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円高のメリット・デメリット言わず「悲観」一辺倒報道はヘンだ

斉喜広一2008/10/08
 世界金融不安で円高が強まっているが、その報道は「輸出企業に逆風」だけ。この間まで原油高、穀物高で「資源輸入国・日本は不利」と伝えるばかりだったのは忘れたのか。輸出も輸入も一緒くたにして、何でも悲観論で押し通す日本の報道は間違っていないか。
日本 流通 NA_テーマ2
 メディアの報道というものは、ときに冷静さも客観性も失い、オーバーなセンセーショナリズムに走るきらいがある。良きにつけ悪しきにつけ、売ってなんぼの性(さが)でもあるから、仕方ない面もあるけれど。

 まあそれでも、「良きにつけ」をお祭り報道、ヨイショ報道するのはまだ他愛もない。問題は「悪しきにつけ」を煽(あお)る不安増殖報道の方だ。

 米下院が、金融安定化法案を否決したことを受け、ニューヨークダウは、空前の大暴落に見舞われ、続いて東証平均株価も年初来最安値を付け、世界中にパニックが走った。これ自体は大変な出来事であり、悪しきことには違いない。しかし、それを報道するにあたっては、より冷静な視点に立って、より正確に報じてもらいたいものである。

 10月1日付産経新聞(大阪14版)は、経済欄に「米津波 日本のむ」と題した大きな関連記事を載せた。が、この同じ記事の中でも、明らかに矛盾することを堂々と書いている。

 曰く「為替も対ドル、対ユーロで大幅に円高方向に振れているため、輸出企業を中心に企業業績の下方修正圧力が強まることも株式市場には逆風となる」

 また曰く「資源や食糧を輸入に頼り、海外への輸出で稼いできた日本企業。米金融危機と世界同時株安におびえる東京市場は、外的ショックにもろい日本経済の姿を象徴している」

 円高が、輸出企業にとってマイナスであることは認める。しかし、資源や食糧を輸入する側にとっては、円高は明らかにプラスの要因ではないか。

 つい先日まで、輸入関連商品の高騰を、メディアは悲観的に伝えてきたし、今もなお、その姿勢は続いている。ならば「資源や食糧」を輸入に頼っている日本としては、円高は、物価を抑制する意味で歓迎すべきことではないのか。であるのに、どうして、輸出だけでなく輸入までも一緒くたにして、悲観的に論ずるのか。それも同じ記事の中で…。

 こうした報道姿勢は、何も産経だけには限らない。日本のメディア全体にそうした傾向が見られる。

 日本は長らく、物価は下降傾向にあった。これをメディアはデフレと称し、経済にとってはよくないことだ、デフレ不況だ、と不安報道をした。一部には、ゆるやかなインフレを待望する論まであった。

 が、どうだ。原油、原料、食糧等の世界的な値上がりを受け、それらを輸入する日本は、諸物価の値上がりに見舞われた。するとメディアは、つい昨日まで囃(はや)していたデフレ不況だの、インフレ待望などという言葉を、すっかりしまい込んで、今度はインフレが経済を直撃、とまたまた不安報道に走る。いったいデフレがいいのか、インフレがいいのか、どっちなのだ、と言いたくもなる。

 ま、危機は危機として、現実を報ずるのはいい。しかし、そうした危機の中にあってこそ、メディアに求められるのは、客観的な視点に立った、より正確で、より冷静な報道である。

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[38088] 一部の輸出大手企業と言われても
名前:田中秀郎
日時:2008/10/11 09:44
さとう様
>一部の輸出大手企業にとっては苦しいかもしれませんが、それはそれで今まで儲かっていたのですから。
またそういう企業はGDP比でも雇用者数でもそんなに多くはな
いのです。

おっしゃる「一部の輸出大手企業」の関連で働いていると、
そうも言ってられません。
先のサブプライムローン問題が表面化した後、
3ヶ月たったら、北米向け輸出が減ったため、
派遣社員は派遣元へ帰らされています。

また、そういう企業の雇用者数が少ないのは確かですが、
そういう企業に部品を入れている下請けや、人材を送り込む
派遣会社、それらの会社の周辺の地域で働く人など
考えたら、一概には言えませんが、、、。

そういう「一部の輸出大手企業」の関連で働く労働者の
ことも日本でも有数の会社の「公務員」の方も理解を
頂きたいものです。
[38080] 急激な円高がなぜ騒ぎになるか
名前:佐藤折耶
日時:2008/10/10 21:01
斉喜氏が言うような為替レートの変動の影響は、輸出と輸入で相殺されるじゃないかというのは、まぁよく聞く議論ですが、やはり例によって素人的視点にすぎないということは免れないように思います。


例えば、下記の『最近の「円高」と日本経済への影響』では、これについて以下のように述べており、妥当なのではないかと思います。


>なお、参考までに内閣府経済社会総合研究所(2007)、「短期日本経済マクロ計量モデル(2006 年版)の構造と乗数分析」に掲載されている「為替レート減価の影響」による乗数シミュレーション結果を参考にすれば、10%の円高はその年と翌年の実質成長率に対して▲0.27%ptの押し下げ効果を発生させるとのことである。国内需要へのバトンタッチが進まず、未だに輸出増に依存する成長を続ける日本経済にとって円高は大きな懸念材料として意識せざるを得ない。<


最近の「円高」と日本経済への影響
[38027] ただし、輸入インフレは不況の元
名前:さとうしゅういち
日時:2008/10/08 12:41
ただし、デフレがよくなくてインフレがいいという論調が確かにありましたし、私もそう思いますが、今のインフレは輸入インフレです。ですので、価格に転嫁できないような企業にとっては非常にまずい。

小泉時代のデフレも、販売価格が低迷してこれまたやはり企業にとって苦しい。

インフレ、デフレというよりも、とくに価格転嫁がしづらいような中小企業にとってはどうかとか、消費者にとってはとか、労働者にとってはとか、きちんとした分析を新聞はしてくれるとよいのですが。。
[38026] 大体賛成です。
名前:さとうしゅういち
日時:2008/10/08 12:35
現実にも円高に向かうと思います。

ここまできたら、世界経済は冷え込んでおり、大して輸出増に期待はできません。むしろ、円高で原材料が下がってくれたほうが、中小企業や消費者にとっても優しいと思います。

一部の輸出大手企業にとっては苦しいかもしれませんが、それはそれで今まで儲かっていたのですから。またそういう企業はGDP比でも雇用者数でもそんなに多くはないのです。
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