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トルコのEU加盟に揺れるフランス

敦賀一平2004/12/20
フランスのシラク大統領がトルコのEU加盟に支持を表明したが、世論調査では、国民の約67%が反対するという結果が出ている。
フランス NA NA
 EUの中心的大国がリーダーとしての采配に戸惑っている。

 欧州連合(EU)は16日、ブリュッセルで首脳会議を開き、来年10月3日から、トルコと加盟交渉を始めることで合意した。

 フランスのシラク大統領も15日夜の仏テレビTF1のインタビューで「トルコの加盟は欧州、フランスの利益となる」と支持の考えを表明している。

 しかし、13日発表の世論調査によると、国民の約67%がトルコのEU加盟に反対するという結果が出ている。この反対論者の主張の中でもっとも多いのが、宗教問題に関したことだ。トルコは全国民の約98%をイスラム教徒で構成し、これ程までのイスラム教国は現在のEUには存在していない。

 そして、9.11同時多発テロ以来のイスラムに対して抱いてきた警戒心が、ここへきてあらわになっているのだ。まだ記憶に新しいことだが、イスラムに対する不信感が公の場に出てきたのは今年の2月10日のことだ。フランス国民議会(下院)は公立学校において、イスラム教徒のスカーフのような宗教的服飾の着用を禁止したのである。

 そして驚くことに、国民の約70%がこの法律を支持したのである。これを支持する専門家の中には「学校教育の場に宗教的価値観を持ち込むことはよくない」と主張する人もいる。もちろん、教壇に立って宗教を説くというのであれば生徒に与える影響は大きく、学校教育にふさわしくないこともあるだろう。しかし、生徒の服装によって、どれ程大きな影響があるだろうか。この法律の正当性には疑問が残る。

 中東情勢が不安定な今、トルコがEUへ加盟できなかった場合、イスラム世界との関係悪化が懸念される。その意味でEUの今回の決定は大きな意味を持っている。そして、EUの中核を担うフランスが、「異質なものへの恐怖」という難題をいかにして解決できるかが、大変重要となってくると思う。
◇ ◇ ◇

ご意見板

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[5956] 訂正
名前:東堂一
日時:2004/12/29 10:04
誤:EU正解

正:EU政界

 失礼いたしました。
[5955] 中東の新聞の風刺画から
名前:東堂一
日時:2004/12/29 09:59
敦賀一平 様
廣田裕之 様

 トルコのEU加盟に関して、中東(レバノン、エジプト、ヨルダンなど)の新聞のひとコマ漫画は、大体「トルコはEUに加盟するだろう。けれど、大分屈辱を味わってから・・・」の線で描かれています。(笑ってはいけないことですが、上手なんですよこれが。)

 フランスは、元来“イスラムアレルギー”が無い国です。(スペイン、ギリシャ、チェコ&スロバキアは、比較的“アレルギー体質”です。 笑:直接戦った歴史がありますからね。)
 事実、フランスには“選挙”の際に無視できない少数民族としてユダヤとイスラム人口が存在します。(ユダヤの方が1万人ほど多い)
 また、フランスは第1次大戦以降中東に委任統治国を持ち、イギリスよりは上手な経営をしましたから、アラブ側からも好意的に見られているところがありました。

 しかし、敦賀様ご指摘のとおり、「公立学校における宗教的服装の着用禁止令(日本語での正式名称を知りません)」は、ムスリムの少女が最も迫害された形となり、イスラム世界に批判が広がりました。
 けれども、同法律は、イスラム教徒をターゲットにしたものではなく、あくまでも“宗教上象徴的”な服装、装飾を禁ずるもので、大多数の在仏イスラム教徒は受け入れました。(もちろん、“屈辱的だ”として学校を去った少女もいました。このあたり、拙稿「ヘジャブ(スカーフ)と人質」も通読いただければ幸いです。)

 さて、EU市民がトルコの加盟を渋る本当の理由ですが、もちろん、宗教的な嫌悪感などではありえません。一部のユダヤ教強硬派やキリスト教極右派で無い限り、現状の「イスラム嫌い」は、9・11以降のムードに流された感情です。(と、小生は思います。)
 トルコがEUに加盟し、人的交流が自由になって、最も困るのは一般労働者(特にブルーカラー)です。また、ヨーロッパの政治家の先生方は、この層に依拠する方が多いのも特徴です(民主主義が浸透している証左でもありますが)。したがって、「安価な労働力が過剰に流入する可能性」にEU正解が過敏になるのは、当然の帰結です。

 ちなみに、世俗国家“トルコ”に宗教の“縛り”は、ほとんど意味が無いでしょう。(イスラム教徒が、クリスマスプレゼントを交換し、シャンパンを空ける国ですから・・・ 笑)トルコは、「万難を排しても」EUに入るつもりですよ。(北キプロスを捨てるかも知れません。)

 ついでに、シリアは「ヨーロッパは、もう“すぐそこ”まで来てる。」と期待とも不安とも取れるセリフを残して若旦那(バッシャール大統領)がトルコ・エルドガン首相との会談に臨みました。(推して知るべし。 笑)

 それでは、また。     東堂 拝
[5950] ありがとうございます。
名前:敦賀一平
日時:2004/12/27 22:00
ご意見ありがとうございます。
共感を得ることができる意見でした。
記事ではどちらがよいということは述べませんでしたが、
個人的にはトルコの加盟を望んでおります。現在のアメリカへの権力集中がEUの規模拡大によって変わることも期待しております。廣田様のおっしゃるとおり、トルコのEU加盟は他の国の加盟促進にもつながるでしょう。ただ、法律の整備やそのほかの文化的な違いから受け入れがされにくいようです。EUの動向を注目してみたいと思います。
[5938] EU設立の趣旨に立ち返って
名前:廣田裕之
日時:2004/12/26 14:45
歴史上何度も戦争を繰り返してきた仏独が、EUを通じてこれだけ親密な関係を築くことで戦争の火種をなくすことに成功したわけですよね。現在欧州にとって最大の懸案事項の一つはイスラム社会との関係をどう築くかですが、それならばなおさらEUをイスラム圏に拡大することで、欧州における戦争の火種をなくすことが大切ではないでしょうか(欧州にもアルバニアというイスラム国家がありますしね)。

それこそ、むしろトルコがEUに入った場合、欧州が推進する民主主義の拡大につなげることができるのではないでしょうか。東欧諸国がEU参加のために必死になって西欧型の社会制度を整備していますが、トルコがEUに加盟すると同じことが環地中海世界でも起こるのではないでしょうか?
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