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世界

レバノンから見る「郵政解散選挙」

東堂一2005/08/13
今「世界で一番キナ臭い」極東にいる日本人が考えなければならないのは「郵便局」の心配かな?
レバノン NA NA
 読者の皆様は“レバノン”から何を連想されるだろう?「中東のパリ」「フェニキュア文明」「バールベック遺跡」……。でも、圧倒的に多いのは「17年に及ぶ内戦」だろう。

 そう、レバノンはイスラエル建国により民族四散の悲劇に遭ったパレスチナ人が流入し、戦争に巻き込まれることへの恐怖感や「悲劇の民(だから許されるべき)」との横暴な彼らの態度に憤懣が鬱積したキリスト教徒一派がパレスチナ人を襲撃したことから、パレスチナ人にシンパシーを感じていたスンニ派住民を巻き込んだ内戦が勃発した国だ。

 レバノン内戦は世界的な関心事となり、多くのジャーナリストも惹きつけたが、泥沼の内戦は、PLOやモサドの暗躍の場となり、多くの無辜の市民が「オマエは××教徒だから」「××地区の方から来た」という信じられない理由で銃殺された。

 イスラエルがヒズボラのゲリラ戦に辟易して2000年5月に撤退し「レバノン内戦」と呼ばれた“戦争”は終結した。以来5年、この国は未だ“民主主義政府”を模索しつづけている。

 内戦以前は、同じ村にイスラム教徒とキリスト教徒が住み、耕地を分け合い、水を管理し、ケンカを仲裁し、共に相互のお祭りを邪魔しないよう気を配りながら暮らしていたという。

 内戦後は、同じ宗派の中でも不信感が生じ、分裂してグループになり、自分たちだけの利益を主張して対立したり、些かでも他のグループの利益になるようなことを言う人間に対する中傷や誹謗が絶えない。

 しかし、それでも皆が“レバノン”の国土を愛し、家族・親族・友人を思い「2度と分裂したくない」と真顔で語る。そこには、苦しみながらも出口を模索する政治家や志を持つ国民の真摯な情熱が感じられる。

 翻って、日本は60年間の永きに渡り戦禍に遭うことは無かった。幸運であったことは言うまでも無いが、日本内外の先人達の犠牲の上にあった平和であることも忘れてはならないと思う。

 しかし、今まさに行われようとしている「郵政解散選挙」とは、一体なんだ?正直に申し上げて、郵便局が官営のままだろうが、民営になろうが国民の生活にどんな危険があるというのか?確かに「80兆円の支出がある国庫に、収入は40兆円しか無い。支出の半額は公務員の給与だ。このままでは国が持たない」という説明は説得力がある。「郵政民営化は米ハゲタカ・ファンドに好餌を与えるだけ」その心配にも頷ける。

 だが、我々の先人は、戦後10年、重くのしかかる戦後賠償を返しながら何を見つめていた?

 戦後20年、軌道に乗り始めた日本経済に君たちの先人は満足していたか?バブルの後の「失われた10年」などという言葉に安穏として「仕方ないんだよ」と諦めている自分はいないか?

 民主主義は「(賛成・反対を内包しての)国民の選択」で行われる政治だ。
 君たちにはレバノンのような「血生臭いシコリ」など無かろう。
 「オマエは××教徒なんだから」などと言う縛りも無いはずだ。
 自分が投票した候補が落選したっていいじゃないか。君は自分の意志を明らかにするんだ。

 でも、そのためには「シッカリ考えよう」
 自分が求めたいコトは何か?
 情や情報に流されてはいけない。
 第1次世界大戦後、フランスがドイツに割譲地を返還したことが何を生んだか。
 PLOに行動の自由を与えたレバノンがどうなったか。

 今「世界で一番キナ臭い」極東の君たちが考えなければならないのは「郵便局」の心配かな?「もっと大切なもの」を見失わないようシッカリ考えよう。投票しなければ民主主義は、はじまらない。

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