国会図書館による閲覧禁止の取り消しをもとめて国を提訴するジャーナリストの斎藤貴男氏(写真は4月10日、筆者撮影)
米軍兵士による犯罪事件について、裁判権を事実上放棄することを指示した通達が掲載された国会図書館所蔵の法務省資料が、国の要請を受けて閲覧禁止にされていた問題で、知る権利が侵害されているとして処分の取り消しを求め、ジャーナリストの斎藤貴男氏が国を提訴する考えであることがわかった。斎藤氏と代理人が21日明らかにした。
問題の資料は1972年3月に法務省刑事局が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係資料」。
国会図書館は18年前の1990年に古書店から購入したが、今年5月になって政府機関から書面を通じて利用制限する旨の要請があった。
同図書館が館内職員に説明用として配布したとされる資料によれば、6月、同図書館は部局長で構成される委員会をひらいて政府からの要請を審議。
その結果、人権侵害などのおそれがある資料を館長が利用制限できる利用規則にしたがい、資料の利用禁止と、資料検索システム内の書誌データも非公開とすることを決定した。
21日正午、斎藤氏は取材のため国会図書館を訪れ、問題の資料の閲覧をもとめたが受け入れられなかったという。「なぜ貸せないのか言えないし、(国会図書館としてのコメントは)新聞を見てくれという話だった」「(利用規則の)人権侵害などという部分を拡大解釈しているのではないか」。
斎藤氏の代理人である日隅一雄弁護士(東京共同法律事務所)によると、提訴の具体的な日時は準備のため未定だが数ヶ月以内には協力者を募り、東京地方裁判所に訴え出る考えだという。「大きな規模の訴訟になる可能性がある」と話している。