「NGO・NPO国際シンポジウム」(神戸)の気候変動に関するパネルセッション(23日開催)で地球温暖化に伴う深刻な世界の現状が報告されるとともに、先進諸国に強い対策を求めた。
野口氏の報告の様子(23日、神戸国際会議場で)。
北海道・洞爺湖サミットの関連会議として開かれた環境大臣会合(24‐26日)に合わせて開かれた「NGO・NPO国際シンポジウム」の気候変動に関するパネルセッション(23日開催)では、地球温暖化に伴う深刻な世界の現状が報告されるとともに、先進諸国に強い対策を求めた。26日に閉幕した環境大臣会合では、温室効果ガスの削減について大枠で合意があったが、十分とは言えない。市民社会からの提言では、より踏み込んだ対応をG8各国に求めることになった。
野口氏(左)と浅岡氏(同会議場で)。
エベレストや富士山の清掃活動を行っているアルピニストの野口健氏がネパール、バングラデシュでの視察旅行から5月16日に帰国、その報告をこの日のパネルセッションで行った。野口氏はヒマラヤ地域で地球温暖化の影響を受けて氷河湖が決壊の恐れがある現状を訴えた。
ベースキャンプ付近でしばしば霜が見られ、4月中旬にもかかわらず至るところで雪解けによる川ができていたり、季節外れのシャクナゲの花が咲いていたりと、明らかに温暖化の影響と見られる異常現象が起きていたという。「地元のシェルパは季節はずれの花が咲くと『人が死ぬ』と言っていましたが、それはある意味で当たっているのではないかと考えました。ヒマラヤの山河は気候変化に最も敏感な反応を示すセンサーなのかもしれません」などと話し、地球温暖化の影響がヒマラヤ山脈に深刻な影響を与えていることを指摘した。
最も懸念されているのが氷河湖の決壊だ。野口氏はイムジャ氷河湖、サバイ氷河湖、ロウアー・バルン氷河湖などの現状をスライドで紹介。氷河湖が加速度的に拡大しており、大きなところでは東京ドーム32個分の水がたまっているという。「氷河湖が決壊すると、地元の街道沿いの町では大きな被害が出ることが予想されます。地元の人たちは大変な危機感を持っており、温暖化対策も重要ですが、被害対策もやっていかなければならないのではないでしょうか」と訴えた。
WWFフィジーのダイアナ・マックファジエン氏はフィジーをはじめとする太平洋の島々での気候変動について報告した。「サイクロン被害やツバルでの海面上昇など、太平洋の島々は温暖化の影響に敏感に反応しています。また、水や食糧、農業など問題が急速に広がっています」などと話し、G8各国や国連に素早く適切な対応を求めていた。
右から小林氏、マックファジエン氏、ヘア氏の各氏(同)。
財団法人・ひょうご環境創造協会の小林悦夫氏は日本における地球温暖化対策の課題などについて意見を述べ、温暖化対策への提案として(1)協力者と非協力者に対する差異ある措置(2)費用対効果が上がる国内排出権取引の推進(3)環境税の導入(4)アジアにおける国際協力−の4点について解説した。
ポツダム研究所のビル・ヘア氏は「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測より上回るペースで海面上昇が進んでいます。食糧配給問題や石油価格高騰などいろんな問題も加速しています。温室効果ガスの削減に向けて長期的な目標設定は必要不可欠であり、2050年で80〜95%は削減しなければなりません」など、京都議定書よりさらに踏み込んだ削減目標を各国が示すべきだとした。
コーディネーターを務めた気候ネットワークの浅岡美恵氏が市民社会の側からの法律提案として「気候保護法」の設置を国に働きかけていることを報告した。同法案は温室効果ガスの削減目標として短期(08−12年)で90年比6%減、中期(20年)で同30%減、長期(50年)で同80%減を示している。達成に向けて事業所の排出情報の公開や、国内排出量取引制度の導入、炭素税の導入などを盛り込んでいる。