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「ムーミンママ」 フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領

椿伊津子2005/11/18
フィンランドに住む教え子に聞くと、全フィンランド人の良いおばさんという感じで、どこにでも気軽に現れ、気軽に人と話しをするのが人気の理由だという。
フィンランド ジェンダー NA_テーマ2
 『ムーミンママ』 ……そう、国民から呼ばれている女性大統領がいる。6年近い間、80%以上の支持率を国民から受けている大統領。フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領がその人である。

 『ムーミン』とは、フィンランドの児童文学作家・トーベ・ヤンソンの人気作品であるが、妖精にも似た男の子・ムーミンのママとはどんな性格なのか。

 家庭的でおおらか。訪問者があればいつも手作りの料理でもてなす……優しくて洞察力のある賢いママ。

 ムーミンワールドが、田園のなかに繰り広げられる寛容とヒューマニズムであれば、フィンランドの国民が「ムーミンママ」と呼ぶ女性大統領は、北欧の厳しい自然のなかに、あるがままに生きる誠実な母親像なのであろう。

 政治家ハロネン氏の経歴:先ず、日本外務省の記事から。というのも外務省ホームページにある各国情勢のうち、フィンランドの記事でハロネン大統領の略歴を見るのがわかりやすいと思うからである。
 横顔
 (1)労働者の町が生活の拠点
 (2)未婚の母としての国会初登院
 (3)弱者の擁護者

 「少数派・弱者の擁護者」として国民に知られている。同ページの職歴によると、ヘルシンキ大学法学修士で、弁護士などとして活動し、ヘルシンキ市議会議員から国会議員になり、保健相を皮切りに法相、外相と主要閣僚を歴任した。そして大統領になった。詳しくは別掲(注)の同ページからの引用をご覧になるとよい。

 また、タルヤ・ハロネンホームページは次の通りである。
 http://www.tarjahalonen.fi/en/current_issues.php

 ところで、茶道で、私の教え子といっていい若い友人のひとりhisakoさんは、フィンランド人の男性と結婚してよい家庭を築いている日本女性である。

 女性の政治家が最近日本の国会で急増し、メディアで話題になっているが、私は以前から関心をもっていた北欧の福祉国家・フィンランドの女性大統領の情報が欲しいと、彼女にメールした。

 また、私が希望する写真のあれこれを書いたところ、即座にhisakoさんは写真を撮りに行ってくれた。パソコンからメールで送ってきた画像が右掲載のもの。

 ヘルシンキ近くに在住している彼女のいうことには、日本と違いこの時期はあまり青空も出ず、太陽があがっているのは10時くらいから4時くらいだという。それでもこれだけ美しい写真を撮ってくれたのが嬉しかった。

 それはさておき、会社の女子社員達にハロネン大統領の人気の理由を聞いてもらったところ、次のような返事が帰ってきたという。

 (1)昔の大統領のように、権限を振りかざさない。
 (2)親しみやすい。
 (3)全フィンランド人の良いおばさんという感じ。
 (4)どこにでも気軽に現れ、気軽に人と話をする。

 「ムーミンママ」というあだ名もハロネン氏の存在をよく表現しているようだ。政治的な権限を首相に移したことで、象徴としての役割になっているのかもしれない。

 最近、日本では政治家と政治家を選出する選挙民の民度ということが、よく話題にされている。フィンランドは日本と比較すれば、どこに何の問題点があるのか、私はあまりの相違に言葉を無くしてしまう。

 第一、フィンランドは、世界で最も汚職の少ない国である。税金は高いが、それだけの恩恵を受けているということを国民は充分知っているので、不平不満は言わない。全ての人が無料で教育を受けることができる。福祉制度も充実し、老後も心配なく生活ができる。

 第二、青少年の学力は世界一。教師は尊敬される職業とされている。

 第三、さらに、国際競争力は3年連続でトップである。

 世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2005年世界競争力報告」によると、フィンランドの国際競争力は三年連続で世界一となった。
 http://www.finland.or.jp/ja/

 第四、環境、水のきれいなことは世界一である。政治がそれを守っている。

 環境:すべての国民は公私有地を問わず森の中に入って自然に親しむ権利があり、同時に自然を守る義務がある。2002年度世界経済フォーラムの環境維持可能指数で142カ国中トップにランク。2003年度国連世界水開発レポートでは世界一水がきれいと評価。
 http://www.moimoifinland.com/index.php
 (フィンランド政府観光局の日本語公式ホームページより)

 第五、貧富の差があまりない。急激に貧富の格差ができてきた日本とは相違する。

 第六、ITの活用が進んでおり、インターネットの使用率が高い国の一つである。

 私人としてのハロネン氏:私生活では、未婚の母の道を選んだ。また、大統領に就任した時には同棲中であったという。現在の夫君と正式に結婚してからは民族衣装で撮られた写真があるが、威厳あるご夫妻であると思う。
 http://www.eura.fi/tiedotteet/itsenaisyys.htm

 フィンランドでは、政治家のプライベートなことに国民は興味をもたないという。こうした民度の高さが、政治家の質の高さを生んでいるように思えてくる。

 わが国では、エリート議員といい、マドンナ議員といい、メディア影響もあって選挙民の意識そのものが、その人物のあるがままを認めない処があるのではなかろうか。

 そうして選んでみたものの、いつの間にか特権意識の政治家を誕生させてきたのではなかっただろうか。

 フィンランドと日本は、国の人口密度もまったく異っている。しかし、人間が政治をすることには変わりはないだろう。その政治家の行っていることと選挙民と、あまりにも違いすぎることに、正直なところため息をついた私であった。
◇ ◇ ◇
(注・ハロネン大統領略歴。日本外務省ホームページより)

タルヤ・ハロネン(Tarja Halonen)
生年月日 1943年12月24日生 ヘルシンキ出身
学歴 ヘルシンキ大学法学修士
職歴
1967−68年 「法律保護」社勤務
1967−70年 フィンランド大学学生連合秘書
1970−74年 フィンランド労働組合中央連盟所属弁護士
1974−75年 首相国会担当秘書官
1977−79年 ヘルシンキ市議会議員
1979−2000年 国会議員(社会民主党)
1987−90年 社会保健相(ホルケリ内閣)
1990−91年 法相(同上)
1995−2000年 外相(リッポネン第1次・第2次内閣)
2000年3月− フィンランド大統領(任期は2006年3月まで)
「ムーミンママ」 フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領
大統領官邸(いずれもヘルシンキ市内。撮影・hisakoさん)
「ムーミンママ」 フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領
エイラ地区
「ムーミンママ」 フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領
ヘルシンキ大聖堂

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[13820] 澤崎記者さん
名前:椿伊津子
日時:2005/12/18 17:48
澤崎さんはムーミンを長年見守ってこられた方のようですね。
私は詳しくないままに先に友人のコメントを紹介いたしました。
けれどもフランスに住む友人から訂正のメールが届きました。

>とんだところでムーミン話が盛り上がっているようなので
一言追加いたします。お部屋の談話室でムーミンアニメが
「欧州で人気」と軽く書いてしまいましたが、私が見たものは
数年前に知人が英国で録画したもので、いわゆる新ムーミン、
現在の放映状況は不明です。

Janjanの談話室にはだいぶお熱の方もいらっしゃ
るようなので、正確を期してお知らせいたしました。

日本のテレビ局が、数あるテレビアニメのなかで良質に属する
ものを製作したことに対する評価は捨てがたいな〜というお話
だったのですが、大統領からとんだ脱線となりました。つい、
筆が滑って余計なことを書いたためと反省。以後気をつけます。
お忙しいところ細かいお話で失礼いたしました。<

その後のことはわかりませんけれど、やはり、澤崎さんの仰る
通りかもしれませんね。
[12801] フィンランド出身の参議院議員ツルネンマルテイさん
名前:椿伊津子
日時:2005/11/21 16:28
 フィンランド出身で、参議院議員ツルネンマルテイさんをご存知の方も多いと思います。
 JanJanの拙記事をメールでお知らせいたしましたところ、秘書の方からお返事をいただきました。
 ご披露しても差し障りはございませんでしょう。
 拙文がほんの少しでもお役に立つなら、望外の喜びでございます。

11/21
 メールありがとうございます。
 ツルネン夫妻は、あいにくただいま出張中ですので、取り急ぎ、代わってお返事を書かせていただきます。

 椿様の記事、拝読させていただきました。椿様のご指摘の通り、日本とフィンランドでは、政治家のプライベートについての考え方が大きく異なります。いわば、異なる政治文化を持っているわけです。日本の政治文化とフィンランドの政治文化のどちらが優れているのか、優劣を決めることは難しいことですが、お互いの国の人々が異なる政治文化の存在を認識し、認め合い、学びあうということは非常に重要であると考えます。椿様の記事は、こうした日本とフィンランド両国の異文化理解に大きく貢献するものであると考えます。
 今後もこのような素晴らしい活動を続けていかれることを期待いたします。

 日本のすばらしい文化の一つである茶道をフィンランド人に伝えているものとお見受けいたしました。茶道の分野でも、一層の文化交流を深めていかれることを期待いたします。


参議院議員 ツルネンマルテイ事務所
秘書 久保谷政義
[12791] それは
名前:澤崎一幸
日時:2005/11/20 23:41
椿記者。おそらく欧州で流れている日本製アニメのは、確か1990年に制作され、日本ではテレビ東京系で放送された「楽しいムーミン一家」かと思われます。湾岸戦争のとき、テレビ東京系だけが通常番組でムーミンを流していた、とよくいわれましたが、このときの放送も「楽しい・・・」です。
 日本語で同名の原作があり、私はたまたまこの放送より15年早く手に入れてます。新版アニメはこの原作に忠実なようですが、原作の「スノークのおじょうさん」がアニメでは「フローレン」になるなど、微妙な違いはあるようです(ちなみにフジテレビバージョンではノンノンでしたね)。
 余談ですが、当時私が住んでいた山陰では「YAWARA!」の裏番組になってしまっており、相当食われていたようです。
[12778] フランス・グルノーブルから
名前:椿伊津子
日時:2005/11/20 14:32
コメントありがとうございます。

佐藤さん、ご親切にお調べくださったのですね。
私の友人でフランス・グルノーブルにお住まいの女性、ぼいやれ夫人から拙稿についてこんなお便りをいただきました。

11/18
>コタツが懐かしい初霜のグルです。
JANJANによいお話をご紹介くださり、ありがとう存じます。

ムーミンママ、子供の頃からファンです。北欧の寛容と勤勉、素朴な生活、自然に抗わずしなやかに生きる姿はつねづね憧れでしたが、こういう大統領を選びますか〜尊敬の念を抱かざるをえません。

ところで、日本製の楽しいムーミンアニメは、欧州のTVでも放映されており、宮崎アニメと併せて勝手に自慢の種としております^^)。<

以上は現地からの新しいな情報なんです。
今でもフランスで、日本製の楽しいムーミンアニメは欧州のTVでも放映、宮崎アニメとファンを喜ばせているようですよ。

ソースが求められるのなら、この友人のコメントは拙サイト「談話室」にございます。
http://bbs2.ardor.jp/?0207/wabisuke
[12764] 調べました。
名前:佐藤順子
日時:2005/11/20 01:22
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「ムーミン」の記述から
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3
確かに、
『初期のアニメ作品は日本では人気だったが、原作者のヤンソン自身は原作と異なる作品世界を好んでおらず、「私のムーミンはノー・カー、ノー・ファイト、ノー・マネーだ」と言って怒ったという』
と書かれています。
『1979年にポーランドのFilm Polsky社が26エピソード、全78話のパペットアニメーションを製作している。こちらはトーベ・ヤンソン自身が監修しており、ヤンソンの最もお気に入りの作品とされる。日本語版は岸田今日子が吹き替えており、ミニシアターやカートゥーンネットワークで上映、放送されている』
とも書かれてあります。
「寛容とヒューマニズム」
間違いではないと思うのですが、違いますか?
[12758] ムーミンたちのイメージにはご注意
名前:澤崎一幸
日時:2005/11/19 22:17
 かつてムーミンをファンタジーととらえたアニメがありましたが、ムーミントロールの世界を「幻想的」として作っていた原作のトーベ・ヤンソンさんの怒りを買い、現在このフジテレビバージョンのアニメは姿を消しています。
 「寛容とヒューマニズム」という椿記者の表現はファンタジーに近いような気がします。お気をつけなさったほうがいいと思います。
[12755] 「ムーミン」の童話、大好きです!
名前:佐藤順子
日時:2005/11/19 21:27
お恥ずかしいですが、「ムーミンママ」と呼ばれ国民から愛されているフィンランドのタルヤ・ハロネン大統領のこと、知りませんでした。
hisakoさんの写された写真きれいですね。特に、エイラ地区の写真は素晴らしいです。
椿さんの文章が読みやすく、分かりやすく、勉強になりました。有難うございます。

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