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メディアの報道というものは、ときに冷静さも客観性も失い、オーバーなセンセーショナリズムに走るきらいがある。良きにつけ悪しきにつけ、売ってなんぼの性(さが)でもあるから、仕方ない面もあるけれど。 まあそれでも、「良きにつけ」をお祭り報道、ヨイショ報道するのはまだ他愛もない。問題は「悪しきにつけ」を煽(あお)る不安増殖報道の方だ。 米下院が、金融安定化法案を否決したことを受け、ニューヨークダウは、空前の大暴落に見舞われ、続いて東証平均株価も年初来最安値を付け、世界中にパニックが走った。これ自体は大変な出来事であり、悪しきことには違いない。しかし、それを報道するにあたっては、より冷静な視点に立って、より正確に報じてもらいたいものである。 10月1日付産経新聞(大阪14版)は、経済欄に「米津波 日本のむ」と題した大きな関連記事を載せた。が、この同じ記事の中でも、明らかに矛盾することを堂々と書いている。 曰く「為替も対ドル、対ユーロで大幅に円高方向に振れているため、輸出企業を中心に企業業績の下方修正圧力が強まることも株式市場には逆風となる」 また曰く「資源や食糧を輸入に頼り、海外への輸出で稼いできた日本企業。米金融危機と世界同時株安におびえる東京市場は、外的ショックにもろい日本経済の姿を象徴している」 円高が、輸出企業にとってマイナスであることは認める。しかし、資源や食糧を輸入する側にとっては、円高は明らかにプラスの要因ではないか。 つい先日まで、輸入関連商品の高騰を、メディアは悲観的に伝えてきたし、今もなお、その姿勢は続いている。ならば「資源や食糧」を輸入に頼っている日本としては、円高は、物価を抑制する意味で歓迎すべきことではないのか。であるのに、どうして、輸出だけでなく輸入までも一緒くたにして、悲観的に論ずるのか。それも同じ記事の中で…。 こうした報道姿勢は、何も産経だけには限らない。日本のメディア全体にそうした傾向が見られる。 日本は長らく、物価は下降傾向にあった。これをメディアはデフレと称し、経済にとってはよくないことだ、デフレ不況だ、と不安報道をした。一部には、ゆるやかなインフレを待望する論まであった。 が、どうだ。原油、原料、食糧等の世界的な値上がりを受け、それらを輸入する日本は、諸物価の値上がりに見舞われた。するとメディアは、つい昨日まで囃(はや)していたデフレ不況だの、インフレ待望などという言葉を、すっかりしまい込んで、今度はインフレが経済を直撃、とまたまた不安報道に走る。いったいデフレがいいのか、インフレがいいのか、どっちなのだ、と言いたくもなる。 ま、危機は危機として、現実を報ずるのはいい。しかし、そうした危機の中にあってこそ、メディアに求められるのは、客観的な視点に立った、より正確で、より冷静な報道である。 |