恫喝、脅迫、麻薬横流し、ピンハネ、裏切り、暴行と聞けば、暴力団のことかと思うだろう。
しかし、これは警察の話だ。捏造、トカゲのシッポ切りもある。
2005年には完成していたという映画「ポチの告白」。今年1月末に東京・新宿のK’s cinemaで公開されるまでに長い時間がかかった。
理由は、3時間15分という上映時間ゆえの回転率の低さにもあるらしいが、それよりも警察官らの不正や汚職などを暴くテーマにビビったことが大きかったようだ。メディアの腰の引け方(あまり取り上げない)にも原因があるだろう。それだからこそ、公開した映画館には敬意を表したい。配給元はあの「靖国 YASUKUNI」を配給したアルゴ・ピクチャーズだ。
いまのところ K’s cinema(3月6日で終了)、名古屋の
シネマスコーレ (3月13日まで)、のほかにも全国で予定されている。今後も上映館が増えることを期待したい。
上映館については
「ポチの告白」オフィシャルサイトへ。
チラシ
メディアの反応は今ひとつだ。
報道批判のメッセージが強烈だからなのか。評価が定まった「おくりびと」は後回しにしても、ぜひこちらを先に観てほしいと思う。
これは上質な社会派映画でありながら、なおかつエンターテインメント性も高い傑作だ。面白い。
製作、脚本から編集まで兼務した
高橋玄監督の演出が出色だ。それも、練り上げられたシナリオあってのものだろう。
警察を長年取材してきたジャーナリスト
寺澤有(原案協力・スーパーバイザー)による、数々の犯罪事件の現実の資料を元に構成されただけに、リアリティが強く迫る。
交番勤務の純朴な巡査が、見込まれて刑事課に配属されて刑事になり、次第に警察の犯罪的とも思える渦中にドップリつかりながら巻き込まれていくというストーリー。警察、検察、裁判官、報道(記者クラブ)のなれあいの現実を描いていて、虚しい思いとともに恐怖すら感じる内容だ。
睡眠不足で劇場に入ったので、3時間15分を眠らずにいられるかこころもとなかったのだが、一瞬たりともスクリーンから目を離せなかった。
主演の
菅田俊の存在感のある強烈な演技が見事だ。助演者達も粒ぞろいだが、特筆すべきは
出光元の絶妙な演技だ。
映画賞の受賞が期待される。
「恫喝」、「捏造」に関しては、志布志事件における鹿児島県警の「自白の強要」、「長期勾留」や、「高知白バイ事件」での警察・検察の理解し難い主張と最高裁の信じられないような判決など、「裏金作り」や「トカゲのシッポ切り」は、検察庁の裏金づくりを告発したがために、詐欺などの疑いで逮捕された三井環元大阪高検公安部長のケース等々、既に報道され国民が知っている事件が思い起こされる。
そして、国家権力という組織による犯罪の恐ろしさをあらためて想起し、暗澹とさせられるのだ。
記事タイトルの「信じ難いほどの内容だが、信じるに足る」は、そのことを意味している。
内容は、まるで外国映画に出てくる警察(官)のようだが、現職の誠実な警察官がこれを観たらどう感じるのだろうか。
警察官にあこがれ、目指している若者の目にはどのように映るのだろうか。
チラシ裏面の一部
【主なスタッフ】
監督・脚本・編集:高橋玄
原案協力・スーパーバイザー:寺澤有
製作:田村正蔵、高橋玄
プロデューサー:佐藤輝和、小高勳、高橋玄
撮影:石倉隆二、飯岡聖英
音楽:高井ウララ、村上純、小倉直人
美術:石毛朗
照明:小川満
【主な出演者】
菅田俊、野村宏伸、川本淳市、出光元、井上晴美
なお、寺澤有・著の
「報道されない警察とマスコミの腐敗―映画『ポチの告白』が暴いたもの」が2月下旬に刊行されている。