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日中韓の共同歴史教材、完成間近!

山本千晶2005/01/30
日本、中国、韓国の大学教授らが組織する「日中韓3国共通歴史教材委員会」は、5月にも3国で共同編集した歴史教材を各国で同時出版することを明らかにした。
東アジア 教育 NA
 韓流がブームになり、日本の貿易相手国の第1位が中国に変わり、愛知万博に伴う中国や韓国へのビザ発給に関する規制が緩和されるなど、日中韓の距離が縮まりつつある。だがその一方で、サッカーアジアカップで見られた中国の日本たたきや、小泉首相の靖国参拝で中韓と軋轢が生じるなど、3国の交流は必ずしも円滑ではない。

 その理由の1つはもちろん、歴史認識だ。このような中、アジアの平和のために、偏狭なナショナリズムに踊らされることなくお互いを理解しようとする試みが、3年前から始められてきた。日本、中国、韓国の大学教授らが組織する「日中韓3国共通歴史教材委員会」は28日、5月にも3カ国で共同編集した歴史教材を各国で同時出版することを明らかにした。

 この共通の歴史教材制作は、2001年に「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書採択を阻止する活動に取り組んだ日中韓の研究者らの提案が元になった。日本側の共同代表を務める俵義文氏(子どもと教科書全国ネット21)は、「ただ批判するだけでは、歴史教科書問題は解決しない」と言う。「平和なアジアを作るために、子どもたちにどういう歴史認識を持って欲しいか、ということを考えて進めてきました」と語られる教材の概要は以下のとおり。

 『東アジアの近現代史』
 序章  開港以前の日中韓3国の状況
 第T章 開港と近代化
 第U章 日本帝国主義の膨張と中韓両国の抵抗
 第V章 侵略戦争と民衆の被害
 第W章 戦後の東アジア
 終章  東アジアの平和を求めて
 出版社:高文研(日本)

 同じく共同代表を務める大日方純夫・早稲田大学教授は、「3国では歴史認識や用語の解釈も違い、執筆・編集には非常な困難が伴った」と述べる。例えば原爆について。「原爆被害をどう描くかということに関しても、日本側は、核兵器は人類の被害だということを書きたかったんですね。でも中国にしてみれば、原爆投下によって日本の支配が終わったのでむしろ歓迎するような雰囲気があり、日本も被害を受けたということを書くのは納得できない、というクレームがついたりしました」

 上海師範大学の蘇智良教授も述べる。「中国と韓国で激論になったのは、19世紀後半のことです。中国が韓国に介入したことがありますが、中国としてはそれを、朝貢という伝統的な友好関係の中で起きたものと認識しており、韓国としては、中国の介入に侵略性があったという認識をしていました」
 
 こうした認識のズレは、何回にも及ぶ対話で乗り越えてきたという。韓国の李共同代表は「日韓の論争のひとつに、日韓併合にまつわるものがありました。開発論か収奪論かという議論もなされるこのテーマについて、もちろん純粋な開発ではないし、開発を賛美するのはおかしいのですが、現在の韓国では収奪の部分だけがクローズアップされています。そうした面は見直す記述をしました」と語る。

 関係者は、手弁当で3年に渡る国際会議を運営してきた。特に“感情の記憶”には配慮したというこの教材は、5月の出版に向け、30、31日の第10回国際会議で最終的な合意を図る予定。それぞれの出来事がどのように記述されているのか、興味を引かれる1冊である。
日中韓の共同歴史教材、完成間近!
韓国側の状況を説明をするヤン・ミガン氏(韓国アジアの平和と歴史教育連帯所属) 
日中韓の共同歴史教材、完成間近!
早稲田大学の大日方純夫教授は「この教材をもとに、若い人にはぜひお互いに話し合って欲しい」という
日中韓の共同歴史教材、完成間近!
「正義的な記述をする中国に比べ、日本は社会的な記述をする」と、書き方の違いにも苦労したことを明かす上海師範大学の蘇智良教授
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