベアだと言われている。元祖というのは老舗に必要な属性だ。

 また、ただ古いだけではなく、昔から一貫して、ぬいぐるみの耳に金属のボタンで小さな旗をとめ、胸に独自のプレートをつけるなどして、製品のスタイルを守り続けている。こうした保守性も老舗には欠かせないだろう。

 そしてさらに値段を下げないというのも大切。品質が良いのだから高くてあたりまえという姿勢は、ブランドの維持に不可欠であり、安売りなんかしたらありがたみがなくなってしまう。よって老舗は高くなければならない。

 もっとも、ひと昔前だったら高くても買う人だけを相手にしていれば商売になったのかもしれないが、経済成長が鈍化し、それでいて諸式がどんどん高くなる昨今では、さすがにのんびり構えてもいられなくなった。売り上げが落ち込み、経営が厳しくなってくる。

 そこでシュタイフ社がとった打開策は――元祖ブランドのぬいぐるみは値下げできないので――新しい「お求めやすい価格」のブランドを作ることだった。ただし人件費の高いドイツ国内ではそうしたブランドの生産は無理。どこか安く作れるところはないか。

 シュタイフ社が目をつけたのは中国である。中国の労働者はドイツの水準よりはるかに低い賃金で働いてくれる。中国で作って、船でドイツへ運び、こちらで耳にボタンと旗をつければ「お求めやすい」商品を提供することができるだろう。

 新ブランド『Cosy Friends』の発売というこの戦略は一応の成功を収める。老舗といっても、安ければやはりそれなりにひとは買うのである。さらに例の白くまクヌートがこれを後押しした。

 クヌートのぬいぐるみ化権を取得したシュタイフ社はこれを中国で生産し、ドイツ国内で19.95ユーロ(3,340円)という破格の安値で販売する。3,000円以上もするのって安いのかという気もするが、シュタイフの「クラシック」が安くても1万円はくだらないことを考えると、これはまちがいなく安い。2、3か月の間に実に8万個以上が売れたという。

 しかし、中国での生産にはそれなりのリスクが伴う。良いことばかり続くとは限らない。そして、それを示すかのように、先週の水曜(7月2日)、シュタイフ社がひとつの決断を発表した。中国での生産を取り止めるというのである。

(つづく)

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【補足】

(1)現在日本で入手可能なクヌートのぬいぐるみはもうちょっと高くて、いちばん安いもの(16cm)でも5,040円。いちばん高いのは3万9,900円(90cm)。

(2)シュタイフ社のぬいぐるみは高いだけあって、作りは丁寧。でも日本人からみるとあまり「かわいい」という感じではない。日本人とドイツ人で、かわいらしさの感覚がちがうのだろう。サッカーW杯ドイツ大会のマスコットにゴレオくんというのがいたが、これもかわいらしさとは別の次元で勝負しているようだった。

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[35751] 諸式?
名前:別府有光
日時:2008/07/14 20:49
諸式は諸色にして欲しかった。
『西洋事情』に諸色高値難渋難渋(しょしきこうじきなんじゅうなんじゅう)とあったように思う。
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