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『ムーミンママ』 ……そう、国民から呼ばれている女性大統領がいる。6年近い間、80%以上の支持率を国民から受けている大統領。フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領がその人である。 『ムーミン』とは、フィンランドの児童文学作家・トーベ・ヤンソンの人気作品であるが、妖精にも似た男の子・ムーミンのママとはどんな性格なのか。 家庭的でおおらか。訪問者があればいつも手作りの料理でもてなす……優しくて洞察力のある賢いママ。 ムーミンワールドが、田園のなかに繰り広げられる寛容とヒューマニズムであれば、フィンランドの国民が「ムーミンママ」と呼ぶ女性大統領は、北欧の厳しい自然のなかに、あるがままに生きる誠実な母親像なのであろう。 政治家ハロネン氏の経歴:先ず、日本外務省の記事から。というのも外務省ホームページにある各国情勢のうち、フィンランドの記事でハロネン大統領の略歴を見るのがわかりやすいと思うからである。 横顔 (1)労働者の町が生活の拠点 (2)未婚の母としての国会初登院 (3)弱者の擁護者 「少数派・弱者の擁護者」として国民に知られている。同ページの職歴によると、ヘルシンキ大学法学修士で、弁護士などとして活動し、ヘルシンキ市議会議員から国会議員になり、保健相を皮切りに法相、外相と主要閣僚を歴任した。そして大統領になった。詳しくは別掲(注)の同ページからの引用をご覧になるとよい。 また、タルヤ・ハロネンホームページは次の通りである。 http://www.tarjahalonen.fi/en/current_issues.php ところで、茶道で、私の教え子といっていい若い友人のひとりhisakoさんは、フィンランド人の男性と結婚してよい家庭を築いている日本女性である。 女性の政治家が最近日本の国会で急増し、メディアで話題になっているが、私は以前から関心をもっていた北欧の福祉国家・フィンランドの女性大統領の情報が欲しいと、彼女にメールした。 また、私が希望する写真のあれこれを書いたところ、即座にhisakoさんは写真を撮りに行ってくれた。パソコンからメールで送ってきた画像が右掲載のもの。 ヘルシンキ近くに在住している彼女のいうことには、日本と違いこの時期はあまり青空も出ず、太陽があがっているのは10時くらいから4時くらいだという。それでもこれだけ美しい写真を撮ってくれたのが嬉しかった。 それはさておき、会社の女子社員達にハロネン大統領の人気の理由を聞いてもらったところ、次のような返事が帰ってきたという。 (1)昔の大統領のように、権限を振りかざさない。 (2)親しみやすい。 (3)全フィンランド人の良いおばさんという感じ。 (4)どこにでも気軽に現れ、気軽に人と話をする。 「ムーミンママ」というあだ名もハロネン氏の存在をよく表現しているようだ。政治的な権限を首相に移したことで、象徴としての役割になっているのかもしれない。 最近、日本では政治家と政治家を選出する選挙民の民度ということが、よく話題にされている。フィンランドは日本と比較すれば、どこに何の問題点があるのか、私はあまりの相違に言葉を無くしてしまう。 第一、フィンランドは、世界で最も汚職の少ない国である。税金は高いが、それだけの恩恵を受けているということを国民は充分知っているので、不平不満は言わない。全ての人が無料で教育を受けることができる。福祉制度も充実し、老後も心配なく生活ができる。 第二、青少年の学力は世界一。教師は尊敬される職業とされている。 第三、さらに、国際競争力は3年連続でトップである。 世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2005年世界競争力報告」によると、フィンランドの国際競争力は三年連続で世界一となった。 http://www.finland.or.jp/ja/ 第四、環境、水のきれいなことは世界一である。政治がそれを守っている。 環境:すべての国民は公私有地を問わず森の中に入って自然に親しむ権利があり、同時に自然を守る義務がある。2002年度世界経済フォーラムの環境維持可能指数で142カ国中トップにランク。2003年度国連世界水開発レポートでは世界一水がきれいと評価。 http://www.moimoifinland.com/index.php (フィンランド政府観光局の日本語公式ホームページより) 第五、貧富の差があまりない。急激に貧富の格差ができてきた日本とは相違する。 第六、ITの活用が進んでおり、インターネットの使用率が高い国の一つである。 私人としてのハロネン氏:私生活では、未婚の母の道を選んだ。また、大統領に就任した時には同棲中であったという。現在の夫君と正式に結婚してからは民族衣装で撮られた写真があるが、威厳あるご夫妻であると思う。 http://www.eura.fi/tiedotteet/itsenaisyys.htm フィンランドでは、政治家のプライベートなことに国民は興味をもたないという。こうした民度の高さが、政治家の質の高さを生んでいるように思えてくる。 わが国では、エリート議員といい、マドンナ議員といい、メディア影響もあって選挙民の意識そのものが、その人物のあるがままを認めない処があるのではなかろうか。 そうして選んでみたものの、いつの間にか特権意識の政治家を誕生させてきたのではなかっただろうか。 フィンランドと日本は、国の人口密度もまったく異っている。しかし、人間が政治をすることには変わりはないだろう。その政治家の行っていることと選挙民と、あまりにも違いすぎることに、正直なところため息をついた私であった。 ◇ ◇ ◇
(注・ハロネン大統領略歴。日本外務省ホームページより)
タルヤ・ハロネン(Tarja Halonen) 生年月日 1943年12月24日生 ヘルシンキ出身 学歴 ヘルシンキ大学法学修士 職歴 1967−68年 「法律保護」社勤務 1967−70年 フィンランド大学学生連合秘書 1970−74年 フィンランド労働組合中央連盟所属弁護士 1974−75年 首相国会担当秘書官 1977−79年 ヘルシンキ市議会議員 1979−2000年 国会議員(社会民主党) 1987−90年 社会保健相(ホルケリ内閣) 1990−91年 法相(同上) 1995−2000年 外相(リッポネン第1次・第2次内閣) 2000年3月− フィンランド大統領(任期は2006年3月まで) |