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途上国は「自分たちのための自分たちによる」ニュースを求める

IPSJapan2005/12/05
非同盟運動に参加する116カ国は、途上国関連ニュースを発信する通信社を作り上げようという長期間棚上げしてきた提案を30年ぶりによみがえらせようとしている。
マレーシア NA IPS
【国連IPS=タリフ・ディーン、11月18日】

 数ヶ月前、国連の記者に自国の有力な新聞を尋ねられたあるアジアの辛口政治家は、「有力紙などない。なぜなら無力な新聞しかないから」と即座に言い返した。この言葉に示されるように途上国の新聞は、国外のニュース記事を欧米の通信社に大きく依存していて、偏ったセンセーショナルな内容の記事が多い。

 新聞記者から大使に転身したアーネスト・コリア(Ernest Corea)氏によると、最近のスリランカの大統領選挙では、当選したら各世帯に牛を1頭ずつ与えると約束した候補者の話だけが世界に配信された。残念ながらこの候補は落選して、大量の牛が幸いにも命拾いした。

 くだらないと一蹴するものもいたが、世界の主要各紙がこの記事を取り上げたのは、途上国のニュースの選定では欧米の読者の喜びそうな内容が重視されるからだ。世界の主要メディアは途上国の報道価値のある出来事にあまり、あるいはまったく注意を払うことをせず、欧米の読者にとって受けがいいが政治的には瑣末なことに注目するという、「欧米志向の偏った報道」を非難されてきた。

 現在、非同盟運動(Non-Aligned Movement:NAM)に参加する116カ国は、途上国関連ニュースを発信する通信社を作り上げようという長期間棚上げしてきた提案を30年ぶりによみがえらせようとしている。現在の議長国であるマレーシアは情報大臣会議を首都クアラルンプールで来週開催する予定である。そこではNAMの報道機関を作り、情報の流れを促進する可能性について話し合われる。最終的な目標は新国際情報通信秩序(New International Information and Communication Order :NIICO)を作り上げることだ。

 NAMの情報大臣会議は1987年にジンバブエで始まり、今回で6回目となる。「NAMの議長国としてマレーシアは真剣にNAMニュースネットワーク(NNN)の設立に取り組んでいる」とマレーシアのハスミ・アガム国連大使はIPSの取材に応じて語り、「会議においてNNNの設立が承認されるよう願っている」という。NNNが設立されれば、NNNに関心のある他のNAM加盟国による任意の資金援助とともに、当初はマレーシアが資金援助を行っていくものと予想される。

 クアラルンプール会議で配布される予定の文書には、過去の遺物であり、先進国が世界の貿易、商取引などの経済活動において支配的な現状を維持させている、現在の不均衡な情報の流れを修正するために新国際情報通信秩序(NIICO)の設立は不可欠だとNAM加盟国は確信するとしている。

 さらに新国際情報通信秩序(NIICO)は、情報の自由な流れと幅広いバランスの取れた普及に対する内外の障害を取り除き、NAM加盟国間の自由なニュースのやりとりを通じて途上国間の協力を強化していくとする。

 過去にも1973年のNAMアルジェリア会議で途上国の通信社を設立する提案があり、1975年1月にはNAMの通信社連合が旧ユーゴスラビアと同国内通信社Tanjugの主導で設立された。最高で40社からなる通信社連合の果たす中心的な役割は、各国の通信社が情報交換をすることだった。

 設立当初から、欧米メディアはこの通信社連合に反対するキャンペーンを展開し、「NAMの通信社の情報は政府がコントロールしており、通信社のほとんどがニュース発信の基盤を持たない」などと批判した。

 前スリランカ駐米大使で1979年にハバナで開催されたNAMサミットのスリランカ代表だったコリア氏は、「NNNの構想は支持しているが、すでに機能していない通信社連合と同じ轍を踏まないよう願っている」「政治的思惑の中で新たな通信組織を作り上げようとする展望が検討され、情報大臣だけが関わっていることが方向を誤らせる」と語り、「1989年に冷戦が終結したときに存在価値を失ったNAMに新しい命を吹き込もうという試みだとこの議論を非難するものが今後現れるだろう」と指摘した。

 かつてのNAMの通信社連合は行き詰まり、失敗に終わっている。この通信社連合は新国際情報通信秩序(NIICO)の一翼を担うはずで、「新国際経済秩序(NIEO)の通信部門と考えられていた」とコリア氏は指摘する。時を経て、メディアの世界には大規模な変化が起きているとコリア氏はいう。「今日、多くの国で国内のニュース配信は自国の通信社が優位に立っている。民営であれ国有であれ、世界中で各国が独自の通信社を持っている」とコレア氏はいう。同氏は『Non-Alignment: the Dynamics of a Movement非同盟:運動の力学』の著者である。

 たとえばインドは特に強力なニュース配信システムを備えている。石油輸出国機構(OPEC)の加盟国もほとんどが独自の国営通信社を持っている。同様に、インターネット上の情報交換も盛んであり、全体として地球規模でニュース報道は向上している。過去と比べて主要通信社もその他の報道機関もより思慮と良識のある記事を書いている。

 「しかしながら、今なお足りないのは開発をあらゆる角度から検討した、プラスとマイナスの双方に関する記事である」とコリア氏はいう。同氏は英連邦メディア開発特別委員会の議長を務めたことがある。

 たとえば最初に発生が確認された国と年から名づけられた「UG99」という小麦さび病について報道する大手通信社はいない。このUG99は世界の小麦収穫量の70%を壊滅させる可能性がある。

 「報道の対象として開発の問題に力を入れている通信社はインター・プレス・サービス(IPS)だけだ」とコリア氏はいう。実際にIPS創設の主要な目標はその点にある。NAM、G77加盟の途上国132カ国(関連記事へ)、その他の国が、本当にこの情報に関するギャップを埋めようとするのであれば、国内の報道組織にIPSを支援するよう促すべきであり、各国の主要な投資家にIPSを経済的に支援するよう説得するべきだ」と同氏は付け加えた。<原文へ>

翻訳=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

関連記事:国際連合、世界の報道されないニュースに光をあてる
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今回は非同盟運動諸国116カ国による従来の「欧米志向の偏った報道」を是正する新国際情報通信秩序構築に向けた動きを報じたIPS記事を紹介します。(IPS Japan浅霧勝浩)
IPSの映像紹介はこちらへ(英語)
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『Non-Alignment: the Dynamics of a Movement非同盟:運動の力学』の著者アーネスト・コリア(Ernest Corea)氏によると、最近のスリランカの大統領選挙では、当選したら各世帯に牛を1頭ずつ与えると約束した候補者の話だけが世界に配信された。残念ながらこの候補は落選して、大量の牛が幸いにも命拾いした。

 くだらないと一蹴するものもいたが、世界の主要各紙がこの記事を取り上げたのは、途上国のニュースの選定では欧米の読者の喜びそうな内容が重視されるからだ。世界の主要メディアは途上国の報道価値のある出来事にあまり、あるいはまったく注意を払うことをせず、欧米の読者にとって受けがいいが政治的には瑣末なことに注目するという、「欧米志向の偏った報道」を非難されてきた。
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今日、多くの国で国内のニュース配信は自国の通信社が優位に立っている。民営であれ国有であれ、世界中で各国が独自の通信社を持っている」「しかしながら、今なお足りないのは開発をあらゆる角度から検討した、プラスとマイナスの双方に関する記事である」とコリア氏は語った。
資料:Envolverde

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