6月27日〜6月30日に行われた世界青年サミット(World Youth Forum Toward G8 Summit、以下WYF)を主催した国際青年環境NGO、A SEED JAPANとJapan Youth G8 Project は6月30日午後5時、環境省記者クラブで記者会見を行い、WYFにてまとめられた「洞爺湖サミットにむけたユースステートメント(提言文)」の内容を発表しました。
また、会見後、環境省副大臣室にて、桜井郁三環境副大臣に「ステートメント」を手渡し、気候変動、温暖化、さらにエネルギー問題などについて、予定されていた1時間を超えるほどの非常に活発な議論を交わしました。
記者会見には、日本のユースの他に、アメリカ、インド、アラブ首長国連邦と、様々な国から来たユースも参加し、気候変動問題、途上国の開発問題などに関して、次世代の若者としてのG8各国政府にむけた要望を熱く語りました。
記者会見の様子(撮影:記者)
アメリカからWYFに参加した、ジェイミー・ヘン(Jamie Henn)さんは、温室効果ガスの二酸化炭素換算濃度を、自らがコーディネーターを務める団体『
350.org』の団体名が示す数値、350ppmを上限とし、(現在は約387ppm)、地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2度未満に抑えることが重要であると強く述べました。
また、その目標を達成するためには、自らの出身国アメリカはもちろん、G8諸国がリーダーシップを発揮し、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で少なくとも40%削減することが不可欠だと説明しました。さらには、ケネディー元大統領のことばを引用しながら、エネルギーと情熱を持った若者がこの問題に取り組むことの重要性を話されました。
インドからの参加者、アヌグラハ・ジョーン(Anugraha John)さんは 、先進国がまず、目標を掲げて実行に移し、そのうえで途上国の参加を促すべきだと、自らの意見を述べられました。また、持続可能なエネルギーシステム構築のための再生可能エネルギーの生産・利用の促進・放射能汚染のリスクの高い原子力発電の利用拡大をやめることなど、エネルギー政策に関するWYFの見解を述べられました。「我々人間には、悪化の一途をたどる、現在のような環境の下で生活しなくてもよい権利があるはず」と強い口調で訴えていました。
高橋尚子さん、アラブ首長国連邦のジャマル・アル・パラシ(Jamal Al Falasi)さんは、「持続可能な開発分科会」の見解として、人間の安全保障の観点から、保険医療、教育、人権、食料の点で、G8諸国が積極的に途上国をサポートしていくことが大切であり、また、それを促進するには、用途を限定したODAを行うこと、対象国の政治体制などで評価・判断せず、結果ベースでのODA評価を行うことが最も大事である、と述べられました。
各国の若者たちは揃って、サミット議長国である日本に、来る洞爺湖サミットでイニシアティブをとり、G8諸国に、真剣にこれらの問題に取り組むように促してほしいと、日本への期待感を表していました。
また、記者会見終了後の午後6時から、環境省副大臣室にてNGOメンバーと桜井郁三環境副大臣との対話が行われました。この日、日本・海外のユースとの対話のために視察地・ミャンマーから帰ってきたばかりだという桜井副大臣は、その疲れも見せずに、ユースメンバーそれぞれの話に熱心に耳を傾けておられました。その中でも、日本のユースメンバーが原子力発電の増設を中止すべきだとの意見を副大臣に投げかけたときの副大臣の返答が印象的でした。
「では、今日の膨大なエネルギー需要を十分にカバーすることのできる、他の供給源が他にありますか? 理想を言えば、私もあなたの意見に大いに賛成です。ですが、残念ながら今現在、原子力にとって代わるような方法がありません。テレビ・ニュースで見聞きしただけの情報で、原子力はダメだ、他のものを利用しろというのは簡単なことですが、それを主張するには、その不足分を補う代替案の提示が必要です。高い理想を追い求めるのも、大変素晴らしいことですが、それと同時に、自分でキチンと研究・勉強して、その代替案を考えることこそ重要です」(桜井副大臣)
今、目の前にいる次世代の若者達を教育するかのような、また彼らのこれからの成長を促すような、先輩としての叱咤激励の意を含めた返答をしておられました。
他にも、ポスト京都議定書の国際的枠組みに関する日本の姿勢、エネルギー削減の数値目標、途上国の貧困問題に対する日本のサポート体制など、ユースメンバーからは「ステートメント」をベースとした、様々な質問、要望が桜井副大臣に投げかけられました。副大臣はその一つ一つに具体例を挙げて、詳細に答えておられました。ユースメンバーも一言を漏らすまいと、真剣なまなざしで副大臣の話を聞いていました。
対話は、予定の1時間をあっという間に過ぎていきました。白熱し、少し予定時間をオーバーした意見交換の後は、和やかなムードで「ステートメント」が副大臣に手渡されました。副大臣は「政治は若者の声を聞き、それを反映し、政策につなげていく」ことを約束され、対話は終了しました。
ジェイミー・ヘン(Jamie Henn)さん
対話での質疑応答(要約)
質問: 京都議定書の約束期間終了年、2012年以降の国際的枠組み構築のため日本の立場をお聞かせください。
副大臣: 現在、枠組みを構築するための話しあいの段階です。日本としては、京都議定書で定められた、2012年までに1990年比で6%削減を絶対達成しなければなりません。現状は逆に6%増加してしまっていますが、2012年までには削減目標を、責任をもって達成することをお約束します。2012年以降の枠組みに関しては、アメリカ・インド・中国を含め、すべての国が参加できるような枠組みを作ろうと、来るサミットでも、それを実現するための案を提出する予定です。
質問: 原子力発電所の増設をなぜ続けるのですか?中止すべきだと、我々は考えていますが、副大臣の意見はいかかですか?
副大臣: 今日の膨大なエネルギー需要を十分にカバーすることのできる、他の供給源が他にありません。そういった主張するには、その不足分を補う代替案の提示が必要です。高い理想を追い求めると同時に、自らが研究し、勉強して、その代替案を提示することこそ重要です。
質問: 日本は十分に途上国をサポートする予算、対策、方針はありますか?
副大臣: G8のなかでも、日本は環境に関する技術はトップであります。さらに、日本は過去に様々な公害を経験しています。そういった経験から得た知識や、日本が持っている高度な技術、さらには豊富な資金力でこれからも途上国をサポートしていきます。
質問: 開発途上国にとって、教育は持続可能な社会の達成にとって最も重要なものですが、日本は今後、どのような支援をしていくお考えですか?
副大臣: 日本は開発途上国での教育制度の普及に尽力してきました。今回のミャンマー視察でも、当地に学校を1校建設する約束をしてきました。教育によって、途上国の貧困問題はある程度解消することができると考えています。さらには、教育のよって、気候変動もある程度抑えることができるのではないかと考えています。個人的にも、自民党議員有志で結成したグループでこれまで、ミャンマー、タイ、ラオスに学校を建設してきました。これからも、環境副大臣として、国会議員として、できる限りのことを行いたいと考えています。
ジャマル・アル・パラシ(Jamal Al Falasi)さん
桜井郁三環境副大臣との対話。
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桜井副大臣に「ステートメント」を手渡す。
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対話終了後も熱心に意見交換。
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